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【読書記録】イギリス人は学校でこんな面白い小説を読むのか、ずるいぞ「蠅の王」

路上飲みで騒いでいるグループの報道を見て「あ、蠅の王にいた子だ!」と思ってしまった。

無人島に遭難した子供たちが、彼らなりにリーダーを決めて、毎日のろしを上げて、船が通ったときに気づいてもらうようと約束ごとを決めたけど、途中から仲間割れをおこしてしまう。

約束事を守るグループと、いつかわからない救助を待つより今を楽しみたいグループに分かれる。
秩序VSカオスに分かれるのだ。
カオス側の子供たちは、顔にペイントして踊ったり、やがては少年どうしの殺し合いにまで発展する。

おとなしく食べ物を節約して救助を待たないと、絶対行き詰るのに、なんで!? って感じなんだけど、カオス側になった少年たちも、最初はおとなしくしていたのに、狩りをして肉にありつけた成功体験から野蛮な行動をするようになるのだ。
人生で初めてみんなで狩りをして、ブタを捕獲して、焼いてふるまった。
強烈な成功体験。自立のよろこび。
それが、のろしをあげて大人しく救助を待つ子たちへの優越感につながる。
あいつらは大人に倣って模範的な行動をしているけど、俺たちは恐怖に打ち勝ってブタを殺して、みんなを喜ばせたぞ。と。その間にのろしの見張りは忘れていたとしても。
善と悪の対立のようだけど、わるい子といい子に分かれたわけでもない。

子供のころ、大人をどうみていただろう。
「大人ってヘンだなあ」「自分が大きくなったらもっとりっぱな大人になるのに」と思っていた。それが、いざピンチになると、大人の助けを待つしかない。
子どもの無力さを思い知らされる。

小学校の高学年のとき、先生が席をはずしてて生徒だけで学級会をやることになった。そしたら全然まとまらなかった。シチュエーションは全然違うけど、その感じに似ている。
「俺たちならできる」と思っていても、いざ子供だけにされると何もできない。
無人島を舞台にした古いイギリス小説なのに、わかる瞬間があるのが面白くて、少年たちをそそのかす「蠅の王」ベルゼブブの正体とか、さかんに考察されてることはスルーして読みふけってしまった。



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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。