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母乳?ミルク?どっちがどういいの?後半

前半では母乳のメリットデメリットや、母乳のメカニズム、赤ちゃんの飲み方についての内容でした。

後半ではミルクについてや母乳育児を実際にどういうふうに行っていくか考えていただくポイントについてお伝えできればと思います。

◾️赤ちゃんの生理的体重減少について

赤ちゃんは生まれて2〜3日目にかけて体重が減っていきます。これは生理的体重減少と言われるもので、
生まれた時の体重から7%前後の体重減少があることが普通とされています。
生後2〜3日目頃までは赤ちゃんの胃の大きさも小さく少量ずつしか飲めませんので飲める量よりもおしっこやうんちの量の方が多くなるために体重が減ります。
それからどんどん飲める量が増えていき体重も緩やかに増えていき、生後14日頃には生まれた時の体重に戻っていきます(個人差あります)。


◾️ミルクを足す必要があるのはどんな場合?

医学的適応として、ミルクを足す必要があるのは

✔️体重減少率が10%以上(産院によってやや誤差あることもあります。)ある場合、
✔️脱水や低血糖となる可能性があり
ミルクを足して脱水や低血糖を防ぐ必要がある場合
✔️生まれた時の体重が2500g以下の低出生体重児といわれる小さめの赤ちゃんに関しても体重が減りすぎないようにミルクを足すことがあります。

ただ、現実的にはこの適応以外にも
✔️ママの疲労が強かったり、
✔️お産の時の出血が多く貧血状態などで母乳の増えがゆっくりだったり、
✔️頻回な授乳でママの休息が取れなかったりする場合などにはミルクを足すこともあります。


◾️ミルクのメリットデメリット

そもそも、ミルクのメリットやデメリットはどういったものでしょうか。

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こちらに記したようにママじゃない方も授乳ができてママが休めるということは大きいですよね。
小さめの赤ちゃんで体重の増えを気をつけてみたほうがいい場合などは飲んだ量がわかりやすいなどのメリットがあります。

デメリットとしては、
やはり母乳には免疫成分が多く含まれているのでミルクには免疫成分が含まれていない点でしょうか。
初乳と呼ばれる生後2〜3日目までの母乳には免疫成分がよりたくさん含まれているため、完全ミルクのご希望がある方でも初乳だけはあげるという方もいらっしゃいます。
あとは、ミルクは作り置きができない分、赤ちゃんがお腹がすいたサインがあればミルクを作って冷まして、ミルクを飲み終えたら哺乳瓶を洗って消毒して、、という手間があります。
最近では液体ミルクも販売されているため、割高にはなりますが夜間や外出時などに使用するのもいいかもしれませんね。


また、こちらのサイトでは母乳と粉ミルクの成分の比較がされておりましたので、ご参考にされると良いかと思います。


◾️産院によってミルクを足すかどうかの方針は異なる?

私が現場にいて思うのは、「母乳か、ミルクを足すか」ということについてはそれぞれの産院によっても方針が異なります
母乳推進の色が強いところは先述した医学的適応がないと基本的にはミルクを足さずに母乳を推進するということも多かったりします。
母子同室か母子別室かによっても異なります
母子別室であれば赤ちゃんの欲しがるだけというよりは、時間になれば母乳もしくはミルクを足すということもあります。

個人的に思うのはこれは産院の人員や考え方によるものであり、本当にママと赤ちゃんのためを思っているかという点については疑問もあります。なのでお産をする施設を決める場合は母乳をどの程度推進しているのか、母子同室か別室かなど下調べをしてご自身の考えに近いところを選ぶことができればベストだと思います。

例えば高齢出産で産後はなるべく身体を休めたいと思っている方が母乳推進の色が強いところでご出産となり数日間頻回授乳で全然休めなかった、そんなに母乳にこだわりはないのにミルクを足させてくれなかった。ということもあるかもしれません。
逆に母乳育児を頑張りたいと思っている方だったとして、母子別室で決められた時間での授乳であれば、赤ちゃんの欲しがるたびに授乳ということができず、前半でお話ししたような需要と供給のバランスが取れるまでにやや時間を要したりすることもあるかもしれません。

もちろん、母乳はメリットがたくさんありますし
赤ちゃんにとっては一番の栄養というのは事実です。
母乳推進の色が強い産院で入院中に軌道に乗り退院後には母乳だけで問題なくよかったということもたくさんあると思いますし、母子別室のおかげで体力の回復が図れたなどもあると思います。
一長一短でありどれもメリットデメリットがあると思います。

現在は核家族化が進み
✔️退院後にサポートをしてくれる人がいない、
✔️共働きで復職を考えているため早めに断乳したい

などといった背景もあるため口を揃えて「母乳が一番いいいのよ」と押し付けるようなことはもう時代的に古くなりつつあるのかと個人的には思いますし、母乳にこだわりすぎるあまりに休息が取れず、思い悩み産後うつなどになる方が不健康だと思うんですよね。

そのため、ご自身がどういうイメージで赤ちゃんの授乳をやっていきたいのか考えていただき、実際に行ってみながら柔軟に考えられると良いのかなと思っています。

そこで

◾️考えていただくポイントとして

✔️何割ぐらいを母乳を与えていきたいか
 (完全母乳?混合栄養?完全ミルク?)
✔️何ヶ月、何年ぐらい母乳を続けていきたいか
 (復職なども考慮して)
✔️母乳が思ったよりも出なかった場合や
  うまく赤ちゃんが飲んでくれない場合は
  搾乳などしてでも母乳を与えたいか
✔️休息はどのくらい取りたいか
✔️サポート体制について
✔️夜間の授乳はどうしたいか

といったことを妊娠中よりイメージしておくことが大事になってきます。

というのは、前半でお話ししたように母乳は受注生産です。刺激するほど作られ、母乳の量が増えていくと思っていただくと(もちろん個人差あります)、
例えば3−4ヶ月で復職のために断乳を希望している方はたくさん出るようになっていた母乳をいきなりやめるとなるとおっぱいのトラブルから乳腺炎となることもあります。断乳・卒乳に関してもステップがあるため計画的に進めていく必要があります。

また、
✔️母乳が思ったよりも出ない、
✔️赤ちゃんがうまく飲んでくれない
などで搾乳をする場合は、赤ちゃんのお世話と授乳以外に搾乳の時間も確保する必要があり、ママの休む時間が減ってしまうことに繋がります
搾乳の頻度などは胸の張り具合などの状態にもよりますが、どれくらい休息をとりたいか、サポートが充実しているか、ママが休むときは誰がどのように赤ちゃんのお世話をするのかなどによっても異なってきます。

「出ない分はミルクで補う」なのか「サポーターはたくさんいるから搾乳をしてでも母乳を増やしたいし、なるべく母乳をあげたい」なのかなどは事前に家族で話し合っておくことをお勧めします。


育児には正解がなく、個人差も大きいところであるので人と比べることもあまり当てはまらない事も多いと思いますし戸惑うことも多いと思いますが、

ご自身たちご家族にとって、ママが健康に楽しく育児をできるためにはどうすることが一番良いのかを考えて欲しいです。
それが休息をとる事なのか、母乳育児をすすめることなのかはご家族の状況によっても様々かと思いますので。

この記事が少しでもお役に立つことができれば幸いです。


mimi*


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