見出し画像

夢にまでみる住みたいところ

自宅の前にららぽーとが出来た夢を見て目が覚めた。

田んぼに囲まれた田舎で育った私は、東京で生活するのが夢だった。
毎朝見ていためざましテレビや、笑っていいとも!で
東京のお店や新宿がうつるたびに
いいなぁー、こんなすぐにいろんなお店があるキラキラした東京に一度でいいから住んでみたいわと思っていた。
実際、父親の仕事の関係で東京に住む事になった中3の時にはあまりの嬉しさに踊り出しそうだった。
私には田んぼも虫の声もさびれた駅もうらぶれた海も
慣れ親しんだ方言も潮の匂いもなにもいらない。
私は東京で暮らすのだ。毎日マルキューとかアルタとか
いくんだ!昭和第一とか関学の彼氏を作って男子校のバックを持って学校に通うんだと決意した。
(ギャル全盛期時代)

そう思っていた私に、東京の全ては輝いていた。
ただ、予想外だったのが、地理に詳しくなかった為に
母親がなにやらここがいいと思う!と決めて
受けた高校が、葛飾区だったことだ。
最寄駅は青砥駅というへんぴな駅で
わりとさびれてるし、わりと地味だし、
東京の高校といえば、渋谷とか新宿とかの駅の近くなんじゃないの?と思っていた私になかなかの衝撃だった。
スカイツリーがなかった頃の押上駅から地下鉄に
乗るのだが、なんかずっと工事してるし、見栄えも悪いし
むしろ静岡駅とかの方が全然栄えてたじゃんと
この田舎者め、と心で母を罵ったものだ。
そんな地理の学校なので、友達は、習志野やら印西牧之原やら松戸やら、当時の私からしたら
どこやねん!という場所から通学してくる
本当に普通の女の子たちで、ちょっと待って、全員ギャルじゃないんだとまた衝撃を受けつつ
遊び場所は渋谷じゃなく上野になってしまったものの
大変楽しい3年間を過ごした。
そこで、習志野に住んでいた親友がいつも連れて行ってくれたのが、船橋のららぽーとだった。

はじめて、ららぽ行こ♪と言われた時
は?ららぽ?と聞きなれない名前に私は動揺した。
どこそれ?キティーちゃんとか売ってるの?と。
(サンリオ全盛時代)
親友は、うん、売ってるよーと言いつつ
明日船橋まで来れる?そしたら一緒に行こ!と
どんどん約束を固めていった。

次の日総武快速に乗って、船橋につくと
またややこしい乗り換えで船橋競馬場だったか
連れていかれ、そこから更にバスに乗り
こんなとこ、なにがあるんだろ、と思って降りた場所
そこにららぽーとはあった。

え?なにここ。夢の国?
いろんなおしゃれな飲食店が並んでるし
洋服屋もアクセサリーもなにもかも売ってるし
その頃には慣れっこになっていたアルタと違い
ごちゃごちゃしてなくて、すごい広さだ。
丸井とも違う。PARCOとも違う。
なんか、全てがある感じ。
しかも映画館まであって、親友はこともなげに
あ、私アルマゲドンみたいんだけどいい?と言い放った。

もちろんいいけど私も見たいけど
そんなに映画をサクッとみれるなんて本当にすごい。
映画なんて、何日も前から友達とこれを観ようと約束して
新聞とかで時間を確認して、静岡駅もしくは浜松駅にするか決めて、その上で何時の電車に乗るか決めて
それでようやく行くものなんじゃないのだろうか。

衝撃的に面白かったアルマゲドンの映画を鑑賞したあとも
あんなに泣いていたくせに、あ、アフタヌーンティー行っていい?とか、ジル寄っていい?とか
魅惑的なスポットにどんどん私を案内してくれる彼女。
そしてあー、疲れたね!と言いながら、混雑している
ららぽーと内でも、そんなに人がいない、小さなテラスがある席でドーナツを食べる彼女が心の底から
すごいと思った。

ここは渋谷じゃない。新宿じゃない。下北沢じゃない。
吉祥寺じゃない。
私が東京といえば、とアンテナをたてた街の中に
船橋とか習志野という名前は全く入っていなかった。
どちらかといえば、住みたいとか思うような
見た目じゃないのに→失礼
こんな店があって、彼女の雰囲気からして
めちゃめちゃ行き慣れている。
原宿や渋谷に連れてってもらうのも楽しいけど
はっきり言って歩き疲れるし、どこに何があるか
その都度ダンジョンすぎてわかりにくいのに
(ドコモのNシリーズをようやく持ち始めたばかり)
ららぽーとに来ればそんなの全てがあるんじゃん。

そんなわけで私はららぽーとがその時から大好きなのだ。
その後、結婚して静岡に帰ってきてからも
車で20分くらいのところにららぽーとがやってきて
規模は全く違うものの、暇な時はとりあえずららぽ行こっとなる信頼できる場所だ。
しかも田舎のららぽーとなので、誰かしら知り合いがいて
おーい、元気ー?となる、そんな場所。

でも東伊豆に移住してきた今
子供の頃のように、私の人生にはららぽーとがない。
海があり、山があり、素敵なカフェもあり
河津桜も金目鯛も滝もワサビも干物もある。
築古の自宅を日々、リノベーションしてくれるパートナーが、私のために、お風呂を檜風呂にしてくれて
毎日温泉を享受することもできる。
サウナに入って、水風呂がわりのプールに入って
テラスでくつろいで、温泉につかる
夢のような生活を彼がDIYの域を超えて提供してくれている。

毎日、幸せだなぁって思えるお風呂

今は、古くなったベランダを修繕する予定が
本格的に全く違うデッキに作り替えている。

芸術が爆発した芸術デッキ

あぁ、女ってなんて欲張りで罪深いんだろうと
伊豆の海を眺めて思う。
まるで人生はジュディオングだ。
レースのカーテン巻き付けたくなる。

南に向いてる窓を開け
1人で見ている海の色
美しすぎると怖くなる
若さによく似た真昼の蜃気楼
女は海
好きな男の腕の中でも
違う男の夢を見ている  


ジュディオング 魅せられて

こんなに幸せなのに、私は満たされていない。
誘致できないのか、以前市議会議員の人に聞いたら
人口が足りなくて、大型のショッピングモールは
出来ないといっていた。

日々、DIYを超えてリノベーションしてくれる
おうちは快適以外の何者でもない。
ネットで欲しいものは注文できるし
生活に困ることは何もない。
都会の混雑は今更無理だし、毎日広いお風呂に入って
海をみながら、気持ちいい風にあたり、星空をみる
この生活は手放したくない。
それなのに夢見ずにはいられない。
もしここに船橋のような、もしくは豊洲のような
あんなららぽーとがあったなら、と。
そしたら、人生は完璧なのに。

ないものではなく、あるものを数える
そんなことは知っている
だけど、優しい人に抱かれながらも
強い男にひかれていく
それが女なのだから仕方ない。
どうか、神様、市の権力者様、三井様
私の人生に、この伊豆地域に
(沼津にあるけど遠すぎる)
ららぽーとをください。ちゃんとしょっちゅう通うから。
#どこでも住めるとしたら
ららぽーとがある伊豆に住みたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?