バズストーリー

Twitter×美容マーケティングの勝ち筋～Twitterバズストーリー①excel（エクセル）ネイルポリッシュ N～

美容メディアMimiTV_美容×SNSマーケティング

こんにちは、MimiTV編集部の添田裕女です。MimiTVが今年から半期に1度発表している「バズコスメ大賞」が発表となりました👏

「2019年下半期 MimiTVバズコスメ大賞」とは2019年6月〜2019年11月に「Twitter上で話題になった（＝バズった）コスメ※」のこと。MimiTV編集部の精鋭美容オタクメンバーと、厳選されたMimiTVユーザー150名（フォロワーが100名以上で、日頃からアクティブに美容情報の収集・発信を行っている美容垢が対象）の投票で決定しています。

※発売時期は問わない。限定品は除く

バズコスメ受賞アイテムは以下の通りです。

【2019年下半期バズコスメ大賞】
大賞　excel（エクセル） | ネイルポリッシュ　N
2位　MAJOLICA MAJORCA（マジョリカ マジョルカ） | シャドーカスタマイズ
3位　innisfree（イニスフリー） | ノーセバム ミネラルパウダー
4位　CANMAKE（キャンメイク） | メルティ—ルミナスルージュ
5位　MISSHA（ミシャ） | ミシャ　グリッタープリズム　シャドウ
6位　CEZANNE（セザンヌ） | セザンヌ パールグロウチーク
7位　NARS（ナーズ） | ナチュラルラディアント　ロングウェア クッションファンデーション
8位　BioreUV（ビオレUV） | アスリズム スキンプロテクトエッセンス
9位　REVLON（レブロン） | レブロン キス シュガー スクラブ
10位　hince（ヒンス） | トゥルーディメンショングロウチーク

アイテムの詳しい紹介や、美容垢の皆さんのコメントはMimiTV記事メディアからチェックしてください。

さて、本日から全3回にわたって、2019年下半期の「バズコスメ」を分析し、そのバズの秘密を紐解いていきます。今回は、見事大賞に輝いた「excel（エクセル） ネイルポリッシュN」のバズストーリーをご紹介します。


■前提：なぜTwitterでバズったらコスメが売れるのか？

そもそもなぜTwitterでモノが売れるの？今の若い人ってインスタを見てるんじゃなかったの？と思う方もいるかと思います。なので、バズコスメの本題に入る前に、いくつか前提のお話をさせてください。

・Twitterが持つ「拡散性」と「検索機能」

Twitterはリツイートやいいねで投稿が拡散されます。自分のタイムラインに、フォローしている人がリツイート・いいねをしたバズツイートが流れてくることで、自分がフォローしていない人が発信した情報にも自然に触れることが出来ます。その投稿を見た人が、いいねやリツイートでさらに拡散することで「バズ」が生まれます。

多数のユーザーにリツイートやいいねをされることを「バズった」と、そして大勢に拡散された人気投稿のことを「バズツイート」と呼びます。

画像4

このように、拡散の程度が数字で表されていることも大きな意味があると考えています。話題になっていることを一目で数字で理解できることによって、その情報はより目に留まりやすいものになりますし、より拡散を促すことがで出来るからです。どれくらい拡散されたらバズと呼ぶのかはユーザーによってまちまちですが、MimiTVでは、500リツイート以上されているツイートをバズツイートと呼んでいます。

もう１つの重要な機能は、検索です。Instagramはハッシュタグや位置情報では投稿の検索が可能ですが、例えば「#赤リップ #ブルべ 」「#化粧水 #敏感肌 」など複数のハッシュタグを1度に検索することは出来ません。対して、Twitterは複数のワードが含まれるツイートを1度に検索することが可能です。バズったツイートやリアルな口コミが検索しやすいという点も、購入の後押しに繋がっています。

"投稿を見て商品を購入したユーザーたちがさらにその感想をTwitterに稿する"という循環が繰り返され口コミが拡散される”＆購入検討の際に口コミ検索がしやすい”という特性から、Twitterは化粧品マーケティングにおいて重要な役割を果たしていると言えます。

・Twitter独自の存在「美容垢」

美容垢とは、メイクのTipsやコスメのレビューなど美容情報の発信に特化したTwitterアカウントのことで、バズコスメを語る上で欠かせない存在です。
※Twitterを主な活動プラットフォームとしている人のことを「美容垢」と呼ぶ場合が多く、YouTuberや美容家さんのTwitterアカウントは美容垢とは呼ばない風潮があります。

一般的に、自らの顔や名前を出している美容系YouTuberやインスタグラマーとは異なり、顔出しをせず匿名性の高い存在であることが多いのも美容垢の特徴です。匿名だからこそ、人となりに関係なく純粋に美容への熱量を語ることが出来て、その熱量に共感する人がフォロワーになっていきます。

フォロワーを数万人以上抱えている有名美容垢は影響力も絶大です。有名美容垢の愛用品や購入品として紹介され、そのツイートが拡散された結果、リアルでモノが売れるという事例は近年数多く存在しています。

・コスメにおける評判定着とTwitterの関連性

しかし有名美容垢にコスメに関する投稿をしてもらえれば必ず売上が上がるわけではありません。もっと言うと、たった1度のバズや、有名美容垢だけが口コミを投稿しているような状態のままでは、一時的に売上を上げることは出来ても、売れている状態を維持することは難しいでしょう。バズは拡散性はありますが一過性のものだからです。

MimiTVでは、とあるコスメが「優秀」と消費者から一般的に認知されるまでには、大きく分けて以下の3つのフェーズがあるのではないかと考えています。

①評判形成期：一部の美容感度の高い消費者から「このコスメは優秀だ」と認知をされ始める
②拡散期：メディアや有名インフルエンサーによってコスメに関する情報が大々的に取り上げられ、情報が拡散される
③評判定着期：優秀なコスメとして消費者から広く認知をされ、口コミが日常的に形成されるようになる

1つのバズツイートではさすがにこの3つのフェーズまで評判を持っていくことは出来ません。複数のバズがそれぞれのフェーズで発生していることが、Twitterの化粧品マーケティングにおいては重要で、実際にバズコスメを分析していくと、各フェーズにおいて象徴的なバズツイートを確認することが出来ます。

コスメに関するバズツイートとは一重に言っても、バズった時期やその大きさによって評判形成のプロセスにおける意味合いが異なってくるので、そこも定義をしておきます。

バズツイート種類

プチバズ（500RT～5,000RT以下）
コアな美容好きコミュニティ（Twitterで美容情報の発信・収集をアクティブに行っているユーザーたちは、お互いをフォローし合うことでコミュニティを形成しています）で話題になっているくらいの、小規模なバズ。「知っている人は知っている」状態。評判形成期や評判定着期によく見られる。

ミディ（中）バズ：5000RT～1万RT未満
フォロワー数が数千～数万の有名美容垢や美容メディアのTwitterアカウントによって生み出されるケースが多いバズツイート。自分ではアクティブに美容情報の発信は行わないが、Twitterで美容情報を得ようというモチベーションの高い、美容関心層まで届いている。拡散期と評判定着期によく見られる。

グラン（大）バズ：1万RT以上
有名美容垢が生み出すことが多いが、フォロワーが数百人くらいの美容垢や普段美容の発信をしない有名ツイッタラーによる発信であることもまれにある。評判拡散に貢献することが多い。1万リツイートを超え始めると、Twitterを美容情報目的に使用していないユーザー層まで届くようになり、「皆が知っている」状態に繋がっていく。

（最初に小さめのバズをプチバズと呼んでしまったこと、MimiTVのMimiがフランス語なこともあり、バズの大きさをフランス語で表記してみましたが、全然しっくりきません。ちょっとキザな感じになってしまいました。頑張って使っていこうと思います。）

【2020年6月19日追記】
2019年の段階ではバズの規模について、上記のような定義をしておりましたが、美容垢や美容系ツイートの増加により、エンゲージメント数が分散されています。その結果、2020年6月時点で定義をアップデートいたしました。最新のバズ定義についてはこちらをご確認ください。

以上、これからバズコスメを語っていく上での前提です。実際にバズコスメ大賞に輝いた、「excel（エクセル）　ネイルポリッシュ　N」について分析をしていきます。

■バズったのは…excel（エクセル）　ネイルポリッシュ　N

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公式サイトより引用
NL11 フルーツトマト / 1,000円（税抜）※編集部調べ

excel（エクセル）とは、ノエビアグループの常盤薬品工業株式会社のメイクアップブランドです。その他同社の代表的な化粧品ブランドは「毛穴パテ職人」「なめらか本舗」「NOV」など

ブランドコンセプトは「TOKYO RICH CASUL」

東京発信のリアルなトレンドメイクを、直感で使える“スマートコスメ”で提案。自分なりのこだわりを持ちながら、常に新しい変化を楽しみたいあなたへ。リッチなトレンドスタイルを自由に・カジュアルに取り入れて、一歩先行く自分に。―引用元：excel 公式ブランドページ

「プチプラコスメ」に分類され、低価格帯ながら実用的かつトレンドを取り入れたアイテムを展開して人気を博しています。

今回の「ネイルポリッシュ　N」はプチプラネイルには珍しい絶妙なカラー展開と、ムラになりにくさが大人気のマニキュアです。秋に追加された新色を推す声が多く、Twitterでも実際に爪に塗った画像をよく見かけました。「トレンド感のあるカラーネイルがプチプラで叶う」とセルフネイル派から支持されています。

MimiTVユーザーからのコメント
「エクセルのネイルポリッシュは1度塗りだと透けたような発色でムラになりにくく、速乾性なので使いやすかったです。2度塗りでしっかりしてもいいしハケも塗りやすくデパコスネイルが多いのでプチプラでもこんなに良いんだ！とびっくりしました。トレンドカラーも可愛く使いやすいものばかりで嬉しいです。」―あやあや さん@ayn_room1
「エクセルのネイルポリッシュは、限定カラーのピュアクライと、秋の新色ソルティチェリーを購入しました。特に後者は、秋にぴったりなこっくりとしたくすみカラーが可愛く、お気に入りです。プチプラでトレンド感のあるネイルポリッシュが買えたのはよかったなと思います。」–ゆずちゃ さん＠yuzucha_cosme

MimiTVバズコスメ大賞2019年下半期特設サイトより

■バズプロセス

excelバズ分析

こちらの図は、Twitter上で「excel（エクセル）　ネイルポリッシュ　N」について、Twitter上で呟かれた回数の増減をグラフで表したものです。
※リツイートも含みます

こちらのグラフを元に、評判形成・拡散・評判定着のプロセスを説明していきます。

＜１＞評判形成期（2019年3月～2019年8月末）

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プレスリリースより引用
（画像左より）NL01 ミルティスウィート / NL02 フラワークラウン / NL03 ロマンティッククローゼット / NL04 アーモンドバター / NL05 イブニングヴィレッジ / NL06 ドライフラワー / NL07 アールグレイ 各1,000円（税抜）※編集部調べ

2019年3月19日に発売。「仕草まで綺麗に見せる」‟ニュアンスカラー”というコンセプトで、フェミニンで使いやすい9色が登場しました。「肌を綺麗に見せてくれる」と評判になり、有名美容垢が実際に爪に塗った画像を投稿し2.1万RTされたことも。この時期にとにかく多かったのは500RT周辺の、美容感度の高いユーザーコミュニティ内で起きたプチ（小）バズで、これらによって「エクセルのネイルはプチプラなのに優秀！」という評判が作られていきます。

＜２＞拡散期（2019年9月～2019年11月）

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プレスリリースより引用
（画像上段左より）NL10 ソルティチェリー / NL11 フルーツトマト / NL12 キャロットラペ（画像下段左より）NL13 ホットサングリア / NL14 オーシャンフロント / NL15 マロングラッセ  各1,000円（税抜）※編集部調べ

2019年8月27日に新しく6色が追加。プチプラブランドの既存商品には無かった、深みのある秋色で情報解禁時から話題に。MimiTVでも発売日の約1か月前、カラーラインナップと爪に塗った画像を投稿しています。

発売直後から、有名美容垢が爪に塗った画像と一緒にレビューを投稿し、2.8万リツイートされています。有名美容垢や、WEBの美容メディアの発信によってグラン（大）バズが生み出され、「色がとにかく可愛い」「塗りやすいし、ムラになりにくい」など、アイテムの魅力が、美容垢のコミュニティ外にも拡散されるようになりました。

秋コレクションでの盛り上がりが冷めない中で、2019年11月19日に冬の限定色が2色登場。情報解禁→発売で、再びスウォッチ画像つきのレビューが相次いで投稿され、人気がさらに加速します。


画像3

プレスリリースより引用
（画像左より）NL16 カシスシロップ / NL17 スパイシーキス 　各1,000円（税抜）※編集部調べ

＜３＞評判定着期（2019年12月現在～）

11月発売の限定色の盛り上がりがひと段落。現在はあらゆるアカウントでリアルな口コミが発信され、プチプラ優秀ネイルポリッシュの代名詞的なポジションを確立しました。

■バズの立役者

エクセルのネイルは、「美容垢」によってバズりました。セルフネイル（ネイルサロンに通わず、自分でネイルを施すこと）の投稿を高頻度で上げている人気の美容垢が、お気に入りのネイルポリッシュとして繰り返し投稿をしています。1色だけでなく、複数のカラーを組み合わせて楽しめる、というような口コミ投稿もさかんに行われていました。

■まとめ：なぜ、excelのネイルはTwitterでバズったのか？

今までの流れから、excel ネイルポリッシュ Nを、モノ（商品性） / ヒト（情報発信源）/ワダイ（話題性）の３要素に分解してみます。

excelバズ要素

・モノ：スキニーリッチシャドウやグレイズバームリップなど、コスパの高い大ヒットアイテムを世に送り続けている有名ブランドのexcelが出すネイルポリッシュとして、発売前から注目度は高かった

・ヒト：美容垢の中でも、ネイルの投稿が得意な人たちによって「実際に爪に塗った画像が拡散された」ことで、購入した後の使い方やアレンジ方法が消費者によって想定しやすく、購入の後押しに繋がった

・ワダイ：コスパとカラーバリエーション。塗りやすくてムラになりにくいという機能性はもちろん、肌をきれいに見せてくれるニュアンスカラー（初登場時）」→「プチプラには無かった、秋らしいくすみと深みのあるカラー（秋コレクション）」→「ホリデーシーズンにぴったりなラメの輝くカラー（限定コレクション）と、秋以降の、季節に合わせたカラーの訴求が消費者に上手く刺さった

Twitterの投稿によって「発売直後にバズによって話題が生まれ、継続的な購入につながる話題が続いたことで、優秀なアイテムであるという評判が定着した」事例であり、excel（エクセル）　ネイルポリッシュ　Nは「バズコスメである」と言えるでしょう！

今回は堂々の1位に輝いたアイテムの分析をご紹介しました。次は、今年の夏に大活躍したであろう、「innisfree（イニスフリー） ノーセバム ミネラルパウダー」のバズストーリーをご紹介します！

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