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【読書の思い出】精霊の守人

息子と初めて物語を共有したのが、「精霊の守人」だった。元はといえば、私も母から勧められたので、三世代で共有したとも言える。

国際アンデルセン賞(児童文学のノーベル賞とか言われている?)を受賞した「精霊の守り人」は児童文学でありながら、その世界観、物語展開、文章、どれを取っても大人が読んでも十分に読み応えがあり、その世界にすぐ引き込まれる。

NHKでドラマ化もされたけれど、これのドラマ化をしたNHKには拍手を送りたい。NHKにしかドラマ化できないスケール。映画では絶対に物足りなくなるし(2時間では語り尽くせない)、民放では予算的に真似できない。

バルサという女用心棒がチャグムという皇子を偶然助ける。チャグムは新ヨゴ皇国の皇子だが、その体に精霊を宿している。新ヨゴ皇国の帝である父親は、神秘性をもって国を治めている。そのため、「精霊」の存在を受け入れることができず、チャグムは実の父親である帝に命を狙われている。チャグムの母親である二の妃は、バルサにチャグムを守るように頼み込む。
そうして、バルサは、チャグムを守りながら旅をする。

その旅をする、チャグムとの出会いと旅を描いたのが、「精霊の守り人」で、シリーズは新ヨゴ皇国だけではなく周辺の国へと展開していく壮大なスケールだ。

女用心棒、という設定もかっこよく、バルサは短槍を自由自在に扱い戦う。息子はいっときバルサを真似て棒を振り回していた。
物語の中の独特の言葉や、文化、食べ物まで設定が細かく、宗教、政治の仕組みまで世界観のディテールの細かさよ。
息子はすっかり虜になり「守り人」シリーズの食事を再現した本(バルサの食卓)なども手に入れ、「ここに出てくるこれが食べたい」などと言われた。(私の料理能力では限界があったけれど)

この「精霊」という考え方も独特で、そこに潜む謎というか精神性が語られるのも興味深い。またそれぞれのキャラクター設定も魅力的で、個々に過去を抱えている。チャグムという少年が青年へとシリーズを通して成長していく様子も、バルサがなぜ女用心棒になったのか、などなど、見所はたくさんある。

ドラマも細かい設定まできちんと再現されていて、見応えのある仕上がりになっていた。



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