2024年1月の記事一覧
詩「ラテラル・デイ」
今日わたしが死ななかったなら
明日はスタバにラテ飲みにいこう
死ぬ予定があるの
特に ないよ
雪が降り続くだけ
そうやって親指と
薬指で話していた十二月は
静かな知らせを待って
少し表情を変えた
いや 変えた気がした
部屋のテレビからは
関係のない笑い声が
漏れ続けているため
密かな行為の連続は
能天気な雰囲気の中
わたしが死ななかった明日
能天気なラテは
煙り続けた
私が死んでしまった明日
詩「そうだねえ 冬」
滅びたのは ぼく
丁寧に編み込まれた布片
のこされたもの
そこらじゅうの窓辺では
だらしなく煙る水滴が
ワイパーによって薙ぎ払われていく
ぼくのTシャツみたいだ
擬音が入る余地もなく
きみの乳房を吸わせてほしい
指先から指先までで
ぼくらが歩いた日々をはかる
割れそうな爪が朝を呼ぶ
泣きそうなきみに生を還すが
毎朝起きれば大海が
まばたきの旅に花を添えた
そうだねえ 冬
心凍りつく 別れであった
詩「水槽は実に丁寧に清掃されている」
水槽は実に丁寧に清掃されている
呼吸を続けるわたしは
手の先から水になっていく
すう と
ぱら と
水槽は居心地が良かった
蛍光灯の明かりがわたしを
幾重にも折り重なり
通り越していった
端っこだけ手を繋いだ
しかしこの部屋には音がない
完ぺきな音響設備が
整っているというのに
(やれ歌ってやろうか)
そそのかされずとも 声は
また清掃される
また清掃される
わたしの番はここまでだ
唾でもは