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【音楽レポ】ヒプステ5(ヒプノシスマイクーDivision Rap Battle Rule The Stage:Track5ー)を観たら想像以上に音のバリエーションが増えていた【パリピの観賞会】

東條みかりです。先月1月末日に日本最大のナイトクラブageHaが完全閉業となってしまい、クラブ界隈だけではなく音楽業界全体が大きな衝撃と寂しさ、郷愁めいた感情、今後のシーンの行く末の不安等様々な感情に包まれています。

さて、パリピ達が大きなロスに包まれている最中にヒプステ5に行って参りました。
ベニューは前回同様Tokyo Dome City Hallです。水道橋駅すぐですね、推しくんが好きな読売巨人軍のホーム。

ヒプステ3から私のヒプステウォッチが始まり、昨年8月にあったライブも含めて緩く顔を出しております。というか、ヒプステ3から「お前もちろん行くやろ」とオタクフレンズがチケットを抑えてくれます。ありがとう…!

1.ヒプステ5の概要

今回のヒプステはイケブクロ、シンジュク、シブヤ、ヨコハマの元祖4ディヴィジョンのリーダー達の過去のストーリーになります。一郎、寂雷先生、乱数、左馬刻様は実は一時期徒党を組んでThe Dirty Dawgというチーム名で日本全土を席巻していました。そこへ現政権の中王区と彼らが気に食わない元半グレ集団がレジスタンスとして現れます(作中はそんなご立派なものではありませんが)。

今回からの変更点としては、毎度半強制的についてきていたオマケたちがなくなり、そのせいかチケット代が12000円と大分安くなりました。正直タンスの肥やしになっていたのでない方がその分パンフレット買うお金に当てられる上に、シアタークリエ開催の舞台と大差ないので非常にありがたいです。

2.ヒプステの音楽性について

ヒプステの音楽性は言うまでもなくヒップホップが中心ですが、昨今のダンスミュージックとの親和性やジャンルの行き来を受けてダンスミュージックのシーンの動きを柔軟に取り入れるようになっています。
この辺は過去記事で嫌っちゅうくらい解説しているのでそちらをご参考ください。

ヒプステくんもテックトランスを取り入れる、プログレッシブハウス(チャラグレじゃない方)を取り入れる等の四つ打ち音楽に積極的です。理由は日本人の耳に馴染みやすいから、でしょうが。
先ほどパンフを読んで知ったのですが、演出家の植木氏が「ダンス、音楽、映像も本気でやりたい!」というスタンスでプロデューサー陣に依頼をしていたそうな。

ミクスチャーロックとJラップのメロディで日本人に馴染みやすいジャンルを基盤にして、クラブシーンやTOP40、ストリーミングサービス(主にBeatport、Spotify)でバズっているジャンルを所々融合させていています。その絶妙なバランスが魅力的です。
(私個人としてはもっとダンスミュージックに寄っていいのよと思ってますが)

毎度のごとくキャラや俳優さんのことは殆ど触れずに音楽のことばかりレポします。

3.Track5から音楽の追加点

これまでのヒプステとは違う路線の音楽がちょこちょこ追加されているのは皆さんご存じでしょうか。
この傾向は2021年8月に開催されたライブにも出てきていますので、まとめて紹介いたします。

①ガラージュ
今回非常にこの要素が強いです。シブヤディヴィジョンに近い芸風ですが、そのまんまガラージュだなという曲も見られますね。一郎がかつての相棒のことを思い出しながら歌うやつとかモロガラージュです。
ガラージュが増えたのは、sexyzoneがガラージュ系の楽曲出して音好きの間でかなり話題になったのが大きそうです。

セクゾの衝撃についてはこちらを参照されたし

たぶんセクゾの曲のモデルはこれ

②UK Grime
またもや、UKシリーズです。今度は乱数ちゃんの、シブヤディビジョンの曲によく使われているジャンルですね。プロデューサー達の中で乱数ちゃんはグライムやファンキーのイメージなのでしょうか。独特の浮遊感は乱数ちゃんの人為らざる存在、ヒューマニティの有無と人間への憧れへの葛藤、偽りのふわっとした性格とマッチしているなと思います。これ系本当に無知で全然知らないのでなかなか紹介できないのですが、こういうヤツです。


③Future bass
ヒプステでは恐らく初めて使用されたジャンルかと思います。寂雷先生が医師になった経緯をオペ室で独白しているシーンです。Future Bassは近年ボカロや同人音楽でも盛んジャンルなので一度は聞いたことがあるかもしれません。ピコピコ音にベース音が聞き手を郷愁とほんの少し未来のデジタルファンタジーに連れ去っていく感じがなんとも言えません。ベースでもラップ系がない印象なので、劇中で一番インパクトがありました。

④Tech Trance
Track5には使用されていませんが、BoP(ライブ)にて使用されていたジャンルです。1回しか行ってないのですが、たしかダンサーお兄さんズの場面で使われていました。トランスでも渋いジャンルを使うな~とゲラゲラ笑ってしまった覚えはあります。そこはプログレッシブトランスやハードトランスじゃないんやwってなりました。トランスの中でもテクノに近い抑揚のなさが特徴です。Armin Van BuurenがASOTステージで乱発している印象しかないので。ヒップホップとはかなり縁がないジャンルです。こういうやつです。


全体的にガラージュとグライムで攻めてきたなぁという印象ですが、Future Bassなどの新しい音楽を取り入れることも積極的であります。メロディラインがハウスやエレクトロロックに見られるシンセの音を使っていたりも。
また、余談ですが、The Prodigyのこの曲がサンプリングされていましたね。


3.音楽のクオリティが本当に高い!

ヒプステくんの音楽性は他の2.5次元舞台とは頭一つどころじゃなく飛び抜けているのが大きな特徴です。嫌っちゅうほど申し上げていますが、キャラと音楽ジャンルのイメージ、流行や本場のシーンの音を組み合わせる・取り入れるのが非常に上手です。これはプロデューサーのKEN THE 390氏の腕によるものですね。
テニミュや刀剣乱舞でも流行り乗ろうとしてビッグルーム、ヒップホップを取り入れていますが、結構音数の多さが邪魔してしまっていること、音ゲー感が強いことも相俟ってなんだか「ちょっと違うんだよなー」感は否めません。また、世界観と嚙み合ってなく音楽が浮いてしまっていることもあります。
推しくんが出ているので刀剣乱舞を例にとってみますが、ヒプステとの音の差が出ていると思います。2014年頃のビッグルームによく使われていた声ネタがサンプリングされていてよくわかりません…。

ヒプステ見た後にこの曲を聞いたのですが、苛立ちとか通り越して笑えてきたので相当です。推しがなんちゃってプログレを歌わされている事実に絶望です。レ・ミゼラブルで散々扱かれた声の伸びは素晴らしいので、高音やビブラートが映えるプログレハウスは大歓迎なのですが…。もうMartin Garrixに作らせておくれ、金はあるでしょう。刀剣乱舞なら和風ですし、トライバルな路線でいいと思うんですが…。R3habやKSHMRが作るような感じです。

ちなみに推しにはこういうプログレを歌ってほしいです。

ヒプノシスマイクは元々ヒップホップ楽曲から始まったロックオペラアルバムのようなストーリー性のもので、音楽に多少トガリがあっても許される…というかそれを求められるジャンルかつ最近のヒップホップはEDMとの融合している感も否めないので、攻めた音楽も歓迎される傾向にあります。
それにしてもですが、他の2.5作品と異なり音楽の流行を掴むこと、サンプルパック等の使い方がうまいです。

4.ヒプステの曲が影響受けているアーティスト・レーベルたち

これは完璧に自分が観劇中に思うことなのですが、めちゃくちゃDiplo及び彼のサイドプロジェクトのMajor Lazerに影響を受けているなと感じています。また、音の作り方も彼がレーベルボスを務めているMAD DECENTとフリーレーベルのGood Enoughに非常に近いとも思います。そして、かつてDiploの盟友であったSkrillexにも大きく影響されているなと音作りからも感じます。
あくまでも自分はそう感じるだけです。最近はSaid The SkyやIlleniumもフューチャーベースの点で感じます。これはこれを紹介するだけで一つの記事が書けそうなので軽くにしておきます。
ヒプマイのオタクはとりあえずベース系のDJ聞いておけばかなり音楽面では知ったか面できます。
流行りを考えると最近はカントリーラップがバズっているので(というかLil Nas X)、次の公演にはこれが出てくるだろうなと読んでいます。四つ打ちになると、テクノかテックハウスが来るだろうなと予想。

5.まとめ

今回もカマしてきたなという印象です。特に寂雷先生のフューチャーベースには驚かされました。ベース系であってもこいつはヒップホップとの融合は殆どないからです。
音好きクラバー、音パリピでも音を楽しむことが出来る舞台もなかなか珍しいです。それのせいかヒプステ3の後に見た推しくんの刀剣乱舞の双騎はサウンド面でボロカスにこき下ろしたこともあります。会場のスピーカーもダンスミュージック向きではないようでちょっとガビガビしていましたし…。推しの歌声が聞けても嬉しくないのも笑ってしまいましたが、本編のお芝居が面白かったのが救いです。
お芝居は面白いのよ、お芝居はね…。ぜひ、平安鎌倉時代に詳しくなれますので見てみてください。

刀剣乱舞のディスが入ってしまい申し訳ありませんでしたが、プロダクションにお金があるので資金力を活かして頑張ってほしいです!!!!!
とにかく、ヒプステの音が非常にかっこいいので音好きにもお勧めできます!これは音好きとして引き続き傾向をチェックしていきたいと思います。

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