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研究室・研究者のホームページについて考えるための本

2 年くらい前に所属組織のホームページの立ち上げを経験しました。その際に勉強になった本を紹介します。

この本はホームページをつくる技術を紹介する本ではありません。HPを作り、運用していく際に考えるべきことを教えてくれる本です。

後半は技術チックな話もあり、読み切れていません。しっかり読めたのは前半だけですが、それでも読んでよかったと思えた本です。

お断り

以下では、本の中で特に参考になると思った箇所を、研究者目線でまとめます。

1. 発信相手を明確にする

科研費の助成を受けている組織や研究者であれば、以下のようなロジックを聞いた人は少なくないはずです。

1. 科研費は税金から支出されている
2. 税金は国民が払っている
3. だから科研費研究の成果は国民に分かりやすく説明しなければならない

成果公開の 3 段論法

が、例えば「○○大学××研究室」のホームページを覗きに来る「国民」はどのくらいいるでしょうか?テレビ等の他のメディアへの露出がない限り、一般の方がホームページ自体を目的に来ることはほとんどないと思います。

本の中でも、まずはお客さんを具体的にイメージしましょうということが書かれています。研究室のホームページであれば「進路を考えている学生」、研究者個人のホームページであれば「共同研究を考えている研究者」などが挙げられます。
また、「研究内容について知りたい企業・個人」なども考えられます。

いずれにしても、これまで知らなかった人に知ってもらい、新たな結びつきが創出されることが、国民への成果の還元になるのだと思います。

2. 相手に合わせた「入口」をつくる

来てほしいお客さんをイメージできたら、そのお客さんに検索してもらえそうなページを作ります。

例えば、「研究室選びをしている学部生・調べ学習をしている小中学生・共同研究を模索している同業の研究者」をターゲットにするのであれば、研究室での生活の様子が分かるページ、小中学生向けに研究内容を砕いて解説するページ、研究室の所有する分析機器を紹介するページなどがあるとよさそうです。
現実の店舗では、出店場所を決めればおおよその客層(その店舗に通える人)が絞られますが、ホームページではより幅広い層のお客さんを集めることができます。

お客さんの興味・関心に合わせて適切なページを「立地」することが、本書のメインテーマだと思います。

3. 滞在してもらう

2で書いた通り、色々な層に向けてページを作れるのがホームページの良い点です。お客さんも様々なページから入ってくることが考えられます。なので、全てのページがお客さんを迎える「玄関」の役割を果たすことが求められます。

会社等が提供するテンプレートを使う場合、各ページの位置づけ(トップからどのように辿るとそのページに行きつくのか等)が表示されることが多いです。これも全てのページが入口になりうることを想定しているのだと思います。

ページの内容についても、興味を持ってくれた人がさらに深堀りできるページへのリンクを用意しておくと良いのだと思います。例えば、ある研究内容を解説するページであれば、その研究を行うための装置のページ、実施している研究者のページ、関連する他の研究のページなどにリンクを張っておくおくのが有効かなと思います。

おわりに

ホームページを作成するハードルは、技術面でもコスト面でも下がってきています。一方で、特に研究者が、何をどのように発信するのが良いのかは(自分も含めて)よく分かっていないんじゃないかなぁと思っています。
研究の発信について考える人に、何かしら参考になることがあれば嬉しいです。

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