見出し画像

あかるい未来を待って

一日一日はこんなにも呆気なく終わっていくのに、何度夜を越えても、何度朝を迎えても、世の中の状況は何にも変わっていないような気がしてしまう。カレンダーの数字ばかりが進んでいく。

テレビをつけてもニュースは暗い話題ばかり、”10人”や”100人”で怯えていた時が確実にあったはずなのに、今となっては1000人という数字を目にしても「また今日もか…」と情報を指でスワイプするだけになった。慣れたくなかったはずなのに、慣れてしまった。

お気に入りのゴールドの指輪は消毒液でどんどん色褪せていく。無意識のうちに人間関係も整理されていく。連絡を頻繁に取り合う友人が減った。でも、大切な存在だと思える人が明確になった。生活に制限がかかるようになって、自分にとって欠かせないものは何なのかがはっきりとした。

電車で少し咳込んでいる人がいると、みんな疎ましい表情を浮かべているのが目元だけでわかる。マスクをして生活するようになってから、人の感情は目元だけでも十分読み取れるんだなあと感じるようになった。

「マスクの下は笑顔です!」とレジ付近に貼り出しているお店を時々見かけるけど、こんなにしんどい世の中なのに無理して笑わなくてもいいよ、なんて思ったりする。働いている、生きている。それだけで十分。私自身、バイト中は声のトーンを高めに笑顔でと心がけているけど、目は死んでいるかもしれない。

何に対してそんなに疲れているのか自分でもわからないけど、家に帰ると異常なまでに睡眠を求めてしまう。何時間でも、何日でも寝て、目が覚めたら世界はガラッと一転…なんて訳ないけど。

マスクがもはや顔の一部のようになっていて、家族以外の人前で外すのが億劫になってきた。「思っていた顔と違うな」とか「肌荒れしてるな」とか、マスクで隠れていた部分に対して何か思われるのがすごく怖い。顔に自信がないことに相まって、ルックスがいまひとつな分、それに代わる何かを身につけなきゃ…と完全に抜け出せないバッドに入ってしまったり、悩みは尽きない。ずっと身体に何かのしかかっているような重み。

もしもコロナ禍じゃない世界線だったら今頃、と妄想してしまう。
「好きだったこのバンドは解散してなかったのかな」とか「あの人はまだ生きていたのかな」とか、「あの子は夢だった留学に行けてたのかな」とか。私は何か変わってたんだろうか。案外今とそんなに変わってないのかな。

塞ぎ込みたくなるような日もあるけど、いつだって現実から逃げ込む先は深夜ラジオと音楽、あとお笑い。人の心を動かすお仕事をしている方々は本当にすごい。多分、無かったら壊れていたと思う。一人一人に直接伝えることはできないけど、本当にありがとうございます。救われています。

私はというと、自分が考えていること、感じていることは文字に起こさないと自分でも上手く整理ができないから、こうして文章を綴ることで確認している。それをここに投稿して、たまたま目を通してくださった方が「同じことを感じている人がいた!」と思えたり、「ここはわかるけど、これはちがうかも」とか、何かを考えるきっかけにしてくれたらいいな、なんていうちょっぴり承認欲求のような何かもあったりしながら。

あなたも、わたしも、どうか健康で。
泣いて笑って、大笑いして、好きなものや人を抱きしめて。

あかるい未来がやってきますように。


この記事が参加している募集

クリエイター活動をサポートしてくださる方を募集しています。読んでくださる方の感情を動かせるような素敵な文章を書けるように日々努力します!︎☺︎