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おっさんだけど、仕事辞めて北海道でチャリ旅するよ\(^o^)/ Vol,30 直感

2024 0809 Fri
 
本当にいきなりでした。
2023年の4月半ばに決心。その1週間後には退職の意向を会社に伝え、それから5週間後の6月1日にはバックパックを担いでホーチミン空港に降り立っていたのです。
ともすれば(パンクロック的に)格好良くも聞こえますが、実際はただの阿呆です。だって、なんの準備もできていないのですから…。もともとスマホに疎いから、SIMがなんであるかもよく知らない。現地ATMの使い方もわからない。日本でもネット通販以外で使っていないから、カードの使い方すらよくわからない。ベトナム語なんてわかるわけがないし、なんなら英語すらあんまり、いや正直に言うとほとんど話せない。

実はバックパッカーにとって英語は必須でなかったりもするですが、やはり話せるに越したことはない。というか、話せたら旅がもう一段階楽しくなるかも…。英語、いつか習得してみせます。

空港でなんとか現地SIMに交換してもらい、這う這うの体でたどり着いたホステルは、わたしの感覚で言うとほぼ監獄でした。ジジイの小便のような水シャワーを浴び、受付の姐さんの冷笑を睨みつけ、気力を振り絞ってホーチミンの歌舞伎町、ブイビエンストリートに繰り出しました。ブイビエンのとあるバーでお姐さんに話し掛けられ、その姐さんにATMの使い方を教えてもらい、安価で居心地の良いホステルも紹介してもらいました。異常に桁数の多いベトナム通貨ドンの支払いに苦戦しているとき、ふと姐さんが手を差し出しました。
「貸して」
瞬間、いろんなことが頭をよぎりました。そして、わたしは財布を姐さんに渡しました。姐さんの押しに負けたのでも、雰囲気に流されたのでもありません。わたしが、姐さんを信用し、姐さんに乗っかったのです。

この夜からわたしのアジア旅が始まったんですよね。一気にベトナムが好きになりましたし、自分なりのバックパッカーとしてのスタンスも確立していったように思います。



直感。
いろんな理由を後付けしますが、多くの場合、人はなんとなく、言い換えるとその場その場の直感で行動しているのではないでしょうか。少なくとも、わたしはそのタイプです。
阿寒富士の麓にあるオンネトー湖に程近い温泉。わたしがその男性に話し掛けたときも、なんとなくでした。
めちゃくちゃ熱い源泉そのままの湯。登山で熱を持った身体をなんとか冷まそうと冷水を探していた彼に、わたしは話し掛けました。
「これ、さすがに熱すぎますよね」
 
もともと、銭湯でのコミュニケーションは嫌いではありません。日焼けした肌、スキンヘッドに髭を蓄えた、よくわからんけどニヤニヤしたおっさん。異常に目立つわたしは、サウナなんかに入っていればかなりの確率で地元のおじさんたちから話し掛けられます。なんなら、堪えきれずにわたしから地元の方々の話に参加することもあります。話し掛けるか、話し掛けないか…。その判断も、なんとなくです。

喰いなよ、と言われれば喰う。来なよ、と誘われればついていく。暴力の匂いがしない限り、ガンガンに乗っかっていく。多少のカマシなど全然OK。これがわたしのスタンスです。

背中一面に和彫りが入ったその男性は、網走から来たと言いました。網走。番外地の網走。健さんの網走。さらに話していると、なんでも網走でクラブをやっているそうです。彼自身はレゲエが好きで、若かりし頃にはジャマイカに数年間住んでいたこともあるそうです。道理で…。なんとなく、わたしが話し掛けたくなるわけですな。
「酒も呑まんしクラブも行かんから約束はできませんが…」
そう断ってからわたしは言いました。
「もしかしたらお店にお邪魔するかもしれません」
実際、“興が乗ったら行こうかな” くらいの感じでした。

網走手前のカフェで話した彼。なんと高校1年生でした。これ、自分でも見返して驚いているのですが、子供が相手だと、わたしも大人の顔をするんですな。ちなみに、彼とは別のライダーハウスでも再会します。…こんなの、よくあること。しょっちゅうですよ!
ちなみに、相手が女の子だとこうなっちゃいます。…阿呆ですな。

しかし、網走市街地の手前にある海岸線の出店でイイ感じの姐さんに会釈され、なんとなくUターンしてその出店でザンギを買い…。砂浜でそのザンギを喰ったあと、ゴミを渡しに出店に戻ると、ついさっき見掛たチャリの若者と出会い、その流れで普段は入らないであろう洒落たカフェに入り…。そのカフェの姐さんに
「網走のクラブって、何時くらいから空いてるんですか?」
となんとなく尋ねると
「ケンジロウさんのお店ですか?」
ずばりと当てられ…。
少し、いやかなり疲労が溜まっており、なんなら気分的には全然乗っていなかったのですが…。これはもう行くしかない。そうして20時半にクラブのドアノブを回すと、はたして鍵が閉まっており…。
“まあまあまあまあ…”
向かいのバーで時間をつぶしていると、地元の若者に話し掛けられました。
「あの…。もしかして昼間に海岸線をチャリで走ってませんでした?」
話し込んでいると、なんと彼はケンジロウ’sクラブの常連で、これからケンジロウ’sクラブに行くとのこと。

『番外地』シリーズのイメージから、網走って北海道のなかでもとりわけ自然環境が厳しいイメージでしたが、全然そんなことないらしい。積雪もほどほど、地震も津波も台風も滅多に来ない、安定した土地らしいです。北海道開発の拠点に選ばれるくらいだから、そりゃそうですよね。

偶然か、はたまた必然か…? 
はっきり言いますが、こんなこと別に珍しくもなんともありません。バックパッカーをやっていればよくあることなのです。誰かと誰かがどこかで繋がっており、別れたはずの誰かと全然違う場所で再会する。そんなの、全然ありがちなことなんですよ、この世界では…。
ということで、その夜は久々に遅くまで酒を酌み交わしたのでした。チャンチャン。

なんかいい具合にコンパクトにまとまってて、網走、住みやすそうな街でしたよ。

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