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現場からの福祉

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当事者の生きたい生き方が出来ない。 いつまで経っても不完全な制度や仕組み、 どんなに組み合わせても私たちは満足出来ない。 求めているのは、皆さんがしている普通の暮らし。。
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2018年1月の記事一覧

ベクトルの違い

ベクトルの違い

 アパートの外にあるセキュリティーから教えられた部屋番号を入力して、呼び出しを押すと、しばらくして、本人が手すりを伝うようにして、外扉のロックを解除しに出て来る。室内からの開錠はうまく動作しないらしい。玄関から通されて、お邪魔すると、1Kのアパートは、玄関から左手にユニットバス、右手に対面のキッチンがあり、その奥がとベッドとホットカーペット、ただ、そのカーペットの上には趣味のアニメやら時代劇のDV

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渡れぬ川があるのか

渡れぬ川があるのか

まあ古い歌ですが、「黒の舟歌」というのがあって、「男と女の間には、深くて暗い川がある。 誰も渡れぬ川なれどエンヤコラ今夜も舟を出す」っていう歌詞が、最近心に響くのです。そう障害当事者と私たち健常者の関係性のことです。私たちの仕事の基盤は自立生活運動です。ですから当事者主体なのです。全国にある多くのセンターが工夫していることに、 障害当事者が主導権を持つことで、健常者主導にならないような体制を作って

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相模原障害者施設殺傷事件

相模原障害者施設殺傷事件

 7月26日、朝からとんでもないニュースが飛び込んで来た。目を背け、思考を強制的に止めた。連日のワイドショーなどのコメンテーターの言葉にも耳を閉ざした。
 3日後に当事者研究の第一人者である東大先端技術の熊谷晋一郎准教授がファイスブックに次のような投稿をした。・・・相模原の事件報道以降、気持ちが落ち着かない理由の一つは、リハビリキャンプでの記憶が侵入的に思い出されるからだということに、今朝、なんと

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幸せのミッション

幸せのミッション

病院駐車場に向かう間に雪が舞い始めた。鉄輪線ですれ違う人や車に師走の慌ただしさが行きかう。指示された時間ギリギリに病室に駆け込むと、居合わせたスタッフが他の患者さんの看護の手を止めて、大林さんの着替えから車椅子への移乗と、声かけと笑顔を絶やさずに行う所作が手際よく見ていて気持ちいい。スーツに身を包んだ大林さんに来たことを告げると、顎をしゃくりサイドテーブルに置かれたパソコンを見るように目で促して来

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