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とし総子
2023年7月22日 08:54
「母さんって、きれいだね」 かけられた言葉に、私は反応が遅れた。彼はにこにこと笑ったまま、私の表情を楽しんでいる。「それ、久しぶりに言われた」「昔はよく言っていたよね」「よくは言ってないよ。二回くらいだよ」「世の中の息子の中では、トップクラスに言っているほうじゃないかな」 たしかに、と思いながら、私はまた目を元の場所に戻した。白い画面の中には、蟻のように列を生す文字の
2023年7月21日 11:10
あたしがあの男に出会ったのは偶然だった。初っ端などは、なんて小汚い毛皮だろうと身震いした。それが何を間違えたのか、あたしはあの男から目が離せなくなっていた。それはあれが全く動いていないように見えたからかも知れない。そう、全く動かなかったのだ。胸の上下さえ見えていたら、うっかり近づくこともなかっただろう。高みの見物を決め込んで、黒い奴らが集団でやってくるのを待ったかもしれない。それともすぐに興味を