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【ゲームレビュー】骨さん虫さん内臓さん大集合。背筋ゾワゾワ系アドベンチャー「Birth」に美を見出した

「Birth」は、骨でできた住人が住む街で、ひとりぼっちの主人公が臓器をあつめてパートナーをつくるゲームだ。

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住人はみんな、顔が動物の骨かなにか。体は人っぽいけど健康ではなさそう。
建物の中に骨とか虫とか、多くのひとが「げっ」てなるものがたくさん飾ってあるけど、怖がらせたいわけじゃなく、純粋にそれが美しい、面白いと感じたから描いているように見える。

本当の虫嫌いならサブイボもんのアリの行列がなんの必然性もなく突然出てきて、笑ってしまった。敵として下水道に毒虫が出るような「意味」が全くない。「どうです?唐突なアリの行列、見れて楽しいでしょ?」とばかりに出てくる。
虫とか内臓とか、メジャーなゲームなら絶対削るものが見れるのが、このゲームなりのサービスシーンなのだ。ああ、インディーズゲームだ。序盤ですっかりこのゲームのとりこになっていた。

ホネなりに何か仕事をしている
臓器をコンプリートすれば、お友達ができる。

カーソルを動かしていろいろな店舗を見て回ろう。
ホネ住人たちはカードに興じていたり、ドミノをしていたり、レコードを聴いていたり。腕くさってるのかナチュラルに骨チラしてたり、どこから飲むのかコーヒーらしきカップを持っている者もいる。

彼らの手伝いをしたりパズルをといたりして、建物からひとつづつ、心臓やら肺やらを探すのだ。ガムボールが出てくるマシーンにお金をいれたら、中からガムといっしょに目玉が出てきたり、不条理だけどアイテムが集まっていく。
文字で説明するとホラーみたいだが、作り手の美学なのか、怖がらせたいわけじゃない。ジャンプスケア(びっくり演出)はないし、「気持ち悪い」はあるけど「痛そう」は無い。蛇のホルマリン漬けとか、じっと見たくはないけどつい見てしまう、絶妙なラインのものであふれている。

私の場合は虫は大丈夫でも、こんな感じで、穴から何か湧いてくるとこに、ちょっとゾワつく。女の子のあいだで人の毛穴の汚れが取れるところの動画が気持ちいいって密かなブームらしいけど、へたなグロ画像より怖いなあ。ファミコン時代から回復アイテムとして何度も出てきた「イチゴ」を、種のぶつぶつ(ツブツブとは書かない)をしっかり強調しているゲームも初めて見た。

インディーズゲームは作者の個人的な好みが前面に出てるのが面白いけど、Birthは、変わったクラスメイトのお絵描きノートをこっそり見せてもらうようなゲーム。

「どう?これかわいいでしょ!?人の皮膚から虫が出てきたら面白いでしょ!?」
「…は、はい…」

私だって小さいころは、虫の死がいを気持ち悪いとも思わなかったし、下校中に見つけたきれいな花も動物のうんこも同じテンションで興味を示したし、蛇の抜け殻とか、カエルの卵とかも、さわれた。
いつのまにか虫は気持ち悪いと認識するようになって、触れないものが増えたけど、たとえばゴキブリという文字列だけでダメな人がいるからGと表記するのがお約束になって、猫ばかり、可愛いものばかりで漂白された世界も不自然だ。
Birthのアートワークは、「こういう奇妙なものが受けるだろう」と狙って描いたようには思えない。奇妙な中に、こういうのが好きだから描いてるんだ、というピュアな精神を感じた。醜さの中に美を見つけた。


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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。

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