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歴史を学ぶということ by日本史専攻の大学生

大層なタイトルを付けてしまいました、、、        

はじめまして、モルです。
大学では日本史学を専攻しており、専門分野は近現代史でした。どこからが近現代史か、と聞かれると難しい問題ですが、所属していたゼミは幕末期から現代まで幅広く扱っていましたね。


    日本史学専攻を選んだのは、とにかく小さい頃から歴史(特に新撰組)が好きだったからです。大学4年間、本気で勉強するなら好きな日本史をやりたい、という思いで選びました。

しかし、「大好きな新撰組を研究する!!」という理由で日本史学専攻を選んだにも関わらず、入ってから新撰組研究の難しさを知りました。マニアが多く、研究がやりつくされているらしいので、新史料が見つからない限り研究は難しいそうです。。。

 そんな新撰組好きの私が、最終的に太平洋戦争期の陸軍を研究することになったのは、後の恩師になる教授に近現代史の面白さを教えていただいたからです。史料から歴史的意義を見つける面白さを学びました。

卒論は、戦時中と戦後のGHQ下の、アメリカ陸軍の中で活躍した日系人二世語学兵と戦後の対日政策について書きました。
 日本ではあまり知られていないように思うのですが、太平洋戦争期のアメリカ陸軍の中には日本人移民の子供である、日系人二世が語学兵として起用されていたんです。彼らは日本語能力を買われ、戦時中は暗号文書の解読や日本兵への降伏勧告、戦後のGHQ下では通訳や文書作成などを担い、日本側とアメリカ側の架け橋のような役割を果たした人たちです。アメリカ国籍を持つアメリカ人でありながら、身体は日本人。次第に高まる排日気運、そして両親の祖国である日本との戦争…。彼らの複雑な心境と葛藤は計り知れません。

そんは彼らが、アメリカと日本、両国の文化や国民性を知る特異な存在ゆえの独自の価値観を活かし、戦後の対日政策(農地改革)に関わっていたのではないか、と仮説を立てて研究しました。

日本では特に、『二つの祖国』のモデルとなった伊丹明が、日系二世語学兵として知られているんじゃないかなと思います。小栗旬さんが主演のドラマ(リメイクver.)もあります!!

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前置きの自己紹介はこれくらいにして、本題に入りますね。

なんで歴史って、学ばなければいけないのでしょうか?

「なんで今更歴史なんて学ぶの?」「歴史って面白い?」「暗記科目でしょ?」
大学では日本史学を専攻している、というたびに散々聞かれてきました。

日本史に興味がない人からしたら、そう思うのも無理はないですよね。私も数学が大の苦手なので、数学科の人に同じようなことを聞いてしまうと思います。

大学入試の時も、先生に「史学科?歯学科の方か?」と言われたり「日本史を選んで、就職どうするんだ?」と言われたり。大学では好きなことを学ばせてくれ!!と思いながら、右から左へ聞き流していました。

ようやく、私はこの答えを自分なりに見つけられました。

人間が長年かけて作り上げてきた、人間の歴史というものからしか得られない学びがあるから、です。


「人間は何度でも愚かなことを繰り返す生き物です。だからこそ私たちは歴史を学び、未来に活かさなければいけない。」

私の尊敬する恩師の言葉です。


 記録されて現代まで語られている「歴史的な出来事」というのは、膨大な歴史の流れの中で現代にまで残るくらいですから、必ず何かの転換点になっていると思います。

    その歴史的な出来事が起こったときに当時の社会はどう変化したのか、その出来事にどの様な歴史的意義があったのか。膨大な史料を用いてこれらを見出すこと。そして、現代の問題に生かすことができないかと模索する事が、歴史を学ぶ意味であり同時に歴史を学ぶ楽しさなんじゃないかなと。
少なくとも、私はそう思っています。


 歴史的な転換点と言っても想像しにくいと思うので、具体的な事例を一つとして、1928年の張作霖爆殺事件を挙げますね。
 この事件は中国の重要人物である張作霖を、日本陸軍のある一派が不慮の事故に見せかけて爆殺したというものです。当時の首相であった田中義一は、犯人をきちんと罰さずに曖昧にしたことから、天皇の不興を買い、結果的に総辞職に追い込まれます。田中は、犯人を引き渡さない陸軍と、軍紀維持のために犯人を罰しろという昭和天皇(with西園寺公望)の間で板挟み状態になっちゃうんですね。。。

この事件のポイントは、
・陸軍が匿った犯人を、軍法会議にかけ正に処罰することができなかった。
→内閣が軍部に屈してしまった。

・陸軍内部の長州閥(田中義一ら)vs反長州閥(上原勇作ら)という争いに終止符が。
→反長州閥のメンバーはその後二・二六事件の首謀者に。

政党政治から、一気に天皇の統帥権を振りかざす軍部の独裁政治へと移行していく歴史的転換点となった事件と言えると思います。
この結果、日本の内閣は軍部が中心となり、次第に暴走。数年後には日中戦争、そして太平洋戦争へと突入していきます。 

※諸説あり、個人の見解です。


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 最近は、どうやったら大学で日本史学を専門的に学ぶ人が増えるのかなぁとぼんやり考えています。

 大前提として、大学の日本史は暗記じゃないよ!日本史の知識が豊富じゃなくても大丈夫だよ!っていうことを伝えたいですね。知識よりも、文章読むのが苦痛ではなくて、何より歴史が好きという思いがあれば問題ないと思います。
(専攻の友人には、高校で日本史の授業すら受けたことの無い理系の子もいました笑)  

 もし今、大学受験を控えていて専攻分野に悩んでいるのなら、歴史に限らず大学では心から学びたいと思う分野を一度考えてみてはどうでしょう。就職に役に立つとか、倍率が低いとか、親に薦められたとか、そういう事は一度忘れてさ。

もちろん、まだ思いつかない分からない人は、そういう視点で選ぶのも1つの手だと思います。でも、もし心から学びたいと思う分野があるなら、周りから反対されても貫いて欲しいです。心からそう思える分野があるというのは、幸せな事だし素晴らしい事だから。

私は日本史専攻を選んだ事を後悔していないし、就職で困ったことも役に立たなかったこともないです。就職に活かせるかどうかは、入ってからの自分の頑張り次第かなと思います。(私は就活では、卒論を書く時に史料を求めて単身でアメリカに飛んだ話をするとウケが良かったです)


私の意見をどこかに書き留めて置きたくて、思うがままに文章を書きました。文章力には自信がないのですが、とりあえず自分の思いを言葉で記せたので満足です。

やっぱり、NYガールズダイアリーのジェーンはすごいなあ。

モル

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