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PRチームを廃止した理由

2月15日人事で、Smart City戦略室の組織図からPRチームの名前が消えた。
組織発足から約2年、PRチームの功績は非常に大きい。2019年は年間12件、2020年は年間30件ほどのプレスリリースを出し、マスやSNSなどたくさんの露出機会を獲得。
「Smart City戦略室のPRは上手い」という声をいただくことも多くなった。

そんな、私たちの組織を象徴するような組織を、なぜ廃止したのか。
理由は2点ある。

(1) KPIを「リリース数」から「MAU」に置き直したから
(2) 新規事業の毒である「分断」が起こらないように

以上の理由から、機能別組織から事業部制組織への転換を決めた。

機能別組織:
営業、開発、広報など職種(機能)ごとに分けられた組織。職種ごとのノウハウが溜まりやすいメリットがある一方で、事業に対するコミットが薄まるリスクがある。
これまでSmart City戦略室は、企画・開発・PRという機能別の組織体系だった。
事業部制組織:
ゲーム事業部、家電事業部のように事業ごとに分けられた組織。各事業部の配下に機能別組織が置かれることが多い。職種を問わず事業へのコミットを引き出しやすい。
これからSmart City戦略室は、「行政案件」と「民間企業案件」を2大事業と位置付け、それぞれに企画・開発・PR人材を配置する。


(1) KPIを「リリース数」から「MAU」に置き直したから

MAUとはMonthly Active Usersのことで、そのサービスを毎月利用してくれているユーザーの数のこと。
ちなみにLINEのMAUは8600万人。そのうち80%の方が毎日利用している(DAU)ことになる。

私たちはスマートシティと称し、福岡市民の暮らしを便利にする事業を行っているので、MAUとかDAU/MAUという指標を追いかけるべきである。

組織設立から現在までの2年間はとにかく実績づくりが必要で、その実績を持って社内外からの認知を得ながら信頼基盤をつくる必要があった。
それゆえ、まだMAUという具体的な指標を設けず、「とにかくアウトプットをする」ことを最優先に、リリース数をKPIに置いてきた。

そのために「PR」という機能を特化させるとともに、MAUつまりユーザーのアクティベーションに関してはやや優先度を落としていたことになる。
図示すると、以下の通りである。

事業の立ち上げ期を終え、スマートシティの本質である「市民に便利な暮らしを提供する=たくさん利用されている状態」をつくることに本腰を入れる必要があり、そのために組織全員がMAUにコミットする状態をつくることを目指した。

今までプレスリリースを書いたり、メディアリレーション、SNS運用をしていたメンバーも、「PR起点でユーザーをアクティベーションする企画を考える」役割へと昇華させたということだ。

具体的に言うと、昨年9月に実施した「とつぜんはじまる避難訓練」のような、既存のサービスを活用したプロモーション企画である。

これは当時PRチームのマネージャーをしていたおたねが企画したもの。
旧PRチームのメンバーは各事業ごとのチームに属し、このようなプロモーション企画を担う役割になる。


(2) 新規事業の毒である「分断」が起こらないように

PRの仕事はとにかく大変だ。直前でサービスの仕様変更が起こってリリース内容が変わったり、社会の空気の変化を読み取って急遽表現を変えたり。
バリューチェーンの最終工程を担うポジションで、多くの皺寄せがくる構造なのだ。
その上、私たちの組織は「リリース件数」をKPIに置いていたので、次から次へとリリースの嵐になる。

すると、プロジェクトチーム内や、同じPRチームのメンバーどうしで「線引き合戦」をするようになり、「分断」の構造になってくる。
※これはPRチームが悪いのではなく、物理現象としてそうなる。

もちろん、仕事内容や役割を定義することは大事。
だが、変動性の多い新規事業においては、時にその役割を柔軟に変えていくことも必要。

例えばサッカーで「自分はディフェンダーだから」と線引きをしてゴール前のチャンスボールを見過ごすのか。
例えば野球で「自分は外野だから」と線引きして内外野の間に落ちる微妙なフライを見過ごすのか。

少数精鋭で勝利を目指す集団ならば「I got it !! (自分が捕る !! )」と叫ぶ。

そういう組織であり続けてほしいから、分断が起こりにくい組織構造に変化させる。


Smart City戦略室は、タイムリーに戦略をアップデートし続け、それに合わせて組織も柔軟に変化させる。
2021年、日本で一番市民の利用が進むスマートシティを目指して。そのための選択と集中の一つである。

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