チャイと本
のびたまごさんの言葉の世界が好きだ。
真夜中のような深い濃紺の世界は、ひとつひとつの粒子が細かく澄んでキラキラしている。
ずっしりとした重みと、繊細さを兼ね備えた言葉の世界が紡ぎ出される。
のびたまごさんから、チャイの煎れ方と本についてご質問をいただいた。
①チャイの煎れ方
非常にめんどくさがりで雑な人間である私が、自分好みの「濃厚だけどスパイスが尖りすぎず、あますぎない」チャイを作る。
TEAPONDの7スパイスチャイの茶葉とPARNA CHAIの茶葉それぞれ小さじ1杯強を小鍋に入れる。
と書いたが、最近はスプーンはほとんど使わず、適当に指でつまんで小鍋に入れている。
茶葉が浸るくらいの水を入れ、弱火で煮出す。
この小鍋、TODAY's SPECIALで買った伊賀焼の一人前土鍋で、うどんやおかゆも作ることができるらしいが、私はもっぱら直火可能な急須として使っている。
何度やっても目止めがうまくいかず、すぐにヒビが入るが、使いやすい大きさが気に入っている。
沸騰したら、牛乳か豆乳を入れる。
コップ1杯よりやや少なめ、100~150ccくらい。
私はいつも豆乳で作っていて、PRANA CHAIを買っているオールシーズンズコーヒーも豆乳を使っている。
ホットなら、そのまま火にかけ続けて沸騰するまで弱火で温める。
アイスなら冷まして冷蔵庫へ。氷を入れてもいいのかも。
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チャイの茶葉はそれぞれのブランドが一番おいしくなるように調合しているので、それをわざわざ混ぜて使うことに多少の申し訳なさを感じる。
茶葉の調合に限れば、TEAPONDの7スパイスチャイは私の好みのど真ん中。
これだけで十分おいしい。
あくまで消費者側の私のセンス不足の問題で、チャイにほどよいあまさをプラスする加減がうまくいかず、あまさが足りないチャイか、あますぎるチャイが出来上がってしまう。
その点、PRANA CHAIは茶葉の表面にはちみつがコーティングされていて、その加減が絶妙なので、あまさ調整で失敗することがない。
はちみつコーティングゆえ、茶葉にしては珍しくしっとりしていて、萩のしそゆかりに似ている。
不思議なことに、豆乳が多すぎても少なすぎても、茶葉を煮出したりなくても煮出しすぎても、常にほどよいあまさ加減がキープされる魔法の茶葉である。
それならPRANA CHAIだけで煮出せばよさそうなものだけど、単品だと私にはブラックペッパーが強すぎる。
ブラックペッパーを半量にしてほしいと思ったとき、試しに7スパイスチャイと半量ずつで作ってみたら、どちらのよさも消さずにすごくおいしくなった。
チャイの調合は千差万別で、自分に合うチャイを見つけるには、苦手なものとその許容範囲を知ることが近道だろうなと思う。
人間関係に似ている。
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チャイはホットのミルク(豆乳)ティーで飲むのが至高だと思っているが、それ以外のホットのストレート、アイスのストレート、アイスミルクなら、BREW TEA coのティーバッグを入れるだけで、ほかは何もしない。
水、お湯、冷たい豆乳にちゃぽんと入れてしばらく待って終わり。
キリッとした味で、美人なのだ。
飾りなく、シンプルな黒ドレスに赤いリップだけ塗れば様になるチャイ。
色々加えてしまうとちぐはぐになってしまい、ホットミルクで飲むと、チャイもミルクも魅力を活かせていないバラバラさが否めない。
美人にほ美人の生き方がある。
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②本について
残暑。チャイを飲みながら読むとしたら、どんな本がいいかを考えた。
植物。
緑茶や紅茶も葉からできているが、チャイからは格別の植物・大地のエネルギーを感じる。
ガーデン/千早茜は、チャイと比較すると随分みずみずしい植物の描写が多いが、南国の植物を好む主人公の部屋はチャイの香りとほどよくマッチする。
物語そのものが、うるおいに満ちていて、思わずミネラルウォーターを買いたくなるような小説だ。
主人公(男)のまわりには、BREW TEA coさながら、黒いシンプルなドレスにシンプルなリップだけで美しさを表現できる女性がチラホラしている。
「自己肯定感を他人に求めるとつらい」というセリフは、つい最近読んだ本のどこかにもあったが、どこだったか思い出せない。
2冊目
コーヒーと恋愛/獅子文六
1冊目のガーデンの主人公が一人淡々と暮らし、自分と植物の暮らしを乱されることを嫌うのに対し、コーヒーと恋愛の主人公(中年女性)は天性のコーヒー煎れの才能を持ち、それ故に歳下男性がせっせと家に通ってそのままヒモのように居着いてしまったり、コーヒーの会合で自分の煎れたコーヒーを振舞ったりする。
物静かな性格からは程遠く、本人も周りもワイワイガヤガヤしながらコーヒーを煎れたりコーヒーを飲んでいる。
主人公だけでなく、他にもコーヒー利きが登場し、そのコーヒーを煎れる過程をなぞるだけで、つい小鍋を火にかけたくなる。
来客時に「何飲む?」と聞いて、候補にチャイを入れると「チャイ飲んでみようかな?」と言われることが多い。
カフェでわざわざ頼むほど好きではないけど、せっかくあるなら飲んでみようかなというスタンスの人は意外と多いようだ。
そんなチャイの一面を知ってから、少なからずチャイ選びには他者ウケ要素も入るようになった。
頻繁に人を招く家ではないが、人が来るのは好き。
いつか雪平鍋でおいしくチャイを煎れてみたい。
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