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同期がどんどん辞めていく


未経験で広告制作会社の編集者に転職したわたしには、同期が10人いた。
わたし含めて11人なので、かなりの大規模採用だった。


同期はみんな本当にいい子たちで、冗談も言い合うし、ふざけるし、笑いのツボも同じで仲がいい。
入社して最初の3ヶ月くらいは早く帰れることも多くて、みんなでごはんや飲みに行くことがよくあった。

しかし仕事はどんどん忙しくなっていき、
それぞれが仕事を任されるようにもなり、
気がつけば深夜0時近くまで残業することが常態化してきたので、仕事終わりに同期みんなで集まることはできなくなっていった。

ランチなら行けるのでは、と思っていたけど
編集者というのはそれぞれが分刻みのスケジュールで動いているので、
13時にランチに行けるときもあれば、16時になるときもあって基本的にタイミングが合わない。


わたしの場合、12月の日中はあまりに忙しく
ランチが19時なんてこともしょっちゅうだった。
その19時のランチ(もはや夕飯)も、
やっと落ち着いた…と思って外へでたら、会社から電話で呼び出されることが多々あった。
残りの休憩がまだ30分くらいあるけど、
結局オフィスに戻ったら休憩をとるタイミングを失い、
そのまま0時まで仕事して泣きそうになる日々が続いていた。


そんなときに同期と話したくなるけど、なかなか会えないし話せない。
正確には毎日顔を合わせてはいるんだけど、
お互いに立ち話をしている余裕がないくらいに忙しく、
すれ違いざまに「おはよう」とか「お疲れさまー」とか言うくらい。

会話といえる会話はほぼないに等しく、
みんながそれぞれどんな気持ちで仕事をしているのかわからなかった。


そうしたら知らないうちに辞めることが決定した同期が2人いた。
2人とも残業時間があまりに多くもう限界というのが一番の理由だった。
すごくわかる。そりゃ辞めたくなるよ。



同期はわたし含め9人になったけど、ここからさらにもう2人、3月に退職することが決まった。
その2人はいま転職活動中で、有休も面接に充てているとのことだった。
それを聞いて
「3月までいるなら、夏のボーナスもらってから辞めた方がいいんじゃない?」
と言ってみたけど、
「いらないいらない!早く辞めたい」
と笑いながら言っていた。



その様子を見て、率直にえらいなあ…と思った。


わたしはこの仕事の体制や残業時間に悩みつつも結局続けていて、
続けている理由として、仕事が好きだし楽しいというのもあるけど
転職活動がめんどくさいからというのもある。

この仕事をしつつ求人を見て、土日は履歴書とか書類を作成して、有休を使って面接だなんてとてもじゃないけどできない。
毎日泣きそうになってた12月は転職も考えたけど、求人を見てるだけで疲れてしまい、結局何もしなかった。

それにボーナスは欲しい。
わたしならせめて夏のボーナスもらってから辞めようかな、とそのままズルズル続けてしまう気もしたので
同期の意志の強さや、現状をなんとか変えようとする行動力や向上心に、本当にえらいなと心が動かされた。



その同期の様子を見ていると、
行動する気もないのに「辞めたい〜」とか言ってる自分がすごくかっこ悪いなと思ったし
どんどん同期が辞めてくなかで、
自分はどうしていきたいのかを改めて考えるいいきっかけにもなった。



これからどうしていきたい?
そう自分に問いかけたとき、
この仕事を続けたい。と思った。



理由はいくつかあるけど、
一番はなんだかんだで好きだし楽しいから。

もともと旅行が好きで旅行業界にいたし、
デザインや制作に携わる仕事に就きたかったわたしにとって
旅行の広告制作会社の編集者はまさにぴったりの仕事だった。


求人を見たとき、これだ〜!!!と思ったし、
やっとやりたいと思える仕事を見つけた感じだった。


旅行、読書(文章)、芸術が好きなわたしにとって好きなものがぜんぶ詰まっている仕事だし
スケジュールなどの進行管理をしつつ、
多くの人と関わったり、黙々と編集作業をしたり、やることが多岐にわたるので
毎日が忙しく、あっという間に時間が経つ。
飽きっぽいわたしにとってはその仕事内容も性に合っていて、自分にぴったりの仕事だなあと感じてる。


それ以外にも、入社してまだ一年も経ってないとか、入籍を控えてるいま辞めるのは時期的に微妙すぎるとか、お金のこととか、転職活動が面倒とか
まだ辞めたくない理由はいろいろある。



だからよっぽど何かない限り、しばらくわたしは辞めないと思う。
(まあ、何かあってからでは遅いのかもしれないけど…)



たまに友達や婚約者に「辞めないの?」って聞かれることがある。
それこそ同期にも。


そのたびに「いやー辞めたいよね」と言っていた。
これは本心というより、その場を盛り上げるためのジョークのようなものだったけど、
忙しいなかで転職活動をしてサッと辞めていく同期を見ていたら自分ってすごいダサいことしてたんだなと思った。

辞めたい辞めたい言いながらなんの行動もしてなくて、そもそも本当は辞める気なんてなくて、ただ狭い飲み屋で小さく愚痴ってるだけだなんて、なんかすごいかっこ悪いことしてた。

ちなみに辞めたい辞めたい言って同期どうしで盛り上がってるなかで、静かに話を聞いてる同期Aがいた。
すかさず他の同期Bが、
「Aは?辞めたいとか思わないの?」と聞くとAは
「はじめは一年で辞めようと思ってたけど、いまはあんまり思わないかも。結構楽しいし、まだ続けると思う」と言っていた。
その回答もまたかっこいいなあと思った。


わたしも
「辞めないの?」と聞かれたら
「辞めないよ」と言える人間でいたい。




仕事を辞めるか辞めないかってわりと究極の選択だし、なにもそこでふざける必要もない。
人の顔色をうかがったり、空気を読む必要もない。
自分の本心をちゃんと言える同期Aも、転職して本当に辞めていく同期も
どちらも本当にかっこいいと思った。




正直激務だし、つらいこともたくさんあるから
どこまでできるかはわからない。
だけどできるとこまではやってみたい。
わたしはまだここで頑張りたいと思ってる。

辞める予定の同期が何人かいるので、4月にはわたし含め同期が7人になる予定。
自分が何年いられるかわからないけど、
何年かして、それぞれに活躍している同期と
またみんなで集まれたらすごくうれしい。


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