あなたが「ビジネス書」より「小説」を読むべき1つの理由
これはわたしがビジネス書が苦手だからというのもちょっと影響しているかもしれないけど聞いてほしい。
まず、ここでいうビジネス書というのは、答えを教えてくれるようなビジネス書のことを指す。
以前、編集者で本を1週間のうちに10冊読んでいる長谷川リョーさん(@_ryh )が、
「ビジネス書よりも小説を読んだほうがいい」
と言っていて、逆に人生のなかでほとんど小説しか読んでこなかったわたしは小躍りしたのだけれど、先日実際に小説を読み、その意味がやっと自分のなかで腹落ちしたのだ。
腹落ち。
そう、すべては腹落ちしないと意味がないということに気付いたのだ。
まずはそれを言いたい。すごい人の言葉を「なるほど!」とメモするだけじゃ全然意味がない。
自分の経験や点と点が繋がって、「なるほど!」となったときに初めて自分のものになるのだ。
それを踏まえ、なぜビジネス書よりも小説のほうがいいのか、わたしなりの答えを書いてみる。
このまえ、久しぶりに小説を読んだ。
2016年の本屋大賞である宮下奈都さんの『羊と鋼の森』。その一節にこんなものがあった。
はじめから望んでいないものをいくら取りこぼしてもつらくはない。ほんとうにつらいのは、そこにあるのに、自分の手には入らないことだ。
なんだかビジネス書みたいだなぁ、と思った。
でも待てよ、と思う。
小説って、どれもこんな感じじゃないか?
要するに、今まで小説しか読んでこなかったので気付かなかったのだが、去年から少しビジネス書を読み始め、また小説に戻ってきたことで気付くことがあったのだ。
ビジネス書というのは、筆者が経験上感じたノウハウやコツなどが要点だけ抜かれて簡潔にまとめられている。
こういう考え方をしたほうが人生はうまくいく、とか。こうすれば幸せになれる、とか。
で、その要点の部分に線を引いてみて、納得して持ち帰ったような気持ちになるけど、頭では理解してもそこを切り取るだけではあまり役に立たない。
一方で、小説は主人公がいて、大なり小なりその人の生活や人生が描かれている。
私たちは主人公と自分を重ね合わせ、一緒に恋をしたり冒険をしたり、仮想人生を楽しむ。
そのなかでは、主人公の発見は自分の発見になるし、友だちからのアドバイスは、まるで自分に投げかけられているかのように胸に響く。
ここで、重要となってくるのが「経験」である。 人は、経験しないと腹落ちしない。
それが、小説だと、主人公の経験は自分の経験のように蓄積され、主人公の学びは、自分の学びとなっていく。
つまり、小説とは、主人公を通して大事なことを教えてくれる、めちゃくちゃわかりやすく腹落ちしやすい良質なビジネス書なのだ。
「嘘をついてはいけない」
なんて言葉だけで言われても響かないけど、オオカミ少年を読んだら響くようになるし、物語では「嘘をついてはいけない」とはっきり言葉では書かれているわけではないけど、そういうことなんだ!とちゃんと自分で発見する「経験」ができる。
これは、何も小説に限った話ではなく、ドラマや映画などの物語全般に言えると思う。
そうすると、やっぱり世間で言われている「娯楽」って全然娯楽じゃない。ぜんぶちゃんと学びに繋がっている。
だからわたしは、社会人になってから、なんとなくまわりの真似をして小説を捨て、ビジネス書を買い始めてしまった人には、また改めて小説を手にとってみてほしいと思う。
答えを簡単に教えてはくれないものにこそ、価値があることに気付けるはずだ。
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