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ワイナリー訪問記「わいんづくり研究所(山梨県・山梨市)」

山梨県・山梨市にある「わいんづくり研究所」へ訪問しました。

わいんづくり研究所について

「わいんづくり研究所」は、ワインの酵母や設備を提供するところから始まり、現在ではワイナリーのサポートをしながらワイン造りもしているユニークな施設です。

現在は、設備を販売しているワイナリーや、山梨県内のぶどう生産者から、ぶどうを購入し、ワインを醸造しています。

研究所から車で20分ほどのところに畑を持っており、今年から収穫が始まるため、今後は自社畑で収穫されたぶどうを使ってワイン造りが始まる予定とのことでした。

研究所の特徴

施設の特徴は4つあります。

  1. 車のショールームのように機器を見て、デモンストレーションもできる
    このことにより、ワイン造りを志す人、それぞれのビジネスモデルに応じた設備や機器を実際に試してから購入することが可能になります

  2. 機械に不具合があったらテレビ電話をつないでバックアップや部品供給
    ワイン造りに欠かせない機械に不備があると影響が大きいため、アフターフォローがあることで生産者も安心です

  3. ヨーロッパやアメリカなどから新規資材を購入
    新しい資材を積極的に購入し、日本のぶどうを使ってワイン造りを試みたり、セミナー開催もされています

  4. 新規ワイン生産の参入者へ研修、スタートアップ支援
    機械や資材の提供のみならず、醸造方法やワイン造りに欠かせない酵母の紹介などもしてくれるので新しくワイン造りを始める人も安心です

醸造設備の見学

まずは、研究所の中にある醸造設備の説明を受けました。

ワイナリーでは、ワイン造りについてお話を聞くことが多いですが、設備に絞ってお話を聞くことがあまりなかっため、大変興味深かったです。

それぞれの設備について、簡単にご紹介します。

「振動選果台」
10キロほどのぶどうを振動する台のうえに並べて、乾燥したぶどうや、完熟していない青いぶどうは落ち、良い品質のぶどうだけが残ります。

「ベルトコンベア」
3.5mメーターほどあるベルトコンベアで、ぶどうを優しく持ち上げて除梗機に移します。

「徐除梗」
除梗(ぶどうの茎や、実についている軸)を取り除き、粒だけにします
底に穴があいてるので粒だけが落ちる仕組みです。

「ローラー選果台」
粒になっただけのものに大きな不要物(葉など)が入っていることがあるため取り除きます。

「振動選果台」
さらに振動をかけて粒以外を弾き飛ばし、ここで人の手を使って最終の確認も行います。

「4.5mエレベーター」
ぶどうを優しく持ち上げて「破砕機」につなげます。

「破砕機(プレス機)」
機械の中で風船がふくらむバルーンタイプで、バルーンを優しく膨らませて1500Lのぶどうをギューっと圧力をかけながらジュースを絞り、またバルーンを小さくして……という作業を繰り返します。

「発酵タンク」
絞ったぶどうの果汁を投入します。こちらではドイツ製ステンレスタンクを紹介しています(日本製はコストがかかるため)。
下部に冷却コントロールが付いていてワインを最適な温度で調整し、ぶどうの容量や目的に応じてタンクの使い分けをしているのだそう。酸化を防ぐため、白ワインの発酵や熟成をするタンクは、赤ワイン用よりもより密閉度の高いタンクを使うことが多いとのことでした。

タンクの鱗模様の意味は?
このデザインを施すことで、手が触れるとついてしまう皮脂や指紋等が目立つのを防ぐ効果があるようです

ワインテイスティング

ワインは3種類、テイスティングさせていただきました。
興味深いのは、同じぶどう果汁にさまざまな酵母や醸造方法を用いて、どのように仕上がるかを実験している、まさに「研究所」とはそういうことなのだと感じました。

単一のぶどうで造ったそれぞれのワインを「ベイビーワイン」を呼び、最終的には複雑みをもたせるためにブレンドさせるのだそう。

甲州
Rosa酵母を使用した白ワイン。無理な圧力をかけずにできたジュースは非常に雑味が少なく、皮と実とのあいだから最後にでてくる、もっとも香りと味わいも強いジュースは、プレスの方法によっては雑味も含まれてしまうため、慎重な作業が必要と仰ってました。
白い花や吟醸香を感じるサッパリとした白ワインでした。

長野メルロー
次にいただいたのは、Rosa酵母の違いを楽しむ趣旨から、同じ酵母で異なるぶどうを用いて造られたロゼワインです。酵母の豊かな香りとともに、チェリー、いちご、チャーミングなジャミーな香りが感じられました。

マスカットベーリーA
最後にいただいたのは、粒の大きなぶどうで造られた赤ワイン。
フレンチオークの香りが特徴的で、煮詰めた木苺、ザクロ、カラメルの香りあとにミントのよう爽やかな香り、やや甘みを感じる柔らかく親しみある味わいでした。

まとめ

「わいんづくり研究所」では、それぞれのぶどうの特徴をより引き出すために酵母や醸造方法にアレンジを利かせ、今までのワイン造りとは似て非なるところが大変興味深かったです。

酵母の種類は全体で、ワイン酵母が14種類(ワイン以外にもウイスキー酵母を11種類、ビール酵母を4種類保有されているとのこと)あり、今年から収穫される自社畑のぶどうから造られるワインが、どのような個性を持ったワインになるのか、今から大変楽しみです。

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