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日本一の桜を見てきた。(吉野山)

日本一の桜といえばどこのことを指すのだろう。

様々な意見があると思うが、今回は吉野山の桜を取り上げたいと思う。

西行、豊臣秀吉や本居宣長など昔から多くの人が魅了されてきた吉野の桜。
それを見ずして日本の桜は語れないと思ったのも理由だ。

朝4時起きで山へ

まだ太陽も登っていない時刻、吉野山に向かうため近鉄電車に乗り込んだ。

吉野山は奈良県の南部にある。奈良から電車でだいたい2時間弱ほど。

橿原神宮駅で吉野線に乗り換える。
平日の朝早くにもかかわらず電車にはそこそこの乗客。
みんな吉野山に桜を見に行くようだ。

電車がなかった時代の往来はどれだけの苦労だったのだろう。
車窓を流れる風景を見ながら考える。

都人からは異界とみなされるほど辺境にありながら、修験道の聖地としても全国に名を知られ昔から数多くの人が訪れている。
それほどに引き付けられる何かがある土地なんだろうか。

平日で朝の7時にも関わらずこの人出。

吉野駅に到着し、はやる気持ちを抑えながら改札を出る。
早く桜を見たい。できればあまり人がいない朝のうちに。

花の山

駅改札を出てすぐ。

花の山だ。

山を見て単純にそう思った。
桜がみられるポイントはもっと先にあるのだが、一目見てこの山は他とは違う、と感じた。

人が少ないこともあって、心地よい静けさが漂っていたのも原因かもしれない。

吉野山はエリアが複数分かれており、それぞれのエリアで桜の開花時期も違う。
自分が行った日は山の最奥部、奥千本以外のエリアの桜が満開という最高の状況だった。

七曲り、と呼ばれるつづら折りの坂道を上る。10~20分ほどで吉野山の名刹、金峯山寺までの参道にたどり着く。

朝早いだけあってまだ店は開いておらず、地元の方々が開店準備をしている。
春の吉野山はそれはもうとんでもない人出なのだという。

参道を歩くと銅でできた大きな鳥居が見えてきた。
この鳥居は修験道における吉野山の入り口らしい。
山伏はここで俗世との決別を誓い、山に入った。

銅の鳥居からしばらく歩くと、ひときわ大きい寺院が見えてくる。
金峯山寺と呼ばれるこの寺の歴史はとても古い。

朝早かったのもあり、軽く寺の外観を見て目的地の展望台へ向かう。

最初の目的地は、金峯山寺から少し歩いたところにある吉水神社。

ここの一目千本と呼ばれる景色を見たかったのだが、なんと開門前。

寺社仏閣は朝が早いと思っていたけど、吉野はどうやら違うらしい…。

花矢倉展望台

眼下に金峯山寺が

しばらく上ると花矢倉展望台(の下の見晴らしがいい場所)にたどり着く。
めっちゃ桜咲いてた。景色も抜群。
さっき通り過ぎた金峯山寺もはるか眼下に見える。だいぶ上ったな。

ただし斜面が危ない。
平日の朝にもかかわらず三脚を持ったおじさんやドローンまで持ち込んでいる人などそこそこ人がいた。

修験の地へ

そこからさらに山を上がると吉野水分神社という神社が。
式内社でもあり枕草子にも出てくる他、本居宣長が3度詣でたともいわれており歴史の深い神社だ。

吉野水分神社の境内の桜
別名 散らない桜とも

ここの境内の桜がなかなかすごかった。
金峯山寺はとにかく大きく派手、という印象だったが
こちらは積み重ねてきた歴史からくる、素朴な美しさを感じた。

そこからは吉野山の総地主神を祀る金峯神社に向かうためさらに山を上がる。

吉野水分神社まではそれなりに歩いている人がいたが、ここまでくると人の姿もまばらになってくる。

金峯神社の前の参道には桜並木が

金峯神社まで到着すると、それまでとは打って変わって人がたくさん。
どうやら麓のほうからバスで上がってきているらしい。
参道の桜並木を写真に収めようと盛り上がっていた。

金峯神社
金鉱を守る金山毘古神が祀られている。

かつて吉野山には金鉱があると考えられていたらしく、そのため祭神も金に係る神様なんだそう。

実際、金が取れたかは別として、今では桜が金鉱のようなものだな(?)
と下から続々上がってくる人々を見て思った。

神社からほど近いところにある義経の隠れ塔

神社から少し下ったところには義経が隠れたといわれる建物が。
義経は追手から逃げるために屋根を蹴り上げたそう。

こんな山奥まで逃げてもまだ追われるとは…。

現代でも修験道の修行の際に使用されているらしい。
この中に籠って何やら儀式をするらしいが詳細は隠されている。

金峯神社からさらに奥に向かうと、西行が住んだといわれる庵がある。

ここからは大峰奥駆道と呼ばれる修験道の修行場の雰囲気が強くなってくる。

しばらく杉林に囲まれた石畳の道を歩いていると、視界が開けてくる。

西行庵

この辺りは奥千本と言われるエリアで、ほかの場所と違い桜はまだ満開ではなかった。それだけ山奥ということだ。

こんな人気のない場所で一人で生活していて、西行は寂しくなかったんだろうか…。

伐採されてる木が多い
西行庵から金峯神社に戻る道

少し足を滑らせたら斜面をずり落ちそうな道を歩く。
周りはみんな登山靴を履いていた。

ここまでくると俗世と断絶した雰囲気が

神社まで戻ると来た時よりさらに多くの人が。

金峯神社からは金峯山寺近くの竹林院までマイクロバスが15~20分間隔で出ている。
流石にもと来た道を下る体力はなかったため利用する。

下りバスの乗客は自分ひとり。

竹林院近くまで行くと、運転手さんが申し訳なさそうに
「今の時期は発着場が竹林院よりだいぶ手前になってるんです。」と言ってきた。

降りてみると金峯神社までの上りバスを待つ長蛇の列が。
バスに乗るには2時間待ちらしい。
恐るべし桜の吉野山。

蝶のように舞う桜

時刻は11時過ぎ。この混雑では昼時になる前にご飯をとったほうがいいと思い店に入る。

するとちょうどお店の前の通りに山伏が率いる大名行列が。
なんでも2年ぶりの再開らしい。
お店の方がそろそろ来るよ~!と言ってくださったので食事そっちのけで慌てて見に行く。

人だかりであまり見えなかった。

坂本屋の吉野葛うどん
修験者が吉野山に持ち込んで以降、葛は吉野の名物だ

行列が金峯山寺のほうへ去っていくと自分しかいなかった店内に次々と人が入ってきた。

この坂本屋の窓から見る桜がまた絶景で、桜の花びらが風に乗ってチラチラと舞い上がる光景には言葉を失った。
まるで一つ一つの花びらが蝶のように乱舞していた。

千本桜

一目千本
本居宣長もこの桜を見に三回詣でたという

食事を済ませた後、朝入れなかった吉水神社へ。
神社ではあるものの拝観料を払う。

境内から眺める一目千本はそれはもう見事だった。
写真だと少し遠目に写ってしまっているが、実際はもっと身近に桜の山が迫っている。

花矢倉展望台よりこちらのほうが自分は好き。

最大の目標を達成した後は金峯山寺でお参り。
山伏の方々の儀式も見られてよかった。

13時頃には下山。

総括

ソメイヨシノの名前にも入っているように、桜といえばやはり吉野を見ずには語れない。そう思ったのがこの旅の始まりでした。

結果として桜以外にも、吉野山の奥まで歩き回って色々見たわけですが。
思ったより山道を歩くことになって焦りました。

金峯神社から下りのバスに乗って竹林院までたどり着いた時の”現世に戻ってきた”感はすごかったです。

花見をするのであれば、午前9時の開門と同時に吉水神社の一目千本を見るのがいいと思います。金峯神社がある奥千本まで行く必要はないかな・・・。

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