PDFから書き出した_JPGの黒が薄くて困った話

【3/10対策更新】PDFから書き出したJPGの黒が薄くて困った話

ミリオンドールの自費出版をはじめてから、大量の原稿データをどう管理していくか、管理していく上で生まれる新たな技術的問題にいつも悩まされています。特に、WEBと紙とで原稿のバージョン管理、媒体による修正の有無の管理をするのは本当に頭痛のタネになるくらい悩ましい事務作業です。

今回はその中でも、本当にいまいま必要になった技術的問題の対策について自分用のメモとして雑にまとめさせていただきます。これは後で見返すための記録用と、同じ問題にぶちあたった人のための資産として公開しておきます。

余談ですが私は正しいDTPやカラーマネジメントの知識はなくすべて独学の場当たり的な対策でやっていることなので、本当に正しい対処法は謎のままです。※3/10にある程度原因が判明しましたので記事の下の方に追記しました

前提:


自費出版をきっかけに、原稿の全写植をInDesignで打ち直すことにした。
これまではphotoshop→JPG で書き出したものを直接cakesに入稿
これからはInDesign→PDF→JPG で書き出したものをcakesに入稿に変更

起こったこと:


cakesにInDesign→PDF→JPGで書き出して入稿すると、今までもらっていたJPGより画像の色が薄いという指摘をいただいた。
ローカル上のファイルでは目視でわかるかも…?程度の濃さの違いだったが、cakesにアップロードすると色がめっちゃ薄くなってしまう(おそらくアップロード時のプロバイダ処理?)

環境:


windows8、InDesign CC、Adobe Acrobat DC
原稿はPhotoshop CCで製作、InDesignでリンクファイルとして配置
PDFは印刷所に入稿したPDF/X1-a、画像はダウンサンプルなし

問題の切り分けの経緯:


cakes入稿に使ったPDFは印刷所に入稿したものと同じなので、PDF→JPGの書き出し時の設定が雑だったのではと思いAcrobat DCを開く。
ファイル→書き出し→書き出し形式→画像→jpeg→保存ウィンドウで「設定」をオープン
プロファイルの埋め込みが足りなかったのかなと適当にチェックをいれて解像度も無駄に高く設定して書き出し(1時間くらいかかる)
最初の入稿時はファイル設定が両方ともJPEG(中)、カラーマネジメントのRGBとグレースケールが「なし」、カラースペースはグレースケールになっていたので、それを下記のようにかえました。
その時の設定がこれ↓

結果出力したものを、再現をとるためにcakesと似たような環境っぽいnoteにアップロードしてテスト。

あれ‥!?確かにベタがうすい気がする!!??
文字やモノローグボックスはInDesign上で打っているのですが、これらはくっきり黒いのに、漫画原稿のベタだけグレーがかって見える。

ひょっとして印刷した書籍のほうもグレーがかってる?と思い、売り物にしているオフセット印刷した実際の書籍を確認してみた。

う~~~ん紙の本のベタもうっすらグレーなのかもしれないけどJPGをアップロードしてみた時ほどグレーがかってはないし、ベタはちゃんとベタにみえる。文字やモノローグボックスだけ黒くっきりというほど差があるようにも見えない。
Acrobatで何パターンか書き出し設定を変えてJPGを書き出す(長時間かかる)も、結局同じようにベタが薄くなってしまう。
ここでAcrobatをあきらめ、InDesignから直接JPGを書き出す方式に変更する。


InDesign上で直接JPGを書き出したくなかったのは、単純に書籍用のマスターデータを開く回数を増やしたくなかったためでした。開きっぱなしで長時間チェックしたり多数のページをみくらべるので、無意識に知らないところをさわってしまったりして、ヌリタシが数ミリ足りない事故がわりと起こるので、ヒューマンエラーを避けるためにもInDesignの完成データはあまりいじりたくなかったのでした。

cakes用にノンブルのレイヤーだけ非表示にして、ヌリタシはWEB版ではいらないので裁ち落とし設定のチェックはオフ、書き出し→JPEGで以下のように設定。Acrobatみたいに時間がかかったら嫌なので、まず1Pだけサンプルを出すことに。その際の設定がこれ↓

これで出て来たのがこれ↓

これ!!!
この黒さを求めていた!!!!!!!!

その後、InDesign上で設定を色々変えて書き出してみても、わりと黒は真っ黒なまま。ベタが薄くなったりしなかった↓

↑その後も全部くっきり黒いありさま

このへんで、原因の切り分けができてきて、Acrobat DCでJPGを書き出すとベタが薄くなるという知見を得た。ググると似たような症状で困っている人たちがチラホラいたのだけど、素人の漫画家にわかる言葉で解説してくれるページは見つけられなかったので、私の場当たり的な結論として「JPGはAcrobatではなくInDesignから直接書き出したほうが事故らない」という対策に落ち着きました。

※そもそもInDesign→PDFに書き出すときのPDF/X1-aの設定が間違っているのかもしれないけど、この設定は印刷所の入稿仕様にあわせているので、違う設定をプリセット保存していくのもプリセットがとっちらかるので面倒な気持ちがあります。
※InDesignのK100%とリンクファイルしたPSDのグレースケールファイルの設定をどうにかすればいいのかもしれないけど、小1時間程度でそんな高度な挑戦をできる自信がなかったし完成済みのInDesignをあまりいじりたくなかった。

とりあえずネックとなるツールが切り分け出来て良かった。
遅くまで対応してくださったcakesの担当さんにこれでくっきりベタの原稿を提出できる…ありがとう担当さん…

でもふだんからPhotoshopで作画してそれをInDesignでリンクファイルして写植打ってる漫画家はあまり見たことがないので、私だけのニッチな悩みかもしれません。
何かこうしたらいいよという対策や確かな知識をお持ちの方はぜひ私になぜこうなるか、なにがどうしてInDesignなら大丈夫なのかご教示いただけると嬉しいです。切実です。

InDesignやPhotoshopを使って漫画製作することのメリットはまた今後語る場所があればまとめていきたいと思います。

※3/10追記・DTPの専門的な知識を持っている友達からの見解を頂きました

このnoteの記事を見た友達から、「IND→PDF(1a)で書き出した段階でグレースケールのPSD原稿はCMYKに変換され、ベタがK100になる仕様のせいではないか(つまりRGB0になっていないせいでJPG書き出しすると黒く見えない)」というアドバイスをいただきました。

IND→JPGで書き出したら黒がうまくでるのは、INDに貼られた原稿画像そのままの色成分(グレースケールで見たままのK100%)で出力する仕様があるためベタは見たとおりの黒さになるそうです。

というのは私が雑にまとめた概要なので、彼女の教えてくれた時のLINEを許可をいただいてここに残しておきます。

RGB0をK100にする悩みは印刷業界でよくあるらしいけど、
私のように印刷データからWEB上に公開するためのJPGをできるだけ原稿制作時の液晶画面に近づけたい人というのはニッチな存在なのかもしれないですね。ふだんAdobeのソフトをさわっていながら、印刷とWEBでファイルを変換するときの色の知識や仕様による変化に疎かった私は大変勉強になりました。印刷DTPの知識を持っている人から学ぶことはまだまだたくさんあるんだなと感じた件でした。友達本当にありがとう。

結論

印刷所に入稿したPDFからJPGを作る場合、
AcrobatからJPG書き出しをするとベタが薄くなったり色の再現性が悪くなる可能性があるので、InDesignで直接書き出すと見たとおりのベタで出る。
Acrobatしか使えない人は、「色を置換」機能で「出力プレビュー」を確認しながらプロファイルを色々あててみるとどうにかなるかもしれないけど、再現性は保証できないかも…(LINEではDotGain10%がいいかもと出ていました)

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