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恋不知が不幸か否か

恋をしたことがない人生はつまらないのか、否か。

どうも私は現在の43歳に至るまで誰かに恋をしたことがないようです。

他人事みたいに言うなと怒られそうですが、性別問わず好意は持てど恋愛感情に移行した憶えが皆無なので仕方ない。

ほんのり意識して、どきどきするとか、その人のことばかり考えてしまうとか、ああ、それはありますとも、主に『恐怖』で。

違う、それ、恋愛じゃない。

一定の人が頭から離れず動悸がして、好かれようと嫌われようと構わないので波風立てたくないっていうのは恋ではない。

幼稚園、小学校、中学、高校、全滅です。社会に出てからは恐怖のほうとのお付き合いが多かった。むしろ学生時代もそうだった。

好きな人(友達とか好印象の人)で、書物やドラマ、映画に友人の話すべてを参考にしても、恋愛状態に入ったことがありません。

付き合った人もたぶん、いない。

曖昧な言い方になってしまうのは、一緒によく遊ぶようになって二人で出掛けたりする相手が一定期間いて、ある日「私達(俺ら)付き合ってるんだよね?」と言われて、えっ、となり、ジ・エンドになったことが数度あるからです。

幕を引いてしまって本当に申し訳ない。私がまったくその自覚がなくて、あなたを傷つけてしまってごめんなさい。今でも思い出すといたたまれず、自責の念に悶えます。

さすがに何回か繰り返してしまってからというものの、二人という最少人数で遊ぶというのを極端に避けるようになってしまいました。自意識過剰といわれでも変なことになるよりマシだ、と。

レンアイ対象になる人って、どういう人なのでしょう。

どういうのが恋なのでしょう。

初恋さえ未経験の私は、情動がどこかが欠けているのだろうと思います。

好きになってくれた人がいる事実はとても有り難く、その気持ちが嬉しいし、今でも宝物です。異性も同性も関係なく、同じ「恋愛」を返せなかったけれど、好きな心は同じでした。


先日、長い間連絡を取り合っていなかった友達から便りが来ました。

懐かしくなって、電話で話しました。

近況をたくさん話して、じゃあまたね、って通話を終わろうとした時、彼女がぽつりと言いました。

「知ってる?私、ずっと好きだったんだよ」

鼓膜に可愛らしい声が響きました。込められた想いは鋭い矢じりのように、私の心を撃ちました。

自然と出た返事は、「ありがとう」でした。


好きになって貰えるのはとても幸せ。

返せないのは仕方ない。

ただ口惜しいのは、その気持ちを推し量る裁量を持ち合わせていない、薄情な私の心でした。





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