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【読書日記】米澤穂信の黒牢城がスゲくてスゲくて声も出ねえよ

まだ読み終えてないのでネタバレしません、できません。

いくさのあと、誰がより上の位の敵を討ち取ったか、誰に褒美をさずけるべきかを検分する「首実検」をテーマに一章書いた着眼点がすごい!
生首が常に出てくるから映像が手をつけにくかったところに踏み込んだ面白さにくわえて、かぶとの形の流行とか、身分の低いものが上の者と会話するときにどんな姿勢でどんな態度だったのか、どれだけ取材したのかわからない細かいネタをびっしり詰め込んでる。

軽いミステリー要素はあるけど、凝ったトリックで驚かせるのではなくて、
「当時の武士は何を重んじて、そのためにどんな行動をとるのか」
を描いていて、それが結果的に不可解なことにつながってしまった。そんな感じ(的外れなこと書いてるかもしれん)

現代では理解できない考え方の武士集団を、主人公の村重だけがギリギリ現代人でも共感できる思考でさばく。
無礼を覚悟で発言した者がいれば、そいつを斬ろうと息巻く部下たちを

「まあ待て待て皆の衆、言いたいことがあるなら申してみよ」
と、冷静におさめる。

そこが無理に現代っぽくなくて、そういうことを言える器だから、みんなが命をあずけられるし、気に入らない者はすぐに斬った織田信長と対のキャラクターとして立つ。この主人公を介して戦国時代の細か〜いところを見て回る面白さ。いや、凄い凄い。


読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。