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市民参加型スマートシティに関する考察(Meetupに参加してくれた永田さんへ)

Meetupの感想や考察をnoteに書いてくれてありがとうございました。

僕の説明、わかりにくい部分もあったかと思いますが、とてもよく理解してくれていて感銘しました。
それを迎合するのではなく、自分なりの考察や指摘をしっかりとまとめてくれていて、Meetupをやって良かったなって思いました。

永田さんが書いてくれた記事を読んで、僕も新たな気付きがありました。
僕らが以前から提唱してきた「市民参加型スマートシティ」の考え方についての指摘。

気付きのもととなった部分を抜粋すると、

市民参加のレベル分けについて、江守、伊澤、横山(2009)※1は4段階に分類している。この中で「聴取」は市民側からの開示として行われる一方、窓口が限定的であるが故に参加におけるレベルとして最も低いものとなる。さらなるレベルアップには、シェリー・アンシュタインの定義による「形式だけの参加」から「意思のある参加」へ、さらに「住民の力が生かされる」段階へと深化させねばならない。現状の福岡はこれを実現する「提案・提言」の段階から上へと突破するスキームを持ち合わせておらず、若干の力不足感は否めない。
住民がどのような都市こそ必要か、というグランドデザインを共有せねばならない。ここは「いきいきとした質」の実現を目指し、パタン・ランゲージの再登板が来るかもしれない。

この、「市民参加」という考えはとても難しく、Smart City戦略室内でもよく議論が生まれます。

LINEで道路や公園の不具合を通報システムは、「市民が街を良くすることに参加してる」感を理解しやすい事例であるが、毎月数百人が利用する程度のもので、当然これだけで市民参加型スマートシティが実現できているとは言い難い。

他にも175万人が友だち登録している福岡市LINE公式アカウントでの情報発信や手続き・申請などの取組みがあるが、これは「開示」や「聴取」の範囲であることは確か。

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とはいえ、いきなり今の日本の社会を上図のレベル6〜8の状態まで昇華させることができるのか?

Smart City戦略室を立ち上げた当初は、「できる」と信じていましたが、色んな取り組みを通して色んな人と話したり見たり聞いたりしているうちに、無理だと悟りました。

いわゆる街づくりというやつは、とても多くの価値観を持つステークホルダーが存在し「こうあるべき」という理想論だけでは、それがいくらロジカルであったとしても簡単に意思決定されない構造になっているのです。

例えば「行政手続きのハンコレス」という、「やらない理由ないでしょ」的案件であっても、2年もの年月をかけて変化を起こしていく必要があったのです。

今の日本の社会は、リープフロッグが起こりにくい。その前提が変わることに期待するよりも、僕らなりのアプローチを大事にすることに決めました。

僕らが解くべき問いを、

レベル6〜8を実現するサービスはどんなものか?

ではなく、

レベル1→8の変化に連続性はあるのか?

に置き直したのです。

永田さんご指摘の通り、その連続性についてはまだよくわかってません。
でも僕らは、このテーマを研究し連続性を証明できる可能性がある唯一のプレイヤーだと自負しています。
LINEの社員として、LINEでどれだけ便利さを実現しユーザーを活性化させるか、というビジネス的側面だけでなく、個人的にそういう研究も楽しみながらやっています。


もう一つ、永田さんの記事を見て、「市民参加を目的に置いたらいかんな」って改めて思いました。
市民や、その街で営む企業が「どのような都市でありたいか」という志を叶えるための手段であるべきですね。

都市の未来を自治体に丸投げするのではなく、市民や企業も一緒になって描けるような、それをリードできる存在でありたいなと思います。

永田さん、色々気付かせてくれてありがとうございました。

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