終わりのあるRPGの切なさ。PS4/NS「リトルタウンヒーロー」
ポケモンを作ったゲームフリークの新作で、音楽に「アンダーテイル」のトビーフォックスも参加した「リトルタウンヒーロー」をクリアした。
さきにニンテンドースイッチ版が配信されたが、ゲームに興味がある自分にも全く話が聞こえてこなかったので、夢のタッグの割には苦戦しているんじゃないかと思う。
そして2020年4月にプレイステーション4版が配信されたよりによってその日に、ゲームフリーク社員が感染症に侵されていたと報じられた。
他に大規模なセールを行っているソフトも多数あるため、本作は全く話題になっていない。
ゲームフリークは、3DSで「ソリティ馬」というソリティアと競馬をミックスさせたゲームを配信している。
全3DSソフトの中でも5本の指に入るほど大好きなゲーム。目が疲れてやめたいのに楽しいわ気持ちいいわやめらんねえわで助けてくれ、とうめく夜が続いた。
スタッフがニコニコ動画を通じてプレイヤーも参加してのゲーム大会を企画して、記念品のシールをいただいた。
世界中のファンを相手にするポケモンばかりじゃなくて、小粒のユニークなゲームも大事にしてるんだって、そういうことがわかるのも含めて楽しかった。
「リトルタウンヒーロー」のシステムはカードゲームだ。(ゲーム内ではカードを「アイデア」に置き換えてる)
アイデアを実体化させて、敵のアイデアにぶつけて、全部消せば敵本体にダメージが通る。だいたいそんなだ。
対戦、交換、収集、編成はない。それで「カードゲーム」と表記してないのかもしれないけど、1手カードを出すタイミングで流れが変わり、どれを次のターンに準備しておくか組み立てていく戦略性ある攻防が楽しめる。
苦しい点は、公式サイトにはRPGと表記されているけど、「ポケモン制作会社の新作RPG」を期待すると序盤でつまづくだろうし、カードゲーム好きにはスルーされそう。チュートリアルもちょっと理解しづらかった。
けど、把握してから遊びごたえが出てきて、ボスごとの特殊カードと対策を探り、ラスボス、エンディングではっきり愛しいゲームになった。
一般的なカードバトルと違って非対称なのが特徴で、でかい敵1匹VS村のみんなのサポートで戦う。
RPGのボスって、たいてい遠くの城や異次元で待ち受けていて、あとになるほど孤独な闘いになりがちだけど、ずっと村を駆け回って、後半ほどにぎやかになる。スーファミRPG黄金期を思わせるわかりやすいメロディで、ラスボスなんかもう総力戦!熱い!
そして、ラスボスを倒すと、リトルタウンヒーローは終わる。
今のゲームは、やり込みや追加コンテンツで、終わらないゲームが多いけど、初代プレイステーションぐらいまでは、最後の闘いが終わってスタッフロールが流れ、
THE END
と表示されると、電源を切って、そっとソフトを棚に戻すしかなかった。
特にカードゲームは終わりのないイメージがあったので、ラスボス倒してタイトルに戻ったとき、えっ!と寂しくなり、寂しくなった自分に驚いた。
永遠に続くパターンか、高難易度が解禁されて、自分から「あっ、それ無理ッス」って身を引くのに慣れてたので、ゲーム側から「もう遊びの時間は終わりなんだ」と告げられたようで、寂しい。
(難しいモードが追加されるかもしれないけど)今時、あえて終わりのあるゲームにしたのは、昔のRPGの感じを意識したんだと思う。
コンパクトだけどルールはキッチリ作り込んで、終わりぎわはすっと終わって達成感と寂しさを残す。
それはいまや終わらない巨大コンテンツに成長したポケモンとは別の、
「あのころ好きだった、自分たちの原点になったゲームの感じ」だと思う。
ポケモンの裏でコツコツ作って、やっと皆のもとに届く記念すべき日にスタッフが感染したことがわかって、検索してもみんなポケモンの次の展開が遅れることしか話題にしていない。
それが納得いかないので、せめて僕だけでも、リトルタウンヒーローすごく気に入ったよ、最近セールやフリープレイでたくさん話題作を遊んだけど、ここ数カ月で一番の快作だったよ、と言っておきたい。微力だけど。自分だけでも言っておきたい。
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読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。