みみずくの耳

たわいもない話を書きます。

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緑の君

人は入れない不思議の森の片隅に 緑の君が住んでいます。 たぷたぷとした泉のほとりに 赤い屋根と白い煙突。 彼女の家には、小人達が集まります。 彼女の振る舞う甘いお菓子に魅せられて 木の実や赤い花を見つけては 褒めて褒めてとやってきます。 あまりに沢山の花を抱えてきた小人を、たしなめることもあります。 彼はしょげながらも、どこか嬉しそうにしています。 なにせ緑の君はとても美しく 困った顔もたまらないのです。 日が暮れると、彼女の髪からは小さな雫がこぼれ落ちます。

    • 産後の恨み、更年期の嗜み

      産後の恨みは一生ものだという。 実際、私は根に持つ方だ。 初めての出産。 我が子は夜中の2時から朝の5時まで寝ない子だった。 退院前日の夜は、ナースステーションに預けた。しばらく眠れない夜が続くことを覚悟し、今晩だけでも休んでおこうと思ったのだ。 諸事情により、里帰りはしなかった。 義母と産後ヘルプサービスにお手伝いをお願いしてあるから、何とかなるだろうと思っていた。実際何とかはなった、の、だが。 退院し、自宅に帰った夜のことだ。

      有料
      300
      • プレイボール

        子どもを育てながら働くということは、古い表現になるが「星飛雄馬のギプス」をつけていることに似ていると思う。 まあ身動きがとれない。窮屈で不自由。 ジャムの瓶は相変わらず開けられないが、5kgの米袋なら軽々と持ち上げられるようにはなる。 そんなこんな修行の毎日。 こんなに頑張って毎日徳を積んでいたら、ついうっかり解脱しちゃうんじゃないかしら。そんな風にひとりごちる。 でもまだ悟りは開けない。 別に開きたいわけでもないけど。 さて、ギプスを装着して、いったい何年になるのだ

        • ケサランパサラン

          ケサランパサラン シトリン リンデン たんたんたんぽぽここまでおいで 君に降り注ぐ暖かいものたち 深く息を吸い込んで ケサランパサラン 雪虫泣き虫 泣いてる顔だって可愛いんだ ふわふわゆらゆらおかえりなさい さらさらひらひら行ってらっしゃい 遠く遠くに聞こえる声は こだまコトダマ言ノ葉満ちる チルチルミチルは青い鳥 くろねこどらねこノラノワール 言えなかった言葉も 言ってしまった言葉も 形を変えて漂って ゆらりゆらりと雲の上 魔法使いになりたいのなら、 お願い上手

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          くろねこ

          くろねこどらねこノラノワール うたをうたうわ レットイットビー しあわせひっかけ フィールソーグー あうとトゥナイト よるのフクロウ わたしはここよ 見つけちゃだめよ 花いちもんめにかごめかごめ はやく逃げるわ逃げるが勝ちよ やなことないないあっちへポイポイ 姫りんごとか食べたい気分よ 夏とか冬とか関係ないわ

          カサンドラコンピューター

          未来を見ることは、それほど難しいことではない。 個々の現状、思考傾向、施行条件、案件をインプットする。 予測が弾き出される。 火を見るより明らかだ。 テスト勉強をすればテストの点数は上がる。 インフルエンザなど予想外のことはもちろんあるが、それはあくまでアクシデントだ。 インプットする情報は正確なほど、予測の精度は上がる。 不正確な情報には修正が必要だ。 できるならやりたいのか、本当にやりたいのか、とりあえず言ってみただけなのか、実はやりたくないのか。 発言と思考はイ

          カサンドラコンピューター

          「産まれちゃうよ」

          人にはきっと一生忘れない言葉、というものがあると思う。 私にとってその言葉のひとつがこれだ。 ようやっと産休に入った頃のこと。 まだ正期産に入っていないのに、やたらとお腹が張ってしまう。40代の高齢出産、もとからの運動不足もあり、体力は限界。それなのにイヤイヤ期真っ盛りの上の子の保育園から、15時のお迎えを指示されてしまった。 あまりにも辛くて、夫の送り迎えを許可してもらうために診断書を書いてもらえないかと妊婦健診で相談したら、今から入院と言われた。予想以上でびっくりした

          「産まれちゃうよ」

          わたしのほんとの願い

          ハンモック 花ぶらんこ 白いヴェールのウェディングドレス 豪華客船 もかまたり 「夢の中ではいつも風が吹いている」 透きとおった宝石のような湖 グリーン車 静寂 雨の音 「こんな夢をみた」 夢の中のわたしは万能の神にもかかわらず、空を飛ぶことさえままならない。 追いかけられる。 落ちる。 蛇に虫に闇に。 「旅をするように生きたい、なんてのたまってみる。」 人生は旅だ。 思うようにならない旅だ。 バレリーナのように軽やかに舞い、歌姫のように甘い言葉をささやく。 人

          わたしのほんとの願い

          いつまでも あると思うな エビフライ

          いつまでも あると思うな エビフライ

          Pick-me-up

          ふわふわと漂う意識が、 パチンと弾ける音で呼び戻された。 ここはどこだろう。 ああ、そうか、森に帰ってきたんだった。 思えば長い道のりだった。 見えているのに辿り着けない蜃気楼のように、 指の間からすり抜ける砂のように、 私に還る旅は困難を極めた。 ここは暖かくていい香りがする。 温めたミルクとシナモンの香りだ。 うとうとしながら寝返りをうつと、 柔らかな光がまぶたを刺した。 ふと、不安がよぎる。 目を開けていいのだろうか。 この朝を信じていいのだろうか。 怖

          青い鳥

          その鳥は不思議の森の西のはずれに住んでいました。 長く美しい2本の尾羽と、遠くまで響く鳴き声は人々を魅了しました。 しかし、いつの頃からか、その青い羽根は高値で取り引きされるようになりました。 しまいには長い尾羽を求め、狩人が森に入ってくるようになりました。 狩人を恐れた青い鳥は、鳴くのをやめてしまいました。 そしてその頃から、青い鳥は西の森の奥深くで、ひっそりと暮らすようになったのです。 青い姿が目立つ昼は眠り、闇夜に紛れるように生きることにしたのです。 月の美

          冷凍庫で長らく放置されたしらすとねぎを入れた卵焼きがおいしかったことが、私の機嫌を直すのだ。

          冷凍庫で長らく放置されたしらすとねぎを入れた卵焼きがおいしかったことが、私の機嫌を直すのだ。

          テンペスト

          雨が降る わたしの上に わたしの内に しとしとと降り注ぐ わたしはたぷたぷと波をうつ わたしは涙のあつまりなのだろうか ふとそんなことを思う いつもそう、 やりたいことは沢山あるのに 動けなくなってしまう イライラして頭が痛くなる 食べて寝たら治るのだ、簡単なことだ 同じことの繰り返しだ 雨がわたしを守るように、隠すように降る 怖いものは見なくていいよと囁く 眠りにつくわたしは、けれどもどこか冷静で、 雨がいつまでも降らないことに備え、 鎧をまとい始める。 準備を怠って

          きいろ

          宝石ならトパーズ、シトリン、リンデン ひまわりだとちょっと強い ガーベラも違う 菜の花おしい ミモザ そうそう 卵の黄身 そっちじゃない ひよこ ドクターイエロー ぐぬぬぬぬ 紅花で染めた布 軽のナンバープレート きいろいろ うずらばたんぽぽ 檸檬 てらてらとした花梨 それは私の「E」を探す旅

          たたかうわたし

          私の仕事は不要不急でしょうか 私の仕事はあなたの仕事より不要不急でしょうか あなたの仕事は私の仕事より不要不急でしょうか 私の存在は不要不急でしょうか 私の存在はあなたの存在より不要不急でしょうか あなたの存在は私の存在より不要不急でしょうか 一周回ってなんだか呑気なことを考えています 愚か者はいつの時代にもいますが 愚かであることと悪であることは少し違うように思います 賢くあることが正解でもないように 幸せは少し不自由です 自由が少し不安なように 風のようにあるこ

          たたかうわたし

          メンヘラメルヘン

          メンヘラメルヘンお菓子をどうぞ メンヘラメルヘン甘い罠 魔女は怖いか怖いは子ども メンヘラメルヘン泣くのはおよし 犬も食わない痴話喧嘩 メンヘラメルヘンここまでおいで いつまでたってもイヤイヤ期 ああつまらない、ああくだらない、 いつかどこかで見たよな悲劇、 いつかどこかで見たよな喜劇、 ほじくり返して知ったかぶって、 放り出して逃げ出して。 目眩クラクラメンヘラメルヘン 痛々しくて羨ましいの 変わる変わるよ 気分に呑まれ 虫酸が走って東奔西走 メンヘラメルヘン

          メンヘラメルヘン