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これがわたしの、人生映画

人生で印象に残るものの話をする時、韓国語では「人生でいちばんの」という意味で「人生○○」という言い方をします。

「人生旅行なに?」(人生で思い出に残っている旅行は?)のように、日常でも会話に出てきます。

その言葉を借りて、「人生映画」を記録しておくことにしました。

作品が何十年前に公開されたものだとしても、観たのが何十年前だとしても、今でも「あの映画はすごかった、だってさ……」と数日前に観たかのような鮮明さや衝撃、灯火を今に伝える映画たち、それが私の【人生映画】。

ここでは、恋愛もの、コメディ、ミステリーのように、ジャンル分けをした方がわかりやすい(&特定のジャンルが苦手な場合に助かる)ので、基本的にジャンルごとにまとめます。

ただし、○○系と書くことで間接的にネタバレにつながるのを避けたく、書いていないものは「あえて書いていないんだな」と思っていただければ。

このまとめでは、ネタバレはもちろんあらすじにも触れず、感想だけを書いています。

人生で一度きりの衝撃だから、予定不調和で

声を大にして言いたいのが、ここで気になった映画があった場合でも、事前情報なしで観ること。

今の時代、タイトルでググるとあらすじはおろか下手したら結末まで見えてしまいます。

まっさらな気持ちで先入観なく観ることで、踊らされず操作されず自分だけの体験・自分だけの見方ができ、ストーリー以上に感受性や想像を広げられると思っています。

前情報なしで自分の感性だけで揺さぶられながら観ると、感情や受け取り方が何倍もジェットコースターに増幅されると実感済み。

私はいつも、本のあらすじもドラマの予告も映画の番宣も一切観ないでぶっつけ本番で鑑賞するスタイル。

この方式だと、誰が主人公でどんな職業で恋愛中なのか殺人犯なのか被害者なのかもわからない状態で物語が進んでいくため、先の見えない不安感が募り、内容に集中、スリルは増し、頭をつかい没入できます。

初めては、一度きり。それなのに、予告の答え合わせみたいな予定調和の体験なんて、想定の範囲内に収まるだけ。

結末までネタバレする予告に反旗を翻し、予定調和の消化試合は終わりにして、一度限りの没入をぜひ。

ストーリーは変えられなくても、観方を工夫するだけで、ハラハラドキドキ度を上げられます。

日常に刺激をもたらす、ひと工夫。

唖然呆然、叡智の結集がここに

「よくぞまあ、こんなストーリーを思いついて映像にして公開くれました……」という称賛しかない映画たち。

結末を知ってしまったら最後、知らなかった時には二度と戻れない、つまりその衝撃は金輪際決して味わうことはできないので、初回を全身全霊で観てほしい!!!

これから観ることのできる人が、本当に本当に心底うらやましいです。

ユージュアル・サスペクツ
人生狂わされた映画。知らなかったあの頃にはもう戻れない。沼への誘いにして、永遠にこれ以上の映画に出会えないジレンマ。開始1時間までとにかく我慢して観て!あきらめないで!!←こう言われていたから観られた、言っておいてくれてよかった!!!ので、ぜったいに離脱せず、検索もせず、ひたすら耐えて!!!耐えた者のみ、見える世界がある。

ゲーム
衝撃だったなあ。巧みの一言。記憶を消して再度観たい、のに、二度と叶わない悲しみ。

キューブ
さまざまな観点で問題作と言われているのは確かにそうで、いろんな意味で重い。わりと人生観の礎の構築に寄与した映画。

インファナル・アフェア
このカテゴリーのなかでも特に、設定を知らないと話についていきづらいかもしれない。でも、知らないまま観てほしい。混乱さえ、楽しんでほしい。

SAW
これはちょっとした自慢なのですが、開始1分で結末がひらめき、見事に当たった。でもそれは私がこの筋の筋金入りのオタクなだけなので、基本的にはよくできていて楽しめるはず。この構想を考えてやりきったのがすごい。

セブン
「まさか、まさかだよね、、?」のスリル。

シックス・センス
感動ものだと思って観た、のに。

閉ざされた森
この“叡智系”のなかではわりとライトなんだけど、気を抜いて観ていたせいか(失礼)「そうくる〜?」とテンションが上がった記憶。そんなに名前が挙がらないけど、どちらかというと書籍向きの内容をよく映画化したなーと思える。

情婦
ストーリー展開はうろ覚えなのに、「そうくるか……」と唸った記憶がくっきり。さすが名作と今も語り継がれるだけあって名作。見破るぞ、と思っていても、、。

女神の見えざる手
ビジネス系映画だと思って観たのに。これは宣伝がもったいなかった印象。ちがう見せ方をしたらもっと話題になった気がする。


閲覧注意、心して観て

映画としても練られた脚本マニアとしても、映画自体の完成度の高さは認める、ものの、心して観てほしい。うかつに手を出すと、やられます。心が元気だと自信をもって言える時しか、観てはいけない。約束。

ファニーゲーム
もう本当にね、、なんなんだろう、、今考えてもなんなんだろう、、しか出てこない、、

隣人は静かに笑う
例のごとくあらすじさえ知らずに観たら、詰んだ。ある点において(書けないのが苦しい)、トップに君臨し続けている。

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
これも内容を知らずに観たら詰んだ系その2。これはきついよ、、事前に言っておいてよ、、(知らずに観た自己責任)

ゴーン・ガール
こんな話って知ってたら観なかったかもしれない、、夫婦で観ちゃだめ(夫婦で観た人)。

ダンサー・イン・ザ・ダーク
言わずと知れたこの道のキング。知らなければよかった(観なければよかった、ではない)。


ハンカチではなくタオル必須、家族もの

大量のハンカチとティッシュが必須です。涙と鼻水で体中の水分が蒸発する。できれば大判タオルをお手元に。そして観るなら、翌日予定のない日に。

つみきのいえ
号泣しすぎて過呼吸寸前までいった。そして10回以上繰り返し観て、毎回号泣している。12分の短編アニメーション、米国アカデミー賞短編アニメーション部門賞受賞。まずはナレーションなしで。

愛してるって言っておくね
号泣しすぎて同上、泣きすぎて目が腫れすぎて心配された。こちらも12分、米国アカデミー賞最優秀短編賞受賞作。実話。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
号泣しすぎて以下同文、本編終了後も延々泣き続けた。実写としては史上最大に泣いた作品。実在の事件をリアルタイムで知っている身にはこたえる。もちろん事件自体が歴史を揺るがすものであったと実感はしていても、その規模の大きさゆえに、ひとりひとりの家族にまで思いを巡らすことはなかなかできなかった。でもこの作品が、そんなあたりまえのことをまざまざと映し出して、本当の意味で初めて事件の重さを実感した気がした。

シェフ 三ツ星フードトラック始めました
楽しく気軽に気楽に観られる貴重な家族もの。複雑すぎずシンプルで、明るい気持ちになれる。


人生哲学の1ピースになったストーリーたち

「生きるとは」をそう深刻に突きつけてこず、それでいて雄弁に人生とは何たるかを語る作品。戦争や事件など人の死を扱うのではなく、日常のなかで人生のあれこれを紡いでいく映画ばかり。価値観を押し売りせず、解釈を観る人に委ねるものが好きで、そういう映画がずっと心に残り続けている。

人生はビギナーズ
大きな起伏はなく、淡々と描かれる日常のなかに、さまざまな機微が詰まっている。深くもさらっとも観られるし、観るタイミングによって刺さるポイントがちがう。マイク・ミルズが自身の作品のテーマのひとつに揚げている「他者とのわかりあえなさ」が、絶望ではなく前提として描かれているのがよい。

フォレスト・ガンプ
何度観たことか(昔は毎年夏に地上波金曜ロードショーで放送されてたよね)。単純明快なストーリーに一見思われるけど、人として大事にしたいことはだいたいフォレストがもっている。立ち返りたい初心的存在。

ショーシャンクの空に
言わずと知れすぎているけれど、観る度に受ける示唆が異なって、発見があって、深いなあとしみじみ。

ハウルの動く城
ジブリにはあまり縁がないなかで、最も観ている作品。人がひねくれるも立ち直るも気力を取り戻すも、結局のところ根源はひとつなんだな、と思う。

ダークナイト
やや異色ながら、クリストファー・ノーラン節が全開のこのバットマンが好きすぎる。人間の表と裏、何が善で悪なのか、信念と戸惑いと葛藤と絶望と、そういう人間の内面を内包している描き方が最高。ノーランのバットマン3部作、順序通りに観るのがセオリーだけど、ダークナイトが突出しすぎている。あまりの完成度の高さに、ノーランと同時代に生きていることに震えたほど。

アンドレ・チャンとオリーブの木
ミシュラン3つ星獲得シェフの足跡をたどり、家族にもフォーカスしながらまとめられたドキュメンタリー。華々しいシーンはなく、静かに丁寧に進んでいく物語に、自分はどう生きたいかを改めて考えた。

ときめきは永遠、色褪せない恋物語

恋に落ち恋に悩み恋にどっぷり浸かったあの頃の記憶を呼び起こすような、だれかの人生に起きた秘密の物語をのぞくような、そんなときめきを味わえる映画たち。

ビフォー・サンライズ
ふたりの描かれ方が、本当に良い。リアルで、まるでドキュメンタリーのようで、旅好きが一度は妄想するロマンがぎゅっと凝縮されつつ、(以下自粛)。

猟奇的な彼女
何度も何度も何度も観た。人の優しさとは、強さとは、人を想うとは。ジョージ・ウィンストンのカノンが好きになりすぎて結婚式の新婦入場でかけたほど、あのシーンが好き。

きみに読む物語
イタリアからの機内で気軽に観たら、とんでもない名作だった。スティーブ・ジョブズの「私があの世に持っていけるものは、 愛情にあふれた(ポジティブな)思い出だけだ。」という言葉を思い出す。

ラブ・アクチュアリー
だれも不幸にならない映画って、意外とない。観てる間も、観終わった後も、「人とのつながりっていいなあ」と思わせてくれる。

ラスト・コーション
ストーリーが好きかと聞かれるとそういうわけでもなく、なにが好きなの?と聞かれると答えに困ってしまう、でも好き。

これはアート、圧倒的な映像美

正直なところ、ストーリーというよりもはや芸術として繰り返し鑑賞している作品群。

BGM(バック・グラウンド・ムービー)として流しっぱなしにしたり、休日の作業のお供にしたりと、日常に彩りを添える存在。

ダージリン急行
ウェス・アンダーソンにかかれば、旅もこんなにもおしゃれに。


グランド・ブダペスト・ホテル
ウェス・アンダーソンの世界観が大好き、かつホテルが舞台、とくれば、好きに決まっている。


ミッドナイト・イン・パリ
サントラが好きすぎて、しばらくエンドレスリピートしていた。

花様年華
ウォン・カーウァイ代表作。露骨な表現は何ひとつないのに、香り立つ色気よ。

夏至
トラン・アン・ユンの目を通したベトナムの日常が好き。どこか甘美でどこか退廃的。


【番外編】Netflixオリジナル

Netflixのドキュメンタリーは秀逸なものばかり。
特に料理系は充実していて、普段は見られない裏側を丁寧に切りとってくれる作品が多い。

100万ポンドの料理
以前勢いに任せてnote「こんなに汎用性のあるアイデアと戦略を得られるとは…!と感動した話と得た学び」を書いたぐらい、大大大好き。レストランを開業したいシェフたちが2日間ポップアップレストランをオープンし、投資家たちにプレゼンして出資を募るリアリティショー。飲食事業にとどまらず、コンセプトのつくりかた、市場での差別化、個人の思いと事業セオリーのバランスのとり方、収益を確保できるコスト構造やオペレーション構築、事業拡大の考え方など、ビジネスにまつわるすべてが詰まっている神番組です。シーズン1と2、どちらも面白いけど、1の方が2店舗を比較することで違いが鮮明になるのでビジネス的な学びは多い。(最近観ていないのに、思い出した途端これだけ書かせるコンテンツ、すごい)

時を超えて灯り続ける映画に出会えますように

ここに挙げた映画、10年以上前に観た映画も多く、映画はコンスタントに観ているはずなのになかなかアップデートできていない気もしています。

好きな映画が近いかも、と思った方はぜひ、おすすめしたい映画を教えてください~!


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