みみずくの耳

たわいもない話を書きます。

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緑の君

人は入れない不思議の森の片隅に 緑の君が住んでいます。 たぷたぷとした泉のほとりに 赤い屋根と白い煙突。 彼女の家には、小人達が集まります。 彼女の振る舞う甘いお菓子に魅せられて 木の実や赤い花を見つけては 褒めて褒めてとやってきます。 あまりに沢山の花を抱えてきた小人を、たしなめることもあります。 彼はしょげながらも、どこか嬉しそうにしています。 なにせ緑の君はとても美しく 困った顔もたまらないのです。 日が暮れると、彼女の髪からは小さな雫がこぼれ落ちます。

    • グリーン車に乗ろう

      そう、分かりやすい贅沢がいいね。 また会いたいなんてまだるっこしいことを言わずに、 ちゃんとまた会えるように、一歩を踏み出したいの。 少しためらうのは、 少し後ろめたいからかな。 何を話したらいいのかな。 お互いきっと色々あったよね 墓まで持っていくつもりのことを つい話しちゃったとしても 別にそんなに覚悟がいることでもなかったかと 拍子抜けしちゃうかもね グリーン車に乗ってあなたに会いに行きたいんだ とっても素敵な思いつきでしょう? 3段のお皿が並んだアフタヌ

      • 蟹の宿

        安心できる場所がほしい。 誰かに安心できる場所を提供したからと言って、その場所が私が安心できる場所とは限らない。 私が安心できる場所は、残念ながらここじゃないのだ。 分かっている、私は責任感がある方だし、望まれていることは理解できるし、ある程度なら対応可能だ。 (もちろん得意不得意はあるが) そんななかでもこっそり、自分の楽しみを隠し持つことはしてみた。 六花亭のレーズンバターサンドを生協で注文したり、塾のお迎えの前にこっそりバーに行ったりしてみた。 楽しかった。

        • 銀木犀

          あれは、いつだったか、君が好きだと言っていた花だ。 金木犀より銀木犀の方が好きだと  見たことがないという私に 香りは金木犀の方が強いけれど 銀木犀はそれはもうとても綺麗なのだと あれはいつのことだったかな。 もうすぐ街に金木犀が香る 一昨年、市役所の裏に、銀木犀の茂みを見つけた。 ねえ、もう君の2倍も生きちゃったよ   君が結婚したのにも大概驚いたけど 私が子育てしてるのも大概驚きでしょう? わりと真面目に働いてるのよ ママ友づきあいは難しいわ ああでもママ

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          たいせつ

          たいせつにしたら、たいせつにしてもらえるのかな。 そういう期待はよくないよな。 見返りを求めちゃいけないのかな。 たいせつにしてもらいたいのよ。 自分で自分をたいせつにするのと、 誰かからたいせつにしてもらうのは、 似ていなくはないけれど、 やっぱり全然違うものだわ。 ありがとうとごめんなさいが言える人は、 何のかんの言いながら 可愛がられるの。 私の好意は当然だと思っていない? 逆なのかな 私があなたの好意を当然だと思っているのかな? イライラするのは疲れてい

          書きたいことが無くなった、その先に

          いつか書きたいことが無くなってしまうのだろうか。 と言うより、今は、 書きたいことを一通り書き終わってしまいたい。 その先に、私の中から出てくる言葉を、私自身が知りたいのだ。 何か新しい言葉が出てくるのか。 結局同じことをまた書いてしまうのか。 また書いてしまうほど、自分にとって大切なことは何なのか それを知りたくて私はきっと書いている。 繰り返されるモチーフのように 私の毎日の傍らにある思いを 言葉にすることで いつでも取り出せるものにしてみたい。 幸福も不幸もいつ

          書きたいことが無くなった、その先に

          たわいもない話

          たわいもない話がしたい なんの役にも立たない話 誰の心にも残らない話 話を聞いたことだけは覚えているような話 きっとそれは私の人生そのもの そういえば教室にいた気がする 何回か一緒にご飯を食べた気がする それくらいの存在 一度サシで飲んでみたい、くらいに思われるのが理想かも。 実際のところ、私は変なところで気を使ってしまう。 他の人の話をなるべく遮らないように、とか 面白くない話をわざわざ聞かせてどうするんだ、なんて考えてしまう。 でも本当に大事なのは たわいもな

          たわいもない話

          ひとりのじかん

          ひとりの時間が欲しい。 たぶん、世の中の子育てをしている女性の大半はそう思っている。 逆に、ひとりの時間が苦痛な人だっているのだろう。 それはさておき、自分の話をしよう。 私には、ひとりの時間が必要だ。 ひとりの時間が必要になったのはいつからなのか。 おそらく、大学生になってからだ。 1人で昼ご飯を食べることができるようになって、大袈裟に言えば私の世界は広がった。 どこで何を食べるか、他の人の意見を気にせずに、自分が食べたいときに食べたいものを食べても、何も問題が

          ひとりのじかん

          ひとりで呑めるもん

          金曜日の夜、ひとりで行きつけのバーに行く。 のに、憧れていた。 ので、やってみた。 やってみましたよ。 まずは行きつけにしたいバーをネットで探します。 私は食いしん坊なので、ご飯が美味しいのは必須条件です。 お酒は弱いので、家から近い方が安心です。 そう、私はお酒が弱いのです。 お酒が弱くてもバーに行きたい。 なにか問題でも? 1回目 たのもーう、と道場破りの気分で突撃。 季節のおすすめカクテルとフィッシュ&チップスを注文。 黙々と食す。 フィッシュ&チッ

          ひとりで呑めるもん

          フローライト

          フローライト フローライト 私の行く手を照らしておくれ かすかな光でかまわないから 私の迷いを溶かしておくれ 後悔したって進みたいんだ 雨が風が私を責める その程度かと蔑むように プライドは砕かれその破片が 敵をも味方をも傷つける よくここまで生き抜けたものだ その点だけは評価しよう 自分で自分を許せないから 誰かに許してもらおうなんて 見当違いもはなはだしい 自分に厳しく他者に優しく 挙げ句の果てに人を羨み こんなはずじゃなかったなんて 毒を吐いて毒をくらって 天

          焦るな、遊べ。

          私はその資格をもう持っている。 ワタシの時間をワタシの手に取り戻す作業中なのだ。 好きだった本は老眼で読みにくくなっている。 そろそろ老眼鏡、もしくは乱視の矯正だけが入った眼鏡が必要だ。 前より読書に入り込むにあたっての集中力というか、スタートダッシュが遅くなっている自覚がある。 しばらく読書家としての現役を離れていたせいか。老化か、トレーニング不足か、どちらだろう。 そんなわけでネットフリックスを見ている。なろう系、地面師、今際の際のアリス。 思考回路のインストール、の

          焦るな、遊べ。

          Greatest Love of All

          愛なんて陳腐な言葉しか見つからないんだけど 君に残したいものは 私が母からもらったもの もし君が死にたくなったとき 親より先に死ぬのはやめておこうと 後ろ髪をひかれる存在でありたいんだ。 自分が不幸になったら悲しむ人がいると そう思わせることさえできればいい。 I believe the children are our future. 君に会えて本当に良かった 地球がひっくり返ったってそれは真実 君の記憶に暖かく残るように 君の未来を繋げるように 自

          Greatest Love of All

          メタファーとしてのルピナス

          ルピナスさん、という絵本を知ったのは、もうずいぶん昔、江國香織さんの本でだった。 なんとなく心惹かれ、本屋で立ち読みしたものの、購入には至らなかった。 先日、子どもが夏休みに読むための本を購入するため、ブックオフに行った。 ちなみに私は本屋も古本屋も好きだ。 作家を応援するために本屋で購入したいのは山々だが、いかんせんこの物価高、本屋なら一冊しか買えない値段で二冊買えるのだから仕方がない。 児童書を子どもに選ばせている隣で、絵本をパラパラとめくっていた。 私は絵本

          メタファーとしてのルピナス

          シンギンインザレイン

          雨に唄うわ たわむれに 土砂降り ザザ降り ペニーレイン 雷なんて怖くない あやしい雲行き 雨宿り ステップターン、手拍子3回 雨傘 置き傘 夕闇 ぬらり 今日のおすすめ ゆば丼ランチ 化石燃料 沈丁花 細かいことは 気にもしないわ ひょんなことから ぬらりひょん I can't make a line make a laugh make a life Moses supposes his toses are roses オールウェイズディグニティ アイニードあピ

          シンギンインザレイン

          愛について

          愛について語るのはとても難しい。 まず、愛という言葉は、愛というものを正確に表現するには、あまりにも手垢がつきすぎているのだ。 一歩間違うと、とんでもなくダサくて嘘くさくて信用ならなくなる。 そのため、愛について語るには、愛という言葉を使わずに、いかにその中核に沿ったものを言語化するかが大切になる。 そもそも、なぜ愛について語る必要があるのかが問題の本質とすら思う。 私に言わせれば、人間は愛を喰らっていきる生物なのだ。 人間の脳は、愛を必要としているのだ。 それは、

          回想かたつむり

          小学校の高学年の時、学校の宿題で詩を書いた。 冬になって葉を落としてしまった木は寒そうで 私だったら葉っぱのお洋服を着ているわ、 みたいな、 落葉樹のしくみは知ってるけど、まあ、ファンタジーとして子どもらしく書いてみた。 ちょっとわざとらしいかなと思いつつ。 そしたら 何を言っているか分からない、とコメントが書いてあって、 ああこの先生、私のこと嫌いなんだな、と思った。 私は校門の横の大きなイチョウの木が好きだった。 本当に、好きだったのだ。 先生に好かれていないこと

          回想かたつむり