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授業でノートは使うな。

生徒の授業ノートのチェック に時間がかかって仕方ない。

何せ、150名以上の提出物を見るのだから。


チェックにかかる時間は次のように算出されます。

生徒数を自分の力で変えることはできません。教員が注力すべきは「1人分の提出物チェックにかかる時間」を最小化することです。15秒かかるところを、7秒にするということです。

別記事の<最速で授業プリントをチェックする方法>では、教員7年目の僕が、試行錯誤の末に辿り着いた方法を書きました。無論、生徒が納得できるような評価をしています。

この記事では前段階の「なぜ授業でノートを使わない方がいいのか」の理由を書いています

■僕自身、昔使っていた。

僕は自分の授業において、ノートに貼れる小さなプリントを作って、ノートに貼らせる手法をとっていました。

その場で計算問題を出して、ノート上に解かせることと、少し長めの問題文やグラフや図が載ったプリントを配布して、そのプリント上に解かせることの両方をしたかったからです。

「授業で学習したことを、1冊のノートにまとめる」 という指導をしていました。

 余談ですが、授業をすべてノートだけで完結し、一切プリントを使わない先生は極まれに存在します。正直に言って、これは良くない。
 問題文を黒板に書いて、それを生徒に全文写させたり、x、y軸を いちからノートに定規を使って書かせたりを毎回するのは、時間がかかるだけで数学の力はつかないからです。

■ノートを使う 生徒のデメリット

いちいち、小さなプリントをノートに貼るのが めんどくさい。

めんどくさがりの生徒は、その場でプリントをすぐに貼らずに、一旦ノートに挟んでおきます。そして、後でなくしたり、パラパラ小さなプリントがノートからこぼれ落ちたりする現象を引き起こすのです。

また、特に数学において グラフや図形を扱う単元では、ノート上に書く作業は無く、すべてプリント上に書くという授業スタイルに変わります。


上の図のように、B5サイズを小さめにカットしたプリントを貼るのですが、これは「のり」も「ノートそのもの」も無駄です。

プリントを使って問題を解くのならば、プリントを配ってファイリングするだけで済む話です。よく考えれば貼る作業の意味がないのです。

■ノートを使う 教員のデメリット

ノートチェックがめんどくさい。加えて評価の仕方に頭を悩ませ、評価基準がブレる。

ノートチェックをする上で、まずノートの どの部分からチェックをスタートするのかを見つけるのも手間です。次に授業プリントが貼られているいるかどうかを何十ページもめくる必要がでてきます。


ここであなたに質問です。

  1. 殴り書きで解いて、ノートに何を書いているか分からないが、自力で問題を解いた跡が けっこうある生徒。

  2. ノートをきれいな字でカラフルにまとめているが、自力で問題を解いた跡が あまりない(黒板の解答を丸写しの)生徒

「どちらの方がノート点が高いですか?」

この質問の答えは、教師によってもさまざまだと思います。ノートの評価は基準が難しいのです。

「基準が難しい」は2人以上の数学の先生で学年を担当しているときに、評価のズレが生じやすくなります。

”1,2,3組担当のA先生は基準が甘いけど、4,5,6組担当のB先生は基準が厳しい” のような不平等が生じるのは、まずいです。

当時の僕は、評価基準の不平等が生じるのを恐れて、ノートチェックでは、「ノートにどのように書いているか、ではなく、貼られているプリントの枚数」で、ノート点をつけていましたね。


また、小さな授業プリントを配られた瞬間に貼ればいいものを、あとから まとめて貼る生徒が、貼る順番を間違えて貼っている場合もあるのです。

これにより、ノートチェックのときに、何番のプリントがあるかを確認するために ページをいったりきたりする無駄な作業が発生します。


「ノートの少しの白紙のスペースももったいない!」と思った生徒は、
プリントを折って貼り、そのスペースにプリントを差し込みます。

ノートチェックのときに

  1. ノートを開く

  2. 折られたプリントを開く

というように、「とびだす絵本」みたいなノートを作っている生徒もいます。チェックに時間がかかって仕方ない・・・。


ノート は 自由度の高い提出物であるため、生徒の個性が表れるのです。

それが良いことかどうかは別にして、事実ベースとして授業スタイルにノートを採用すると、チェックに時間がかかる上に、評価が難しくなるのです。

■授業プリントは、すべてA4で統一

ノートチェックにストレスを感じた僕は、すべてA4サイズのプリントを使って授業を行うことにしました。

「ノートは使わず、プリントのみ」の方が、生徒も教員もストレスフリーです。

ノートにプリントが貼れるように、印刷したプリントを裁断機で小さくカットする仕事もなくなりました。これもストレス減の要因です。


迷いもありました。

「授業のはじめに復習問題をしたい場合、ノートのような白紙の計算スペースが必要なのでは?」と はじめは思っていましたが、実際、困ることはありません。

授業者が「授業プリントの空いているスペースに書いてー」と指示を出したり、場合によっては、白紙のA4用紙を配って、計算用紙に使うように指示したりすることで、上の問題は解消されます。

当然、毎回白紙のA4用紙を配ることはせず、「ノート代わりの紙だから数学ファイルに入れておくように」と伝えています。

■本当に今のやり方でいいのか。

初任のころ、自分を指導していただいた先生がノートと小さなプリントの合わせ技の授業スタイルであったため、自分も先輩の背中を見て 授業を行っていました。

当時は、授業のやり方を模索する段階でした。とにかく先輩の真似をして、授業における「守・破・離」の「守」の段階を修行している最中でしたね。

ただ、5クラス分のノートをチェックするのは、きつかった。死ぬほど時間がかかった。

その経験のおかげで、ノートチェックの効率の悪さをなんとかしたいという思いが生まれたのです。

「すべての授業プリントをA4サイズに統一してみよう」と決めた日、はじめて自分は「破」の段階に上がれたのだと自負しています。

次の記事<最速でプリントチェックを行う方法 >には、現在僕が実践している具体的な手法を書きました。

どこの記事に載っていない、守・破・離の「離」のオリジナルの内容です。


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