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【読書メモ】古川真人「背高泡立草」

雑草の小説だ。
シーズンだ。
クリスマスになるとホーム・アローンを観るように、この季節はぼうぼうに伸びた雑草を刈る小説を読みたくなる。

放置されて背の高い雑草に覆われている、古い家をメンテしに行く小説です。
久しぶりに親戚が集まって九州のことばが乱れ飛ぶかんじが心地よかった。
ぼくは四国出身なので、自分の周りにあったことばと近くて、セリフがすっと、音で入ってくる。

と思って買ったはずなんだけど、今、あらためて冒頭を読み返してみると、全編きつめの長崎の方言で進んでいて、こんなしゃべり方の人は周りにいない。
なんでこれを、馴染みのある光景だと思ったんだろう?

ことばは違っても、親戚のおばちゃんが集まってわーっとしゃべってて、男たちは話に参加せず、幸福感がただよってる空間を「馴染み」があるなーと思ったのかな。


雑草は身近な未知だ。
道端でブチ抜かれるのを待つだけに思えて、それぞれ固有の名前があり、花屋で値をつけられる植物と同じ生存戦略とか進化の過程を持っている。

だから、雑草の小説って面白そうだな、と思って読んだらそもそも雑草を刈って家をきれいに保つ話で、テーマは「家」とか繋がりとか、そっちであって、草ではなかった。

雑草を刈り、家の換気をして、古い家の由来を聞いて、合い間には家にあったものに関する過去の話も挟み込まれる。
序盤にでてきた謎の置物に実はこんなエピソードが!
と、カチッと合わさればミステリー的な面白さになるけど、この作品の場合はあえて、ごちゃごちゃっと、わかりにくく絡まって今の「家」につながっている。
タイトルに、最後になってようやくわかる草の名をつけたことに意図がありそう。
ふだん見落としているものや、見ないようにしているものを意識することで見えてくる世界・・・みたいな。

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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。

ありがとうございます
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