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そもそもお産ってどんな方法があるの?

みなさん、お産のイメージはどんなものでしょうか?
ひっひっふーーで鼻からスイカ?とりあえず痛い?
なんだか未知で想像つかないことも多いと思います。

学校で習わないし、母親学級もやってないし、
周りに経験された方の話を聞くぐらいだと思いますので、今回はどんなお産の方法があるのかをお伝えできればと思います!


◼️お産の方法はどうやって決める?

お産の方法は、みなさんがイメージするであろうものはおそらく正常分娩、または経膣分娩といって下からのお産かと思います。
なにも問題のない場合は経膣分娩を目指すのが普通です。

ただ、妊娠中の経過から経膣分娩が難しい場合もあり、そういう場合はあらかじめ日程を決めて手術のために入院し、お腹を切って帝王切開をしてお産することもあります。

また、妊娠中特に何もなかったとしても、
陣痛が来てお産の進行中になんらかの原因で赤ちゃんを早く出してあげる必要があるために緊急で帝王切開となることもありますし、
器械分娩といわれる吸引分娩や鉗子(かんし)分娩と呼ばれる赤ちゃんの頭を道具を使い引っ張るお手伝いをさせて頂き経膣分娩に至ることもあります。

あとは無痛分娩、麻酔分娩、和痛分娩と言われる陣痛の痛みを和らげるために麻酔などを使う経膣分娩もあります。(無痛分娩については別の記事でご紹介しますね)


それらについてひとつひとつお伝えしていければと思います。


◼️経膣分娩(正常分娩)って?

経膣分娩は陣痛によって子宮口が開き、赤ちゃんが降りてきてお産になることです。

お産には
✔️娩出力(陣痛、いきむ力)
✔️産道(骨盤、膣、会陰)
✔️娩出物(赤ちゃん、胎盤)
三要素と言われるものがあり、
これらが複雑に絡み合ってお産が進んでいきます。

陣痛も弱い陣痛ではお産が進みませんし、
産道も子宮口が開いていないと赤ちゃんが出てこれません。
赤ちゃんは自ら身体の向きを変えて狭い産道を通ってくるのですが、うまく回れなかったり、頭が降りてこないと下からのお産が難しいこともあります。

そしてこれらは妊娠中にどんなに問題なく順調だったとしても、お産のその時の状況でどういう経過をたどるかは予測がつきにくく、まさに何があるか分からないのがお産だと感じます。

なので人と比べるものでもないですし、
妊娠中あれをしたから、しなかったから、と自分を責めるものでもありません。そしてイメージ通りにはいかないことも良くあると思っていて頂いた方が良いかと思います。
それほど命懸けでなにがあるか分からないのがお産だと思うので、私たち医療スタッフはいかに異常にならないように、安心してお産ができるようにサポートする次第であります。

それでは、
その三要素のうちの
何かが上手くいかなかったとしたら?

例えば、、、

陣痛が弱くなっているのであれば、陣痛促進剤を使って陣痛を強くしてお産が進むようにしていきます。
子宮口が順調に開いてこないのであれば経過によっては下からのお産は難しく、お産が止まるという意味の分娩停止という状態で帝王切開になることもあります。
赤ちゃんの向きが違う方向に向いていてお産の進みが止まってしまう場合のことも中にはありますし、いきんだりしても赤ちゃんが降りてきてくれないこともあれば赤ちゃんの降り具合によっては帝王切開となることもあります。
赤ちゃんがだいぶ降りてきてくれていて下からのお産ができるとこまで来たときに、赤ちゃんの心拍がゆっくりになったり赤ちゃんが元気でないサインが続けば一刻も早くお産にするべく吸引分娩や鉗子分娩などの器械分娩となることもあります。

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◼️吸引分娩?鉗子分娩?器械を使うお産とは?

吸引分娩、鉗子分娩などの器械分娩と呼ばれるものは、赤ちゃんの元気でないサインが続いており一刻も早くお産にする必要がある場合や、ママの疲労などで陣痛やいきむ力が弱くなりお産が長引いている場合などのもう一押しのサポートのために行われます。

✔️吸引分娩は赤ちゃんの頭にカップのようなものをつけて陣痛でいきむときに合わせて引っ張ってあげることでお産にする方法です。

✔️鉗子(かんし)分娩は、特殊な器械で赤ちゃんの頭を挟み、吸引分娩と同じように陣痛でいきみに合わせて引っ張ってお産にする方法です。

ただ、赤ちゃんの頭が一定の条件まで降りてきていることや、赤ちゃんの顔の向きによって、器械分娩ができるかどうかが決まります。
子宮口が全部開いており、赤ちゃんの頭がみえてきている状態だったとしても一定の条件まで降りていなければ器械分娩で下からのお産ではなく緊急帝王切開になることもあります。


◼️帝王切開になるのはどんな場合?

帝王切開には予定帝王切開(選択的帝王切開とも言います)と緊急帝王切開があります。

予定帝王切開では、
妊娠中から経膣分娩でのお産が難しいと判断された場合に、前もって日程を決めて手術でお腹を切って赤ちゃんが産まれるお産です。

経膣分娩が難しい場合とは、

✔️赤ちゃんの向きが逆子(骨盤位といいます)である場合
✔️胎盤の位置が子宮口を覆っていたり、子宮口のすぐ近くである場合
✔️これまでに子宮の手術や帝王切開をされた方
✔️双子や三つ子などの多胎妊娠

などがあります。これらの場合は妊娠中に分かるので予定で帝王切開となります。

緊急帝王切開については、
お産の進行中に何らかの異常があり経膣分娩に至るまで待てなかったり、急いでお産にする必要があるけれども経膣分娩では難しい場合に行うお産です。

例えば、

✔️赤ちゃんが元気でないサインが続いたり頻繁にサインがある場合
✔️何らかの原因でお産の進行が止まってしまう場合
✔️破水から時間がかかり、ママが発熱するなど感染兆候がみられる場合
✔️ママの血圧が上がるなど、母体の安全のためにいち早くお産にする必要がある場合
✔️元々帝王切開の予定であったが、予定の手術の日程よりも前に破水や陣痛が来たりお産の兆候がみられた場合

など様々なケースがあります。

ここまでお伝えしたように、
どれも適応がないと機械分娩や帝王切開にはならないことが多いですし、
逆に言うと「陣痛が辛くて帝王切開にしてほしい」と言われる方もいらっしゃいましたが、適応なく本人の希望で帝王切開になることは基本的にほとんどないです。

なので帝王切開の必要がある時については、現段階では経膣分娩が難しいが、ママと赤ちゃんの安全のために早くお産にしたほうがいいという何らかの適応があります。

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◼️伝えたいこと

お産のイメージや思い描いていたお産と違ったということはあるかもしれませんし、不満に思うこともあるかもしれません。「なんでこうできなかったのだろう?」とご自身を責める事もあるかもしれません。

それだけ何があるか分からない未知でゴールが見えづらいのがお産ですし、立派な大仕事を乗り越えるということは本当に素晴らしいです。

そしてお産は赤ちゃんもママと一緒に頑張ってくれています。

赤ちゃんは頭の形を変え、体の向きを変えて陣痛がパワーとなり生まれてこようとしています。狭いところを通ってくるので、陣痛で赤ちゃんもぎゅーっと圧迫されていながらも頑張ってくれています。

もちろん順調にお産が進み生まれることが何よりです。

でも何があるか分からないのがお産。
母児ともに安全に、健康に生まれるのが第一だと思いますので、どのお産方法でも本当に大仕事ですしママも赤ちゃんもとても頑張った素晴らしいお産だと思います。

思っていたのと違ったとご自身を責める必要は全くありません。モヤモヤが残る場合は助産師とお産の振り返りや医師から説明してもらうなどでスッキリした方が良いです。お産の方法によって経膣分娩だからとか帝王切開だからどうとか周りがどう言ってもスルーでよいです。どれも立派な素晴らしいお産には変わりないので、ご自身を労り褒め称えてあげましょう!


以上、お産の方法についてでした。

少しでもお役に立てると嬉しいです。


mimi*


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