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「ルール違反ではない」ギリギリが楽しい。

次男(小1)の担任の先生がちょっと面白い。

山を背負った田舎ののんびりした公立校。
近くに米軍関係の施設があるからか、クラスに1人は外国籍の子がいて、多様性高め。
金髪に染めた子、ランドセルを使わずリュック登校の子も一定数いて、誰も何も言わない。
宿題を忘れようが少々遅刻しようが何もお咎めなし。
(詳しくはこんな感じ↓)
https://note.com/minakko0220/n/n347fd5959ab9

そんな超ゆるい小学校で
次男の小学生初の担任は、若手の男の先生だった。
通称「ひげちゃん」。
その名の通りヒゲに長めのパーマ髪、だいたい白Tにハーフパンツ、真っ黒に日焼けしたサッカー青年である。
見た目はあんまり先生ぽくない。

だが次男はこの先生が大好き。
友達かよ!な距離感で接しながら「今日ひげちゃんがね〜」と学校での出来事を話してくれる。
最近はひげちゃんが教えてくれたという歌を口ずさむ。
「じーんせい、らっくーあーりゃ、くーもあーるーさっ」

この先生のユニークさは、以下のような感じ。

◾️学級だよりが濃い
毎週金曜日に次週の予定とともに、その週のクラスの様子が写真入りで伝えられる。
普通の白黒プリントだけど、よく撮れたなぁと思うような表情の子供たちの写真とコメントで埋め尽くされていて、カメラマンは先生だったり子供たちだったり。
写真の数が多ければどこかに自分も映っているから、次男も毎度一緒に見る。なんなら夫もほかのプリントは読まないけどこれだけは目を通す。
「あ、今日は金曜日だから学級だよりの日だな」なんて思うのは今年が初めてな気がする。

◾️落書きが多い
宿題のプリントにやたらと先生の落書きがまざる。漢字の横に変な絵が書いてあったり(“犬”の横に人面犬とか)、先生の似顔絵が散りばめられていたり。〈先生から〉のコメント欄にはしばしばクイズが書かれ、子供たちがそれに答えるというやりとりも。ある日次男がクイズ返しで「あっぱい、いっぱい、うっぱい、えっぱい、次は?」と書いたら、先生はちゃんと期待通りの答えを書いて戻してくれました。やめれ。

◾️急に授業やめる
次男のクラス、これまで3回ほど授業が予告なく取りやめになったことがある。
その3回に共通していたのは、悪天候が続いたあとの晴れの日だったこと。先生いわく、“雨で外に出られないと子供たちはストレスがたまってちょっと不安定になる”とのことで、
(先生)「よし!今日は久々に晴れたから次の授業は屋上で自由に遊ぶ時間にするぞ!」
(子供たち)「うぇぇぇーいっっっっ!!」
てな感じらしい。

◾️みんな違ってみんな良い
授業参観に行ったら、国語のひらがなの授業で恐竜の名前を例に出した子がいた。
先生はすぐにその恐竜をググってwikiのページをプロジェクターに投影。その子を前に呼び、その恐竜についてAppleの新商品発表風に解説させる。
その子は生き生き誇らしげ。「恐竜博士」として普段からたびたび登場するのだそうだ。

また最近は係活動以外に「会社活動」という取り組みが始まり、子供たちが思い思いの“会社”を立ち上げ、社長や部長がクラスにたくさん現れた。
(係活動は「クラスが過ごしやすくするため」、会社活動は「クラスを楽しくするため」のもの、という定義の違いもあり、なんだか示唆に富む)
次男は「工作会社」の社長として日々何かを作っているが、ある日市販のブロックとモーターで作ったロボットを学校に持っていくと言うので「さすがにそれはダメだろ」と思っていたら、あっさりOK。おもちゃ持っていっていいんだ、、。

あるママ友は、「我が子がいつも予鈴が鳴ってるのに職員室まで先生を迎えに行くみたいで、ご迷惑おかけしてます」と言ったところ「え、別に良くないですか?学校の楽しみ方はそれぞれだから好きにしたらいい」と返されたらしい。

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この先生のクラスで、次男は入学以来一度も「学校が嫌だ」と言ったことがない。(寝坊やぐずりで行きたがらないことはあるけど..,)

子供のやりたいことを尊重し、できるだけ楽しく過ごせるように工夫を重ねるーーー
そうしたこの先生のやり方は確かに素晴らしい。

でも、私が一番すごいなと思うのは、
“既存のルールを変えずとも、その枠の中で最大の自由と可能性を引き出している”こと。

自分のクラスだけ写真まみれの学級だより出しても「ルール違反じゃない」
ICT教育用のプロジェクターに恐竜を映しても「ルール違反じゃない」
プリントに落書きしても、授業を勝手にやめても、係活動以外の役割を設けても...
すべて恐らく「ルール違反じゃない」のだ。

まるで重箱の隅を突くように、ルールという枠の中でツンツン遊んでいたら、いつしか重箱自体が内からの力で少しずつ大きく拡がっていくような予感さえする。


たぶん、
「うちは組織が古いから、あれもこれもやりたいけどできない!」
なんてボヤく暇があったら
「今のルールぎりぎりのところで勝手にやっちゃえ!」
という思考回路なんだろう。

日本終わった、みたいな閉塞感ある今日この頃ですが、このマインド大事だなぁと思ったのでした。
必ずしも大改革することばかりがイノベーションじゃないんだよね。
「これってダメなんだっけ?」とフラットに自問する頭の柔らかさ、身につけたいものです。

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やる気MAXの「工作会社」の社長にせがまれ、巨大なピタゴラスイッチみたいなやつの制作を手伝う週末(てかほぼ私が作った気がするんだけど)。
おつかれ私。

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