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interview:第一期生 雙田貴晃さん(前編)

いつか農業をやりたい、移住して理想の生活送りたい、という想いを持っている方は、きっと多くいるはず。でも、これまでの仕事や生活を変えて、新しい世界に足を踏み入れることは、決して容易なことではありません。みらい農業学校の第一期生は、15人もの仲間がその決断を経て入学してくれました。この世界を志したきっかけも、未来の展望も、15人15色でみんな違う。であれば、全員にお話を訊いてそのエピソードをみなさんに紹介させてもらおう! というのがこのインタビューのはじまりでした。あなたの未来に背中を押す、ちょっとしたきっかけになれば幸いです。

さて、第一期生の全員インタビュー、お1人目は東京・八王子から移住し入学した雙田貴晃(そうだたかあき)さんです。31歳の今、以前挑戦したが断念せざるをえなかった「農業の道」に、会社員を辞めて再度足を踏み入れた理由とは。入学から間もないとある日に、その決断や今の想いを伺いました。前編は、雙田さんが農業に出会って、その道を歩み始めるまでのお話です。聞き手は、みらい農業学校の運営事務局です。


第一期生 雙田貴晃さん

ー記念すべき、お1人目です! 今日はありがとうございます。入学から数日たちましたが、慣れてきましたか?

3月末に移住をして、生活にも少しずつ慣れてきました。同期のみんなとはまだ出会って数日しか経っていないのに、お互いをあだ名で呼びあったり、農業のことを熱く語り合ったり、ずっと一緒にいたっけ、っていうくらいすでにかなり濃く過ごしています。年齢も様々で、色々な経歴を持った方がいて、たくさん刺激を受けていますね。

ー3月末に引っ越されてきたとのことですが、南相馬市、どうですか?

気に入りました、とくに小高がいい。自然が好きで、身近にあってほしいと思っていたので、ぴったりでした。地元の八王子は西の方角に山(高尾山)があるんですが、ここも西に同じくらいの高さの山があって、見渡すととても落ち着きます。東京と違って、家のまわりを歩いている人の少なさには驚きました。

ー雙田さんは、実は以前にも農業の勉強をしていたけど、一度断念されたと伺いました。今回、再挑戦を決断されて。

以前は茨城のとある農業学校に通っていたことがありました。実は学校以外の場所で手に大けがをしてしまって、痛みが続いたり思うように動かなくなり、いったん離れることになりました。リハビリを重ね、回復をしていく過程で、「やっぱり農業がやりたい」という想いがどうしても消えなくて…。民間企業で働きながら、(実はまだ完治していないけれど)自分の中で「これならできるのでは」と思えるところまで来たので、改めて挑戦することにしました。

ー「農業がやりたい」という気持ちは、いつから持っていたのでしょうか。

茨城の農業学校に通う前も民間企業で働いていたのですが、その少し前の体験で、芽生えました。大学卒業後に物流の会社で働いていたのですが、大学で学んだことを活かそうと法律関係の資格を取り、20代半ば頃に転職しました。その時にちょっと働きすぎて、体が悲鳴を上げてしまって休んだ時期があって。このあとの人生設計をどうしよう? と考え始めました。


とある日の機械講習。手前左が専任講師の遠藤先生、右が雙田さん。

ーその時点では、まだ「農業」という選択肢は出てきてなかった。

以前の業界に戻るのかも決断できなくて、第三者に相談というか、就労支援を利用してみようと思ったんです。そこで半年くらいの農業研修のプログラムがあって、軽い気持ちで飛び込んでみたら…。毎日農場に通って、野菜や小麦なども作ってみて。その団体は本格的な農家さんではなく、農業体験が目的となっていた団体だったので、がっちりではなかったんですが、種まきから収穫、販売するところまでを6か月間で取り組みました。

ー販売までをぎゅっと6か月で! 濃い期間でしたね。

炎天下で草刈りをしたり、重いものを持つし、結構な大変さがあったんですけど(笑)。体調が万全でないながらも、植物の成長を観察して、どういうアプローチをしていったらいいんだろうと考えることにどんどん夢中になっていきました。こんなに夢中になるなんて、人生で体験したことがなくて。植物の栽培管理に完全に魅了されましたね。

ー栽培管理までであれば、趣味にとどまる方もきっと多いと思うんですが、雙田さんの場合は、そうじゃなかった。

僕の場合は、そのあとの販売までを経験できたことが大きかったように思います。作ったものを買ってもらって、食べてもらって、おいしいって言ってもらえる。直売所のような場所で販売させていただいていたので、お客さんとの直接的なふれあいもあった。農業って、生産して、お客さんに食べてもらって…命を支えることができる、尊くて誇り高い仕事なんだなと感じたんですよね。


入学式ではひとり一人意気込みを発表しました

ーこれまでのどのお仕事よりも、生活に直結して、支えることができるという点が、雙田さんに刺さったんですね。

農業を学び、手に職をつけて、人生を切り拓きたいとそのときに強く思いましたね。それでお金を貯めてから、茨城の学校に入学し、本格的に勉強を始めて。その時はちょうど1年のプログラムの折り返しあたりで怪我をしてしまって。治りも悪くその時点では続けられないことがわかり、相当落ち込んだけど、農業への想いが捨てきれず、ずっと心の中に「農業がやりたい」という気持ちがあったんです。手術をしてくれた先生も応援してくれて、実家に帰ってからも、いつかきっとまた挑戦できる時期がくるはず、と思い続けていました。

前編はここまで。続きはまた5月14日頃に公開します。お楽しみに。


第一期生インタビュー#1(前編)
雙田 貴晃(そうだ たかあき)さん
八王子出身/30代。民間や士業で就労経験があり、求職期間に農業に出会う。「農業で人生を切り拓いていきたい」という強い想いを抱き入学。


▼△南相馬ぐらしがはじまった雙田さんのとっておきの1枚△▼

4月中旬に撮った小高川の桜です。


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