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流行語大賞がとらえる間もなく「エッチ」がひらがなの「えっち」にすり替わっていた

とあるラジオを聞いて耳がぴくんとなった一言。
「中年男性がセックスのことをエッチと言うのが気持ち悪い」
私はそんな会話する機会がないけど、

死語が生まれる瞬間ってこんななんだ!意識してないと、いつの間にか自分も死語と知らずに使う側に流されるんだ!と思った。

「セックス」なんて口に出して言っていいのは、海外ドラマの
「セックスアンドザシティ」
の話題のときだけだと思っていた。
それも前方にアクセントを置かずさらっと。
「セックス」を日本人が口に出すのはタブーだった。

その代わりに台頭しているのが、ひらがなの「えっち」だ。

セックスの隠語とは全く違うニュアンスで。

配信でマンガやゲームのキャラクターに
「えっち」
と、使っている人がいて、何度となく素通りしたけど、この使い方いつの間にか浸透してるよね?
誰が元になったのか発生源がわからない。

Vtuberの月ノ美兎が、新しくなった桃鉄の夜叉姫を「えっち」だよねと言っていた。

左は「えっち」ではない。
右が「えっち…」。
だから2020年ごろに、ひらがなの「えっち」表現は始まっていた。
たしかに、脚のラインとかスカート丈とか、健全を装って我々の知らぬ界隈に向けてアピールしているような「なにか」は感じる。

ややこしいことに、露出をバンと全面に出してるキャラは「エロい」だ。
エロいとえっちで方向性が違う。
少し前に夕暮れの写真を「エモい」とか言い始めたのに似た掴みづらさ。

私なりの解釈。
開けっ広げなお色気キャラではなく、一部の人にそっと刺さるような(実は幅広い人に刺さるような)くすぐるような性的なニュアンスを託したキャラクターが、ひらがなの
えっち
である。
ただ最近は男性が年少の男性キャラにもえっちと言っていた。
まだ、ぐわんぐわん変化してる最中の、新しい日本語だ。

ツチノコみたいに素早く、エッチがひらがなに化けていた。

明石家さんまさんが「セックス」をバラエティ番組で使いづらいから「エッチ」と言い換えていて、一般人にも浸透してから数十年。
「バツイチ」は生き残っているが「エッチ」が死語になる。
テレビは終わらないけど、テレビ中心の時代は終わろうとしている。

本当に浸透する言葉は、ドラマやスポーツ中継の決めゼリフで出るのではなく、流行語大賞が補足する隙も与えず、気が付いたら始まっている。 


読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。