記事一覧
「写ルンです」と「残しておきたい」について
いつからか、「写ルンです」を必ず持って暮らすようになった。
実際にシャッターを切ることはそんなにない。
大抵はスマホのカメラで撮っているし。
でも、ああいまこの瞬間…!と身体が先に動いた時に手に取るのは、スマホではなく「写ルンです」だ。 そういう、身体が先に動いた瞬間に写ルンですが手元にないと、取り返しのつかないような気持ちになる。
写ルンですの特性上、明るいところ、光が多いところでな
人の体感に入り込む・うつる・引き出す
「我」について考えていると、 どうしても「何かになりきっている自分」という感覚についてきちんと掘り下げる必要が出てくる。ので、考えてみた。
幼い頃から、なりきりごっこが大好きで、 特にディズニーの「眠れる森の美女」と、ジブリの「となりのトトロ」のセリフも表情も動きも、まるごとなりきって遊んでいた。 今でも大体(台詞は曖昧になってきたが)覚えていて、いつでもなりきりごっこを始めることができる。
あの封筒を届けてくれた郵便やさん
昔、だれかに宛てて書いた手紙の、封筒のおもてに、大きく熊(テディベア、緑のリボンをしている)の絵を描いたことがあった。
母が「あー!」と言って、ここは相手の名前を書くところなの、と言われた。
母は、郵便やさんにごめんなさいって書くからね、と、すみっこに小さく住所と、郵便やさんにあてたごめんなさいの文章を書いた。
わたしも書いたのかな。不器用なくらいとがってない色鉛筆で。なんとなく思い出す。
その
なんとなく居心地のわるい帰り道
私は、幼い時分から、楽しかったところから帰ることがとてもとても苦手だった。
鮮明に憶えているのは、夏に軽井沢に五日間ほど家族で遊びに行った時のことである。
帰りの車の中、東京へ近づくにつれてぐわ~んと熱せられる感覚。涼しい軽井沢との温度差で、よく気持ち悪くなったりした。(そもそも車酔いしやすい子どもではあったが。)
でも、気持ち悪くなったのはそのせいだけじゃない。
とても感傷的になっている
暗くなっていることに気づかない
夕方、研究室の扉を開けた。日が暮れかけた暗がりに、後輩がふたり、静かにいた。
なんでこんな暗いところで作業してるの(笑)と話しかけると、ふたりとも、えっ?という顔。
ああ、気づかなかったんだ。日が暮れたことに。
ずっと作業に没頭していたんだな。そして今も、黙々とデータに向き合い続けている。
彼らは全然話さなくて、とても静かだけど、没頭するほど真摯に研究に向き合っていることは、しっかり伝わっている
追跡されるのはこわい
より精緻な広告戦略を!とか、言う。それで、web上での行動を追って、より詳細にターゲティングできますよ!とか、言う。
すごくすごく便利だけど、ぞっとする。
わたしがどこで何を検索して、どんなふうに寄り道して、いつ何を買ったのか。それが全部ばればれなのだ。
自分の跡がばれるのは、こわいな、と思う。
自分が考えていることも、何気なくした寄り道も、全部見透かされているような気がして。
跡は雄弁だ。た
中学生のときに歌った合唱曲
「カントリーロード」が好きだ。わりと昔から。でも、昔は歌詞の意味がよくわからなかった。
中学に入って、初めての合唱祭で歌った曲。最後のほう、なんで「帰りたい。帰れない。」なんだろう、どうして帰れないの?と不思議でたまらなかった。意味わかんないな〜と思っていた。
でもこの前、ちょうど当時から10年経って、ふとこの曲を聴いたとき、うわ、と思った。言葉にならない複雑な感情を、わたしはいつの間にか覚