【覚書】強く言うべきか伸び伸びさせるべきか

Netflixで「母性」が公開されたので、視聴した。
原作も読んだのだが、戸田恵梨香さんが好きなので
見てみることに。

同じセリフ、同じ状況でも、全く違うものに仕上げてしまう
戸田さんの演技に舌を巻く。

母と娘の受け取り方が違い、その差異がどんどん広がってしまう…という
内容なのだが、
娘（子ども）というのは、母親の顔色をものすごく窺っており、
母親（私）が思う以上に、自分が発する言動を重く受け取ってしまうのかもしれない。
映画ほど重々しい内容ではないのだが、
昨日も、娘が学校で行われる音楽発表会に着ていく服を
一緒に選んで欲しいと言うので、子供部屋にて共に
洋服を広げていた。
音楽発表会で人前に立つわけだし、過去の音楽発表会を思い返してみても
ワンピースなどよそ行きの服を着ている子も多かったと記憶しているので
「ワンピースとかがいいんじゃない？」と意見を言う。
娘はここ数年ボーイッシュな格好にハマっていて、
ワンピースは買っても買っても着やしない。
案の定、パーカーを用意している娘。
「みんな、ワンピース着てるって」と繰り返すも
「えぇぇぇ〜」と言って、私の意見は取り入れようとしないので
「もうええわ。好きにしたらええやん。」と
子ども部屋をあとにする。

すると数分後、「ママが言うとおり、ワンピースにしたよ」と
私のところへやってくる。

ここで、ハタと思う。
私は「好きにしたらええやん」と言いながら、
不満顔を露わにして、娘に対して無言の圧力をかけていたのでは…
もしや、「母性」のように子どもにはめちゃくちゃ怖く写っていたのではないか。
確かに私はこの手をよく使う。
小さい頃から歯磨きをしよう、と言っても聞かない時などは
「もう好きにしたら」と言いながら
プイッと横を向く。
すると、大抵娘は「歯磨きする〜」と寄ってくる。
子どもは母親の不機嫌に敏感だったりする。
もしや、子どもたちも私のことをめちゃくちゃ恐れているのでは！！！！！

と、思ったら、次の日娘が着替えてきたのを見てみたら、
ワンピースなんぞ着ていない。
スポーティほどではないが、ワンピースではない。
思わずコントのようにガクっとなる。
別に私のこのためらいを娘に伝えたわけではない。
「ママはああ言ったけど好きな服を着たらいいよ」なんて
殊勝なことも伝えていない。
が、気が変わったのだろう。
着てみてやはりしっくりこなかったのかもしれない。

ま、そうだろうな。

子どもの好きにさせてあげたい、伸び伸びさせたい、とも
思うが、野放しにするわけにもいかないし、
かと言って「母性」のように
親の意向をやんわり伝えて、ただ誘導しているだけのつもりが、
それが子どもにとってはすんごい圧力…というのも怖い。
無自覚である方が罪は重いのかもしれない。

今朝は長袖カットソーにパーカーを羽織っていった娘。
もう何も言うまい…と思ったが、
あまりにも蒸し暑いので「暑いで」「暑いからな」
「暑くなったら脱ぐんやで」とやはりしつこく
声かけをしてしまう。
難しい…
失敗したら自分で気が付く、なんて世間ではよくいうが、
熱中症になったら…と考えたり、
ほっぺたを真っ赤にして帰ってきた娘を見ると
ああ、もっときつく言えばよかったと後悔もする。
「暑かったら脱ぐんやで〜」と送り出しながら
叫んでいたら、
暑かったのか私がうるさかったのか
娘はくるりと踵を返して戻ってきた。
とりあえず中を半袖に着替えるらしいが、
半袖はやはりTシャツ。
せめてこっちにしたら、とフリルのついた半袖のカットソーを
見せるが無言で首を振る。
もう何も言うまい、私。

常にこ綺麗な格好をしている娘さんは、
本人がそういう好みなのか、
そういう服しか用意していないのか、
はたまた親御さんの意向なのかどっちなんだろうと
最近、気になる。

娘は髪を括るのもあまり好きではないが、
伸ばしたいのは伸ばしたいらしく、
伸びた髪をそのまま下ろしている。
いつもこ綺麗に三つ編みや編み込みをしているお嬢さんは
そういう髪型が好きなのか
お母様がそうさせているのかどっちなんだろう。

そういえば私の母もあまりきつく言うタイプではなく、
物心ついて私と一緒に買い物に行き、
私の服を選ぶ時など、
私が選んだ服が
母の好みの服ではない場合
「よくわからない…」と答えていた。
「最近の服はよくわからない…」
本当にそう思っていたのかもしれないし、
自分の意向を押し付けたくなかったのかもしれない。
ただ、「こういう服を着なさい」と言われたことは
一度もなかったな、と思い返す。
あ、白い服は汚すからやめなさい、とだけは言われた記憶がある。

「強く言う」とか「伸び伸び」とかいう
たいそうな子育て論ではないが、
娘が生まれた頃や生まれる前の、
母と娘っていいよねえ〜
可愛い服いっぱい着させられるしいいよねえ〜なんていう
自分自身の願望や
周りの言葉を思い出しつつ、
そうでもないよ…
娘が自分の思う通りの服なんて全く着ないよ、と
思うのである。