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【恋愛小説】㉞最初の恋人 最後の恋人 〜責任~

「ママさんに会いに行ったのは、取り立てに行ったワケじゃないよ。息子を止めて欲しかったんよ。」

美々は、彼(息子)が昌人に何度もお金を借りに来ていたこと、貸すまで帰らなかったこと、そして、そのことをママさんに伝えても、ママさんは何もしなかったことを話した。

「私ね、思うんだけど、我が子が人様から借金をして、今もなお、同じ人に迷惑をかけてるって知ったら、親なら自分が借金してでも耳揃えて、我が子と一緒に謝りにくると思うのよ。
きっと私の親ならそうすると思う。
昌くんのご両親も達也くんのご両親も一緒だと思う。
もちろん、自分のしたことで親が頭を下げる姿なんて見たくないよね。
だから私たちは人様に迷惑をかけないようにって思うんじゃないかな。
親の覚悟みたいなものが私たちのストッパーになってると思うんよ。
でも、あのママさんはそれをしなかった。
「自分のところに来られても、返せるお金は持ってない。息子から返させる」って、そう言ったらしい。
きっと今までも肝心なところで、親としての責任から逃げてきたんじゃないかな?。
もちろん、子供の借金を親が返す義理はない。
でも、人に迷惑をかけることに抵抗がない子供に育てた責任はママさんにある。
だから、ママさんに
「お金は返さなくていい、その代わり、息子に2度とお金を借りに来させないでほしい」って。
信用出来ない息子とではなく、ママさんと約束をしに、昌くんは行ったの」

昌人は付け加えるように話し始めた。
「美々、もう、隠さなくていいよ。
全部話すよ。
オレは友達を巻き込みたくなかったんだ。
だから誰にも言わなかった。
オレさ、美々の「親の責任」って話しを聞いて、その通りだなって思ってさ。
それに、美々は言ったんだ。
オレから金が借りれないってなったら、親のストッパーがない彼はきっと、オレの友達に借りに行くって。
だから、オレだけじゃなくて友達からも借金をしないようにママさんと約束してきたんだ。
でも、この話しを友達にしたら、巻き込むことになると思って言わなかった。
ママさんにも言わなでくれって頼んだのに、喋ってしまって・・・。
早速、約束破られて、ガッカリだよ」

達也は驚いていた。
「知らなかった。てっきり取り立てにに行ったのかと・・・。そう、聞いたから・・・。
なぁ、美々ちゃん、オレたちが電話をかけた時、なんで、このことを言わなかったんだよ。」

達也は美々に尋ねたが、昌人が答えた。
「オレが友達には言わないでくれって頼んだんだ。今もその約束を守ろうとして、美々は友達の部分を話さなかった。そだろ?美々」

「達也くんから、友達に責められても昌くんが何も言わなかったって聞いて。
それは私をかばってではなく、友達を巻き込みたくないから黙ってるんだってわかったから、私が話すわけにはいかなかった。」

達也はショックを受けていた。
「なんだよ、それ・・・。オレたちを守る為って・・・。なのにオレたちは別れさせようとして・・・」

昌人はほっとしたように
「もう、誤解は解けたよな。たっちゃん。オレらのこと、応援してくれるよな」
達也に問いかけ、達也はうなずいた。

美々もため息混じりに言った。
「はぁ〜、誤解が解けて良かった。でも別れちゃうけどね。私たち」

「えっ!?なんで!?」
昌人と達也は同時に振り向いた。

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