【読書記録】「メンタリスト」を手掛けたジョーダン・ハーパーの小説デビュー作「拳銃使いの娘」
白人ギャング軍団の大ボスともめて、家族を皆殺しにすると予告された主人公ニック。
彼は、娘のポリーを守るために、盗難車の助手席に乗せて逃亡する。明るい展開が全く見えないアクション・バイオレンス小説だ。
敵の大ボスが最初から、もう投獄されているのが面白い。
彼の意志は、買収された刑務官や手紙の切れ端、暗号や耳打ちによって各地に広まる。
彼らの信者である全米の白人ギャング、一触即発の南米系グループ、どこまであてにしていいかわからない警察。3すくみの状態にある。
どこにも属していないニックと、学校になじめなくて熊のぬいぐるみと話している娘のポリーは、強盗をして、盗みを覚えて、信用できそうなやつを探しては脅し、味方にしていく。
戦いでも、昔のアクション映画のように弾をかわして逃げたり、車や机を盾にして隠れたりしない。
相手と対話できるシチュエーションにもちこんだら、あとは
「俺に手を出すと仲間がどんな目にあわせるかわかるか?」
と会話が始まる。
実際にバンバン撃ち合いをしたりは、ほぼない。銃弾をうけたときの手当てについての知識(銃弾は無理に取り出さない。体内に入る服の切れ端で雑菌が入るのが危険)とか、ドラマ制作で得た知識が反映されているようだ。
ぬいぐるみを使って意思疎通する女の子なんて、まんがっぽいキャラ立ちした娘も、父親が自分を守るために罪を重ねて、暴力をふるう姿を見て、新しい世界だと目を輝かせる。
その子を憂いて「ああ・・・」とか思って、それでもなんか、語り手がテンポよく切り替わるのでなんかついつい手が出るジャンクフード食ってるみたいな読書になった。2020年最後の一冊、これでいいのか!?
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読んでくれてありがとうございます。
これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。