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【日記】2021.12.8

 朝から大雨が降っていた。
窓を開けると、凄まじい雨音と、冷たい空気がなだれ込んできた。
朝7時、雲に覆われた空は薄暗く、外灯を付けっぱなしにしていても違和感がなかった。

 寒い朝は嫌いじゃない。
白湯用の湯を白いヤカンで沸かす。
その間に珈琲メーカーのスイッチを入れると、部屋を珈琲の香りが満たす。
湯気がたつ白湯をそっと口に含むと温度と共に体が整うのを感じた。

 朝は古典を読む。というルーティンに憧れているので、角田光代訳の『源氏物語』の頁をめくる。
読みかけの「夕顔」の巻を開く。と、ここで、我が家の小さい人が起床し、騒がしくこちらへ駆けてくる音がする。

 また、朝読書の時間はとれない。
けれども、今だけのこの喧騒を愛そうと、今日は優しい気持ちでいられた。
大雨の音がいつの間にか遠くなる。
朝からパンと私と牛乳を求めてくるこの小さい人を、抱きしめた。
そして、中々ルーティン化できない、『源氏物語』を閉じてそっと棚に戻した。

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