結婚、割り勘で
半分こ世代
このまえ、結婚したばかりの女友達に会った。
「結婚半年、どんな生活?」
「お金は、全部平等にしてるよ」、と言う。
え!びっくり。
彼女は結婚生活を「割り勘」で送っているというのだ。
家賃も半分こ、食費も半分こ、光熱費も半分こ。
今の時代、なんでも平等にする家庭もあるんだ!
私は結婚したら、夫の稼ぎで生活するのが当たり前と思っている世代だから驚いた。
もしかしたら18年も婚活に失敗してきたのは、養ってほしいという私の考え方が原因だったのかもしれない。
誰かと出会って結婚したら、自分で稼ぐことなく「幸せ」になる時代はもう終わっていたのだろうか。
王子様がやってきて白馬に乗せていってくれて、生涯大切にしてくれる時代は終わったのだろうか(笑)。
与える愛
私自身は結局シングルで0歳から18歳まで育てることになったので、子供と二人で暮らしていると、平等どころか、仕事をして帰ったら食事を作り、脱ぎっぱなし、食べっぱなしのものを片付け世話をしてと、稼ぐことも家事も全て自分でやってきた。
しかも一人二役で、お母さん役、お父さん役をやってきたつもりだ。
毎朝お弁当を作っても、見返りは求めていない。
それどころか空っぽのお弁当箱を洗うとき嬉しくて、そっとにんまりしているほどだ。
自分も親の愛を受けてきて、そして子供に愛を与えてきて、それが当たり前だと思ってきた。
与えることこそ豊かで、自分の器がひろがっていくような喜びの感覚すらあった。
損得勘定
子供ではないから、夫からはやはり見返りを求めてしまうものなのだろう。
愛する人が家にいてくれるだけで嬉しい、とはならまいか。
人の価値観はそれぞれで、良いも悪いもないけれど、養うプライドみたいなものが無い男の人も、当然いるのだろう。
夫の稼ぎでありがたく生活させてもらうことに憧れがあった私には「割り勘」は衝撃だったけど、男も女も働きに出るのが当たり前の時代、けっこう普通のことなのかもしれない。
しかし割り勘は、損得勘定を強調することにはならないだろうか。
これをやってあげたのに、あれをしてくれない。
わたしのほうが多くやっている気がする。
そう思ってしまうと、豊かな心から遠のいてしまう。
そんな心の動きを防ぐために、共働きだと役割の線引きがシビアになるのだろうか。
ぜんぶ半分こなら、重たくなく結婚に移行していけるようにも思える。
夫は家族の分まで稼いでくる責任がなく、妻は家事を一気に引き受けなくてよくなるからだ。
「軽さ」は今の時代ならでは。
責任を一挙に引き受けなくとも、分ければいい。
なんだかさわやかな「割り勘」なら、なかなか良い気がしてきた。
心の重さが取れると、「豊かさ」も感じやすくなるからだ。
豊かさ
豊かさは、大げさなものではなく、毎日の思いがけないところにあって、ふと感じるものだ。
そもそもこの文章を読んでくださっている方の中で、豊かさの中にいない人はいない。
この文章を書いている私も然り。
しかし豊かさを感じなければ、ウェルビーイングとはいえない。
命の危険を感じることなく過ぎていく時間。
コーヒーを淹れる時の香り。
意識せずともきれいな空気を吸わせてもらい、地球から採れた栄養を入れさせてもらい、背中に太陽の暖かな日差しが降り注いでいる今。
私の場合はさらに、お世話できる家族がいる。
結婚や子育ては贅沢なことだと若者に思われている今の時代、なんて贅沢な毎日を送らせてもらってきたのだろう。
割り勘でも、与えるのみでも、受け取るのみでも、心の豊かさは自分次第。
マイナスに捉えていたことさえ、裏側をのぞいてみれば恵みで溢れかえってる。
ウェルビーイングは自分だけでは成り立たないけど、自分からはじまっていくもの。
そして自分も他人も、ほんとうは大きなものに包み込まれていて、ひとつであるという感覚にまで広がっていく。
息をするように毎瞬、豊かさを呼吸していたい。
それから、「割り勘で」結婚しよう。
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