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思いだして、きっとまた恋をする。あのお店のレモンパイ

ときどき思い出しては、無性に食べたくなるケーキがある。それはまるで発作のように。

それが東京・台東区にある「洋菓子レモンパイ」の「レモンパイ」。絵本から出てきたような昔ながらのケーキ屋さんで、レトロな外観が目を引くお店。

レモンパイという名前だけあって、看板商品はもちろん「レモンパイ」。
営業時間は短いけれど、早くいかないと売り切れてしまうくらいの人気商品。それはファンが多いことの裏付けでもあるし、納得だ。だってわたしもリピートしているから。

看板商品のレモンパイは、小ぶりだけど堂々とした出で立ちをしている。まるで、自信というか貫禄というか、芯の強さのようなものを感じる。

人間でもときどき、「あぁきっと、この人はずっとこのスタイルを貫いてきたんだろうな…」と感じる人に出会うけど、このケーキもそんな感じがする。ケーキだけど。堂々たるクラシック。

わたしはいま、決して上手ではない自分で撮った一枚の写真からこの文章を書いている。
ど素人の撮影した写真からでも溢れる魅力ってすごくない? 惚れてしまいそう。

レモンパイ


もちろん、その味だって期待を裏切らない。
フォークを入れるとシュワっと切れる。そうそうこれ。これがいい。

表面を焼いたメレンゲはサクサク。ココナッツが入っているのか、シャキシャキ感もある。甘すぎない、口当たりが軽いメレンゲ。この軽さのおかげで食べたあとの罪悪感はほとんどない。これだけでじゅうぶんいける。

ちなみに土台の生地はパリパリ。このメレンゲがメインのケーキがあればわたし、買うと思う。それくらい絶品。

そしてなにより、このレモンクリーム。フォークの感触でわかる軽いメレンゲの層の下に鎮座するレモンクリームは若干おもため…かと思いきや、こちらも軽いから驚きだ。

しかししっかり「こちらはレモンです」と自己紹介をするかのように、口にいれると甘酸っぱさとほろ苦さが口の中で踊りだす。軽くてほんのり甘いメレンゲといっしょに、口の中でワルツを踊っているかのような。

まったくくどくない、むしろずっといてほしいくらいの心地よさ。
これはきっと、コーヒーと合うだろうな。
もっと言えば、ケニアとかエチオピアとか、酸味が強めのシングルオリジンのコーヒーと合うはず。最近コーヒー探検できてないけど、こういう想像をするだけでわくわくしてくる。

そんなことを考えながら食べていたら、あっというまにペロッと完食してしまうから気をつけなければいけない。

今回はカットしたものを購入したけど、ホールも小ぶりなのでカットを2個、3個…と買うくらいなら私は迷わずホールにする。それくらいおいしい。

あんなに軽いのに、しっかり脳裏に焼きつくあの味。何度食べても不思議でならない。
甘酸っぱくて、ほろ苦い。どんなに経験値を積んでも忘れられない、それこそ初恋みたいな味なのかもしれない。

思い出しては、また恋をする。
大袈裟かな? わたしだけ? もし仮にそうだったとしても、それってきっと、素敵なことだと思う。
そんな人に私もなりたい。


…なんてね。

洋菓子レモンパイ


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