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ワイナリー訪問記「千歳ワイナリー(北海道・千歳)」


北海道・千歳市にある「千歳ワイナリー」へ訪問しました。
JR千歳駅から徒歩10分ほど、住宅街の一角に「千歳ワイナリー」は存在します。

千歳ワイナリーについて

1988年、山梨県・勝沼町(現、甲府市)にある「中央葡萄酒株式会社」の第二支店となるグレイスワイン千歳ワイナリーとして、世界水準の国産ピノ・ノワールの醸造を目指して北の銘醸地に創業されました。

その後、2011年に分社独立し「中央葡萄酒 千歳ワイナリー」となり、北の産地に特化したワイン醸造を続けています。

始まりは、世界でも唯一北海道で栽培されており、千歳市の特産品種であるハスカップを使用した醸造酒づくりからでした。

定番の甘口ワイン「ハスカップスイーツ」の他、2014年から試験醸造・販売が始まったシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で造られる「ハスカップスパークリング」も人気を奏しています。

「北海道中央葡萄酒 千歳ワイナリー」という名前から、中央葡萄酒と関連したワイナリーなのかとお思いの方も多いのではないでしょうか。

現当主である三澤さんは、中央葡萄酒の現3代目代表のご子息に当たるのだそう。海外での留学経験や、ワイン醸造を学ばれたあと、山梨県から遠く離れた北海道の地にたどり着いたのだそうです。

ワイナリー見学

本日のワイナリー見学コースは、ワイナリー内の施設見学とテイスティングで驚きの500円!あまりにもリーズナブルで、その分ワインの購入ができる!と、いそいそとワイナリーへ向かいました。

残念ながら、ワインを醸造する過程を見ることはできませんでしたが、醸造に使用される施設内を見学することができました。

圧搾機

ぶどうの果汁をジュースにしたものを、皮や種もそのままこの機械に流し込みます。通常、圧搾機の中では、このぶどうジュースを回転させながら、果皮を取り除く作業を行うようなのですが「千歳ワイナリー」では、圧搾機の中に風船のようなバルーンをいれ、膨らませながら優しく空気で果汁を絞り出すのだそう。

写真奥に見える、屋根からつり下がっているのは窒素の機械です。窒素を入れながら圧搾することで、酸化を防いでいるのだそうです。

醸造用ステンレスタンク

その後、大きな醸造タンクへ移し、アルコール発酵が行われます。
ぶどうは収穫年によって、糖度が異なります。
糖度が高いと、その分アルコールも高くなります。ぶどうは果汁がもつ糖分をアルコールに変えるため、糖度が高いぶどうほどアルコールの高いワインに仕上がります。

すべての糖分をアルコールにすると辛口ワインに、途中で発酵を止めると、残糖により甘口ワインに仕上がるのです。

同時に、途中でアルコール発酵を終えたワインは、アルコール度も低く仕上がることから、一般的に甘口ワインは辛口ワインよりもアルコール度数が低いものが多いです。補糖は一切行わず、ぶどう本来がもつ糖分を感じられる甘口ワインはとても魅力的ですね。

「千歳ワイナリー」では、白ワインはすべてステンレスタンクのみで、ぶどうのフレッシュさを保ちながら熟成されます。

木樽熟成

一方赤ワインは、奥の木樽へ移し、熟成を進めます。
「木樽が色分けされているのは、ぶどう品種ごとなどの見分けのためですか?」と伺ったところ、これらの木樽を入手したのが東京オリンピックの年だそうで、オリンピックの五輪の色に合わせて着色されたとのこと(笑)
ワイナリーの方は着眼点が違います。

「千歳ワイナリー」では毎年木樽を購入し、その時々で、新樽を使ったり、使用樽を使ったり、使い分けているそうです。

瓶詰めエリア

こちらも今は稼働していませんでしたが、仕上がったワインを詰める工程のエリアです。
真ん中あたりに見える機械で、ボトル1本1本にコルクで栓をしていきます。大きなワイナリーになると、すべての工程が機械になりますが「千歳ワイナリー」では今もなお手作業での工程を踏まれているとのこと。

次に、右にある機械を使って、それらにエチケット(ラベル)を貼る作業が行われています。

出来上がったワインボトルも、ワインを注ぎ込む際に瓶漏れなどがないか、1本1本、人の目で確認をされているのだそうです。
エチケットが1mmずれているだけでも商品にはならないのだそうで、愛情がたっぷり詰め込まれたワインなのだと改めて感動します。

本州では、8月~9月がぶどうの収穫時期に当たりますが、北海道は11月頃が主流。
収穫したぶどうは、約8か月ほど熟成後に瓶詰めされ、およそ1年後にようやくリリースとなります。

北海道のワイン産地

ワイナリー内に飾られていた北海道のワイナリーMAP。今では64ものワイナリーが存在しているとのことで「ここ数年間のあいだに、本当に増えました」と仰られていたことが印象的です。

このワイナリーMAPからも見て取れるとおり、北海道のワイナリーが西や南の日本海側に集中していることに何か理由があるのか伺ってみたところ、理由は2つあるとのこと。

1つ目は、東側はあまりに寒くてぶどうが育たない
2つ目は、日本海に接し暖流が流れるため、冬もそこまで寒くならない

西側は雪が積もることも理由のひとつだそうです。
「かまくら」をイメージしていただければわかりやすいかもしれませんが、雪が積ると実は内部はあたたかいのです。

「千歳ワイナリー」がぶどうを仕入れている余市においても、冬は雪が人の身長ほどまで積るそうですが、だからこそぶどうが寒さから守られるとのこと。
そのため平地ではなく、山間部に北海道のワイナリーが多く点在しているのです、とご説明くださいました。大変貴重なお話を伺うことができました。

テイスティング

ここからはいよいよお待ちかねのテイスティングです。

2022 ケルナー キムラヴィンヤード

1杯目にいただいたのは「千歳ワイナリー」の契約農家である余市の「木村農園」さんで造られたケルナー種を使った白ワイン。

メロンや白桃、白い花の香り。さわやかなグレープフルーツなどの苦みが余韻に残りますが、全体的には甘い印象でコントラストが魅力的。食事に合わせやすそうな白ワインでした。

ハスカップロゼ

2杯目にいただいたのは、千歳市の特産品であるハスカップから造られた辛口のロゼワイン。かき氷にかけるイチゴシロップの香り、酸がとがっておらずチャーミングで飲みやすいワインでした。

<ハスカップ>
指先サイズのブルーベリーに似た果実。
収穫直後は甘いがすぐに酸味が出てくるので、現地の方も生食することはあまりなく、ジャムなどの加工品でいただく機会が多いのだそう。



エチケットに描かれているのは千歳市の鳥「やまどり」かわいいイラストのタッチと相まって女性にも人気だそうです。

ここまでがワイナリー見学に含まれているテイスティングでしたが、もちろんそれ以外にも楽しみたい。そんな方のために、有料試飲も用意されています。

2021 SHIRO キムラヴィンヤード

ここからは追加料金で、3杯目にいただいたのはオススメの白ワイン。

2021年が優良年だったことから造られた限定品。
1杯目にいただいたワインと全く同じケルナーでしたが異なる味わいでとても興味を惹かれました。

こちらはフリーランジュースで手掛けられているワイン。ビールでいうと一番搾りのような、ぶどう本来の重さだけでしぼったプレミアムワインです。

香りが甘味を含んでおり、熟したメロンや梅のようなニュアンス、タンニンを非常に感じました。重厚感を感じたので、スキンコンタクトが長いなどの別工程をされているのか伺ったところ、1杯目にいただいた白ワインと全く同じ工程で造られているとのことで、驚きを隠せません。

2022 ピノ・ノワール キムラヴィンヤード

4杯目は赤ワインです。
圧倒的な香り、酸をしっかり感じる味わいの中に摘みたての薔薇のニュアンス。香りのボリュームはありますが、厚みは控えめで横に広がる感じ。
デビュー前の舞妓さんみたいなフレッシュでチャーミングな印象を受けました(笑)

まとめ

「千歳ワイナリー」では、合計4種類のワインテイスティングを楽しませていただきました。
契約農家さんからのぶどうだけで造られる品質へのこだわり、見学中も、ワインの購入に来られる地元の方が後を絶たず、人気がうかがえました。

ワイナリー内では、ワイングラスやソムリエナイフなどのワイングッズの他、オリジナルのワインエキスが入ったチョコレートの販売、オリジナルキャラクターのグッズ販売もされています。

見学ツアーは開催時間が限られていますので、事前予約必須ですよ。

北海道中央葡萄酒 株式会社
所在地 北海道千歳市高台1丁目7番地
アクセス
・車:道央道千歳ICより車で15分、道東道千歳東ICより車で20分。無料駐車スペース有、大型可
・電車:KR千歳駅より車で2分、徒歩10分
・バス:JR千歳駅よりバスで3分、高台1丁目バス停(千歳市民病院行き12番バス)下車後すぐ
・飛行機:新千歳空港より車で15分、電車と徒歩で20分。
定休日:年末年始営業時間
営業時間:9:00~17:00  ※見学ツアーは予約制
Tel:0123-27-2460 / Fax:0123-27-2465
URL:https://www.chitose-winery.com/index.html
<見学ツアー予約>
Tel:0123-27-2460
E-mail:info@chitose-winery.com

https://www.chitose-winery.com/visitus.html

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