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随想(エッセイ/コラム/レビュー)

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エッセイを書くと小説のようと言われ、小説を書くと随筆?と訊かれる。けど、エッセイは、エッセイで、フィクションにあらず。(たぶん)
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記事一覧

睡の花、そして、瓜南直子。

毎年、蓮を見に行く。 歩いて10分ちょっと、高校のグラウンドの傍らに、蓮池がふたつある。ひ…

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詩集『健やかな胸』中村梨々

現代詩書き下ろし一詩篇による詩集 懐紙シリーズ第十集 『健やかな胸』中村梨々 (阿吽塾刊) …

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詩の手触り――「あうろら」西原正

まずはこのTOP画像で、わかってもらえるだろうか。 紙の手触りを。 紙の繊維を染める文字の確…

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金木犀の町

金色の小さな星のような花が一斉に開き、あたり一帯、甘やかな匂い。 でもそれにしては早すぎ…

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この町の雨は海の匂いがする

雨が降っている。 激しい雨。 石つぶてをばらまいたかのような雨音。 風が鳴っている。 唇に力…

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またひとつ花火が

 東海道線で西に向かう。  子どもの頃、泊まりがけの海水浴は、いつもこの沿線だった。  大…

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砂浜には

砂浜に流れ着いた木の欠片や、 貝殻の片割れや、 角の丸くなったガラス。 そういうものを拾って楽しむことを 「ビーチ・コーミング」というのだそうだ。 ビーチを櫛(コーム)で梳くように、拾い集める。 そんな漂流物を使ったライトスタンドやオブジェやらを、 シーボーンアートという。 SEA BORN 海から生まれるアート。 タヒチのビーチには、細かな白砂にまじって、 枯れ枝のようなものが落ちていた。 細くて小さな、オフホワイトの小枝。 聞けば、珊瑚の「死骸」だという。 そうだ

「泳ぐのに安全でも適切でもありません」

海には、青のグラデーションが波打っていた。 白い砂浜は悠々と長く伸び、人影もまばらだ。 遠…

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夜の水槽

久しぶりに銀座に行った。 20代の頃、私の職場は銀座にあった。 広い通りの交差点の角にあ…

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ちらんぱらん

『ピカソのぎょろ目は  一度見たら忘れられないが  あのひとはバセドウ病だったに違いないと…

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アカシアの雨

『アカシアの雨にうたれて このまま死んでしまいたい』 一度聴いただけで忘れられなくなるよ…

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せんせい

小学校5年の5月。 わたしは転校生だった。 ひんやりと薄暗い昇降口で上履きをはき、母の背中…

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