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「病院にかかって薬をもらうというのがどういうことなのかを忘れちゃいけない」

タイトルは、うちの院長先生がぼそっと口にしていたことです。記憶もおぼろげなので、一言一句、正しいわけではないですが。

ここ最近のクリニック(私の勤め先の場合)

私の勤めるクリニックにも、徐々に人が戻ってきたように感じています(それでも、コロナで騒ぎ始める前よりは少ないですが)。一時期は中止していたカメラ検査も復活しました。企業の検診の受け入れも再開。ちょっと短縮していた開院時間も、今週から自粛前同様に戻してあります。
とはいえ、クリニック側としては「感染防止」を最優先にしているので、稼働人数は最小限です。余力、ほぼなしです。なので、急にカメラ検査をすることになったり、予想以上に患者様が来院すると、バタバタっとなります。この間の土曜日なんて、9時に開院して、水も飲まずトイレにも行かず、気づいたら閉院時刻の12時でした(笑)。「したいのにできなかった」ではありません。「そうしようと感じる間もなく時間が過ぎていた」といった感じです。

風邪症状がある方、発熱で来院の方は、クリニックの外に設置した椅子で待っていてもらっています。診察も、その場所に院長が行って実施するのが基本。電話での問い合わせの時点で熱が高いことがわかっている方だと、LINEのビデオ通話で診察することが多いですね。
その他、定期的にお薬をもらいに来る患者さんも、健康診断を受けに来た方も、受付では全員、非接触タイプの体温計で熱を測り、風邪症状がないかどうかをお尋ねします。

定期的に月1くらいのペースでお薬をもらいに来る患者さん。たくさんいらっしゃいます。自粛期間中は、電話で診察し、お薬はご自宅近くの薬局へ取りに行ってもらうというパターンを中心に展開していました。今は、以前のように来院いただく方が多いです。お問い合わせのお電話をいただくこともあるのですが…。
「お薬、そろそろなくなるんだけど、病院、行ってもいいの?」
こう言われると、別にこっちは禁止していたわけではないんだけどな…なんてちょっと思ってしまう私。そっか、病院側から「来るな」って言われているような気持ちがどこかにあったのか。自分の意思での「自粛」ではなくて、外から命じられた「禁止」だと思っていたのかなぁ、という感覚になります。
もちろん、そんなことは胸の中にあるだけですけどね。「マスクして、気を付けて、いらしてくださいね。お待ちしてます」というひとことで電話を終えます。

「病院で薬をもらう」ということ

さて、タイトルに戻るのですが、これは自粛期間中、患者さんの数が減っていたときに院長が口にしたひとことです。

オンラインで診察もらうって、患者様からしたらとても楽ですよね。家から出なくて済むし、お薬も行きやすいところで受け取れます。でも、そればかりじゃいけなくて、「病気を治すために努力をすべきだ」という意味が、院長のひとことにあるのではないかと感じました。楽な方ばかり選んではいけない、病気を治すことをきちんと意識して行動する必要がある…そんな思いがあるのではないか、と。
クリニックまで来るのに時間や交通費がかかるのもわかります。待ち時間もあるかもしれません。これらが無駄だなと思う気持ち、当然、あるはずです。それらがなくなったらどんなに嬉しいか。その分、他のことに費やせますもん。
でも、医師に会って、「お変わりないですか」「特にありません」「じゃあお薬出しておきますね」というパターン化した会話をするだけでも、何か違うんじゃないかと。画面や受話器の向こうじゃわからないことが得られるんですよ。診察室に入ってくるときの歩き方とか、椅子に座るまでの動作とか、顔色とか、匂いとか、声の張りとか、言葉の出方とか、口調とか…それを医師に観察してもらうのも、病気を治す努力の1つなんじゃないかと感じるのです、ただの受付事務の私でさえも。

物理的に不可能とか、病院に行ける状態ではないとか、そういうのはもちろん、別ですよ。でも、行けるのであれば、定期的にお薬をもらう必要のある場合にはときどき医師と対面するのは非常に重要なことだと、私は思っています。
「やっぱり先生の顔見ると、安心するわぁ」
そういってお帰りになる患者様もいらっしゃいます。安心することで体が軽くなるなら、これも病気がよくなる要素の1つかもしれませんよね。

たまには行ってみてください

医療機関でも、様々な感染防止対策をして、患者様を待っています。かかりつけの病院がある皆さん、たまには先生やスタッフの顔を見たり言葉を交わしたりするために、無理のない範囲で足を運んでみてください。もちろん、マスク着用で。入り口では手指消毒をしっかりしてくださいね。

皆さんの『スキ』や『サポート』が、私とこのアカウントを育ててくれる源になると感じています。よろしくお願いいたします。