見出し画像

私にとっての小籠包はニューヨークのチャイナタウンのやつ

はじめて親とじゃなく海外に行ったのが、中2の時だった。
当時所属していたミュージカル劇団のお姉さん、(26歳ぐらいだったと思う)がニューヨークに行くというので、1週間学校を休んでついていったのだ。いま考えると、だいぶぶっ飛んでいる。

そのお姉さんというのがまたぶっとんだ人で、高校卒業と同時にアメリカに渡ってダンスを勉強していたらしい。帰ってきてからは劇団四季で活躍していた。胸を張って歩きながら常にリズムをとっていて、でも涙もろくて、しぐさが何もかもかっこいい憧れの人だった。私のニューヨークかぶれは、彼女のかっこよさに起因していると言って過言ではないと思う。

そのお姉さんが「絶対たべてほしい!」と連れて行ってくれたのが、中華街の小籠包のお店 シャンハイカフェ だった。ディープスポット。中2でNYのチャイナタウンに足を踏み入れたことがあるのは、全茨城県民のなかで私だけであろう。どうだろう。

あぶらでギトギトの店内、響く中国語。
あきらかに他のニューヨーク市内とは違う雰囲気にめちゃくちゃ緊張した。

なまりのある英語を話す派手なチャイニーズのおばちゃんによどみなく小籠包を注文していたお姉さんが、ただただかっこよかった。

そして小籠包。ひとくちサイズの小籠包が蒸し器に入って運ばれてくる。うすーい皮をやぶかないように丁寧にすくって蓮華にとる。少し破いてたっぷりの肉汁を吸い込んで、ぱくっと一口でたべる。
あーーおいしい。あの時のとろけるような味が忘れられない。

のちに後輩を連れてニューヨークに旅行することになるのだが、その時私がこの小籠包屋にどや顔で案内したことは想像に難くないだろう。
私にとってのはじめてで絶対の小籠包は、横浜中華街じゃなくて、ニューヨークでたべたあの味だ。

おまけ
忘れられないのが、台風の影響かなにかで最終日、飛行機が飛ばなかったこと。もう一日いられる!と祈りが通じた気分だった。最後にコーラスラインを見てズビズビに泣いたっけ。でも、日本に帰った次の日から宿泊学習で、華やかなニューヨーク1週間からの山梨の山中に1週間滞在というギャップに悩まされたのを覚えている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?