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イエメン “幸福のアラビア” | ミュージック・ジャーニーvol.67

皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、中東のアラビア半島南端に位置するイエメン共和国へ、駐日イエメン共和国大使館の皆様とともにご案内いたします。

  • 面積 55万5千平方km(日本の約1.5倍)

  • 人口 約2,983万人(2020年)

  • 公用語 アラビア語

  • 地理・気候
    紅海沿岸:高温多湿。最低気温も30℃を超える
    アラビア海沿岸:高温多湿。モンスーンの影響を強く受ける
    山岳地帯:1年を通じて穏やかな気候。多様な植物が育つ
    砂漠地帯:1年を通じて乾燥。夏の気温は50℃にもなる

イエメンの旅のしおり
・首都サヌアの旧市街で歴史的な街並みに触れよう
・名物料理「マンディ」と「サルタ」を味わってみよう
・独自の音楽文化と伝統舞踊を学ぼう

古くからインドと地中海を結ぶ「海のシルクロード」の中継地として栄え、“幸福のアラビア”とも称されたイエメン。今回は首都サヌアを中心に、イエメンの歴史と文化に触れる旅へ出かけましょう。


現存する世界最古の都市 首都サヌア

イエメンの首都は、標高2,300mの高原に広がるサヌアです。高さ12mの城壁に囲まれた旧市街は、かつて「レンガの摩天楼」と呼ばれており、堅固で入り組んだ都市構造に特徴があります。

世界最古の街の1つとされており、今でも街そのものがまるで“野外博物館”のような価値を持っています。630年に創建された大モスクをはじめ、イスラムの古代建築がそのままの姿で保存されており、歴史的な価値から1986年にユネスコ世界遺産に登録されました。

イエメンの衣・食・住

イエメンの文化について、衣食住の3つのテーマから特徴的なポイントを見ていきましょう。

衣:先祖代々受け継がれる短刀「ジャンビーヤ」
イエメンの男性は、「ザンナ」と呼ばれる白いワンピースにジャケットを羽織るのがスタンダードです。そして、特徴的なのが、腰ベルトにはさんで装着したジャンビーヤと呼ばれるJ字の短剣です。

これは、家柄や民族の誇りを示す重要なシンボルであり、先祖代々受け継がれているものです。本物の刀ではありますが、日常的に使われるわけではなく、自由や権利を象徴するアイテムとしての役割があります。

食:伝統料理とモカコーヒー
イエメンで生まれた「マンディ」は、アラブを代表する料理として、世界中のレストランへと広がった名物料理です。風味豊かなローストマリネチキンとスモーキーライスを組み合わせ、オーブンで蒸し焼きにします。

また、石鍋や鉄鍋を高温で熱し、ひき肉ソテーや野菜のトマト煮、ご飯を入れて煮る「サルタ」も、イエメンの国民食と言える代表的な料理です。

イエメンはモカコーヒーの最高級品種「モカ・マタリ」の産地でもあります。山岳地方で採れたコーヒー豆が、イエメンの港町「モカ港」から世界中へ広がっていったことから、モカコーヒーという名称が浸透したとされています。

住:効率的なエコシステム
森林の少ないイエメンの住宅は、建材に石や日干しレンガを用い、塔状に積み上げて建てられるのが特徴です。サヌアでは古くからこのスタイルの住居が発展してきたことで、独特な住宅のつくりを活かしたエコシステムが確立されています。

住宅の各階にはトイレが設けられ、排せつ物が建物内の穴を通って1階の専用スペースに集められる仕組みとなっています。各戸で回収された排せつ物は、公衆浴場「ハンマーム」(蒸し風呂)の燃料として使用され、燃えカスは市内にある菜園の肥料となります。

そして、菜園で育った野菜が人々の生活を支えるという自然なサイクルシステムが成立しているのです。

イエメンの音楽と伝統舞踊

イエメンの人々にとって、音楽は古くから日常生活と切り離せない存在となってきました。ここでは、イエメンの音楽と芸術文化についてご紹介します。

イエメンの楽器の種類
■オールド・サヌア・ウード :イエメン古来のリュート。鷲の羽で弦を叩いて演奏する
■カーヌーン:台形の箱に多数の弦が張り巡らされたアラブの伝統的な撥弦楽器

「カンブース」とも呼ばれるオールド・サヌア・ウードは、アラブ地域で広く使用されているウードより一回り小さく、1本の木をくり抜いて作るのが特徴です。カンブースと銅製の盆である「サーン・ヌハース」を用いて演奏する「サヌアの歌」は、口承で伝わる伝統音楽であり、保護すべき文化として無形文化遺産に登録されています。

カーヌーンは3本1組の弦が27列張られた撥弦楽器であり、音域は3オクターブ程度あります。アラブ音楽の特徴的な音階を持つ楽器であり、すべてのアラブ音楽の楽器の土台や法律ともいえる重要な存在と考えられています。また、イエメンの伝統音楽では、このほかにバイオリンやフルートなどの楽器も使われます。

民音では、2009年にウード奏者のアハマド・ファティ氏を招いてリサイタルを行いました。

伝統舞踊「アル・バラア」
イエメンには100を超える踊りがあると言われています。なかでももっとも普及しているのは、結婚式やお祝いの席で踊られる伝統舞踊「アル・バラア」です。

観客が円形に集まって輪を作り、そのなかで2人以上の代表者がジャンビーヤを持ち、太鼓の伴奏に合わせて勇壮に踊るのが特徴です。地域によってさまざまな様式があり、それぞれ伴奏や動きの速さなどが異なります。

最後に、駐日イエメン共和国大使館が推薦する音楽家の演奏をお楽しみください。

1.Balqees Ahmed Fathi

2.Fouad Abdelwahed

3.Hager Noman

4.Omar Yassen

皆さん、イエメンへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供:駐日イエメン共和国大使館


ご案内

この記事は英文での提供もしています。
https://www.min-on.org/14556/min-on-music-journey-no-67-yemen/

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