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直感と運だけで生きてきた 超ブラック企業編❷

はじめに。

先日、初めて自分のことを文章にしてみたところ、読んでくださる方がいたことに驚いたとともに、超筆不精の私が❷を進めることができました。
感謝申し上げます。

今日は、前回の❶の最後に「会社の状況が少しずつ不穏な動きになってくる」というお伝えしたが、その前に、私が営業マシーンになってしまったことが原因で、自分の心身を揺るがす大きな事件が2つあったことを思い出した。

今日は、まずその1つ目の話を中心にしようと思う。


入社2年目で昇格、年収ほぼ上がらず。


店舗営業の中の1つレイヤーが上がる。マネージメントではない。
あくまでも営業マンでのレイヤーが一つ上がっただけ。
大卒ではない私が他の大卒の同期より早く昇格したこと、
たった月2万円しか上がらないが、
単純に認められたことでの喜びを感じていたことを思い出す。

突然、東日本最大の店舗へ異動

2年目に入って数ヶ月後、異動が決まった。年間で数回異動をすることは知っていたが、私の場合は1年目は1年間異動がなかった。

恐らく1年間の間に、先輩営業マンが2名退職してしまったので、その穴を埋めるために異動がなかっただけだと思われる。
当時の私は、入社3ヶ月で既に一通りの業務はできるようになっており、安定的に数字が稼げていたため、そこそこ優等生営業マシーンだったと記憶している。マネージャーからひどく叱られた記憶があまりない。
異動することは正直不安があった。当時住んでいた自宅から店舗が少し遠くなる。
また、残業もかなり多くて毎日終電になるという予測が立っていた。

異動先の店舗の悪い噂があることは知っていた。
毎月1名以上の営業が突然飛ぶ(連絡がつかなくなる)、体調不良、メンタル不調で退職すること、
その店舗の女性マネージャーがサイコパス気質らしい。
こんなところだ。

ではなぜ異動するのか?
私が異動する理由として、マネージャーからは、営業マンとして更にステップアップしてもらいたいからと聞いていた。
私は異動に不安があったものの、期待してくれているんだと思うようにした。

しかし、最初の異動先には約1ヶ月半しかいなかった。
営業マシーンの私も驚くほどに簡単に壊れてしまったからだ。

異動初日の衝撃、嫌な予感的中。


異動した初日で衝撃を受けた。
なんとも言えないほどの殺伐とした雰囲気。全員が全員、営業マシーン。
恐ろしいところに来てしまったような気がした。

そして、最も私が初日から嫌悪感を感じたのが、女性マネージャーだ。
彼女はとても優秀な方で、一度も個人目標を達成できなかった月はないらしい。トップ営業マンで入社3ヶ月で昇格、1年後マネージャーに抜擢され、1年ほど前から東日本最大の店舗を任されていた。

私は初めて彼女を見た時、あまりの衝撃で言葉を失った。

彼女は小柄でとても太っている、まだ20代後半なのにすでにお腹が妊娠中期くらいに出てしまっており、短足で毎日ミニタイトスカート。姿勢も前屈み。
顔はでかいお面のような顔立ち、化粧も恐ろしく下手で、舞台役者や歌舞伎役者の化粧なのかと思うほどの濃さだった。
そして極め付けは10センチ近くのヒールのハイヒール。太い足を見せまくっていた。ヒールが彼女の体重を支えられるのか、疑問が残った。
また、香水もつけすぎで臭かった。
彼女のどこに営業マンとしての魅力があるのか、全く理解できなかった。

田舎出身の私にとって、都会の方はみんなオシャレと思い込んでいたので、こんな人がいることに、信じられないほどのショックを受けた。

彼女は、毎日必ず会議で大声で叫ぶことがあった。
「金を稼ぐために手段選ぶな!特に女!服を脱ぐ以外だったらなんでもしろよ!とにかく見込み客を作って早く金を回収しろ!」
営業全員が大声で「はい!」と返事をしていた。

苦戦する日々。

私の日々の営業活動は苦戦を強いられた。入社して初めての苦難といっても過言ではない。
客層が前店舗とは異なり、契約が思ったように取れなくなる。客も賢いため、営業をかけている途中に理由をつけて逃げ帰ってしまう人もいる。それを引き止めたりしながら契約をとっていく必要があるため、傾聴のハードルが更に上がるため、太刀打ちできなくなる。

毎日見込み客の契約約束が取れないと大声でマネージャーに叱られる。

「あなた、今日、どうしたの?息してるの?死んでるんじゃない?とにかく金を作りなさい!」

この言葉を見込み客の契約約束が作れない営業たちに必ずいう言葉だ。
当然、見込み客が作れない日も出てくる。その時、必ず彼女がいう言葉は、

「あなた、今日は特別に死んでいたことにしてあげる。明日は生き返ってね。」
恐ろしい女だ。彼女は一日中、数字の計算、営業マンたちに喚き散らし、
自分は地下の部屋にこもって雑誌を読んだり、化粧を直したりしてのんびりしている。休憩も1時間以上とる事もある。それでも毎月目標達成するのだ。
信じられない店舗だった。

私は毎日帰宅は終電。早番でも店がクローズするまでは必ず帰れないし、
遅番でもクローズした後の事務作業がたまってそれが終わらないと退社できない。もちろん残業代は出ない。中には店舗に一泊してしまう人、漫画喫茶で泊まる人もいた。
異動して1週間は全く結果が出ず、もがいていたが、2週間目、なんとか1件契約が取れたり、見込み客も増えてくるが、次の週から体に異変が起き始める。

休みの日の翌朝、布団がベトベトに濡れていた。

やっと仕事が休みになった夜、帰宅後死んだように眠った翌日、朝起きると
体全体が冷たく、濡れている。え??なぜ全身濡れているの?
布団全体がベトベトに濡れている。
そう、私は尿を漏らしてしまっていたのだ。
どうしよう、どうしよう、焦りまくった。こんな経験今まで一度もない。

とりあえず布団を買い替えるお金がないため、なんとか洗濯機で洗濯をし、布団を外へ干した。
大人になっておもらし??え??ショックすぎた。

そう、私は大人のおもらしをしてしまったのだ。尿失禁という言い方が正しい言葉だ。

その後、何度か仕事が休みの翌朝に同様の症状が続いた。

毎回洗濯はきつすぎるので、ブルーシートを購入、布団の上にブルーシートとバスタオルか何かを敷いて寝る日々をしばらく送った。
仕事が休みの夜は、また漏らすんじゃないかと不安でなかなか寝付けなかった。

その頃、女性営業の間で膀胱炎になっている人が数名いた。
忙しすぎて業務中にトイレにいけないことが原因でなってしまったらしい。
私も何度かトイレに行きそびれて我慢した事もあった。

私は日々多忙すぎて、見込み客や契約が取れるまで休憩時間もまともにもらえない日が続いていた。
朝ご飯以降、一口も食べる事なく終電まで仕事をして、という日もざらにあった。
私は尿失禁を、恥ずかしくて誰にも言えなかった。
3回目、4回目と、仕事が休みの翌朝に続くようになり、不安に駆られた。

「このままだと私、死んでしまうのではないか?」
私は、無職になるわけにはいかなかった。なぜなら私には戻るところがもうないのだ。奨学金の返済だってあと15年残っている。毎月13,000円引き落としがある。
相談できる相手は、当日付き合っていた彼氏だけだった。後に結婚相手になる人だ。
彼に話したら、私はすぐに彼の車で病院へ連れて行かれた。

病院へ行き、医師に状況を話したところ、ストレス性の尿失禁と告げられた。
すぐに休みなさいと言われ、診断書が出された。私は仕事を辞めるわけにはいかなかった。営業という仕事は嫌いじゃなかった。まだ続けられる気がした。
思い切って女マネージャーはすっ飛ばし、その上の人へ直接連絡をとって診断書と共に事情を説明したら、すぐに異動させるから異動先が決まるまで少し待って欲しいと言われた。

中規模の店舗へ異動


その後、異動手続きなどがあり、2週間ほどで都下の中規模の店舗へ異動が決まった。
異動先が決まるまでの間は毎日定時で帰れた。入社して初めて定時で退社した。女マネージャーも私に何も言わなくなった。
異動前に服用された薬も飲み出し、尿失禁もピタッと止まった。
この時期、膀胱炎になった数名の女性営業マンは全員退職した。

私は、自宅からとても近い距離の中規模の店舗へ移動した。営業マンは3名ほどしかいない店舗だ。
上司から、まずは体を第一に考えてもらいたいからゆっくり働ける店舗へ異動してもらうと言われた。
毎月退職者が出ている超ブラック企業。当時は店舗拡大のため、とにかく人手不足だった。会社としては仕事を続ける人は人材を確保したかったのだろう。

私は、中規模の店舗は初めてなのでどんな働き方になるのか全く想像がつかなかった。

異動後、徐々に営業マシーンに戻り始める。
次は異動後の話を書こうと思う。
ではまた。