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求めよ、さらば与えられん。本を届けるために恥を捨てたこと

さて、Amazonレビュー事件(いつまで引きずるねん)を経て、気付いたことがひとつある。

それは、本は「届けるまでが本」ということ。

わたしは、一冊の本を書き終えて「ふう!」と一息ついていたわけだが、編集者さんからの一声で目が覚めた。

「ゆぴさん、献本したい人います?」

献本……したい人ぉ…?

そう、通常本というのは献本用の本というのが20冊ぐらいあるそうで、それをメディアや個人に献本して記事にしてもらったりする。

すっかりパワーを出し尽くして抜け殻になっていたわたしは、むくりと起きて母の部屋から便箋を持ってきた。

以前取材で「今はメールやチャットが主流だからこそ、手紙をもらうと本当に嬉しいんだよ」と言われたことがあって、わたしもここぞというときに手紙を書こうと考えていたのである。

手紙を書くなんて、本当に久しぶりのこと。新卒1年目のときは営業をしていたので店舗宛のFAXに一筆添えることはあったが、それ以来ぶりに書いたかもしれない。

便箋を選び、下書きもなしに相手のためにつらつらと文章を綴ることは予想以上に楽しくて、そのまま10通分の手紙をしたためた。

さて、手紙を送るまではまだ良かった。問題はAmazonレビューである。なんせ、Amazonレビューにいきなり辛辣なコメントが来るとは夢にも思わなかったわけで、まだ売り始めたばかりなのに☆1状態なのは非常によろしくない。

Twitterで「ぜひレビューをお願いします!」とツイートしてみたはいいものの、わたしはなんだか煮え切らなかった。

というのも、自分から「レビューしてね」というのはなんとなく気恥ずかしかったからだ。

本当に良いと思ってくれたら、きっと頼まれなくてもレビューしてくれるはず。

だから、頼んでレビューしてもらうというのはちょっと恥ずかしい。気を遣ってやってもらうのはなんだか違うと思ったのだ。

でも、1日考えてみてから気付いてしまった。

わたし自身が、生まれてこの方Amazonレビューを書いたことがねぇという事実に!!!

Twitterやブログで紹介こそすれど、Amazonレビューは書いたことがない。となると結論はひとつ。たぶんそんなに多くの人が真面目にAmazonレビューを書いてるわけじゃない。つまり…

お願いしなきゃ始まらないんだ。

ここでわたしは腹を括った。プライドなんだか恥なんだかよくわからないものをかなぐり捨てて、ひとりひとりにお願いしよう!!!!と。

業務の傍ら、せっせとDMを送る。改めて、感謝の気持ちを伝えられるチャンスだと思ったし、ひとりひとりにお願いするというのはなんだか新鮮で、祈るような気持ちでDMを送った。

「もし、少しでも『いいな!』と思ったら、ぜひAmazonレビューを書いてくれませんか?」と。

もちろん、知っている人も含めて、書籍でふと出会ったという人や知らない人にも。どうかありのままの感想を書いてほしいとお願いをしてみた。

そして。

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不慮の事故(だと思いたい)による☆1だった本は、かくして☆4にまで進化を遂げたのです…。

もちろん、Amazonの評価がすべてじゃないことはわかっている。

でもやっぱり「入口」は大事にしたいから、どうせならポジティブな気持ちで出会ってもらえたら嬉しいし、何より初日は辛すぎてAmazonページを開けなかった身としては、たった1日で笑顔でAmazonページを開けるようになったというのはかなり大きい。

わたしの好きなドラマに『プロポーズ大作戦』というのがある。

そのなかに、「求めよ、さらば与えられん」という言葉が毎話出てくる。愛する人の結婚式に出席し、仲睦まじく肩を寄せる新郎新婦を見ながら「あぁ〜〜あのころに戻ってやり直してぇ〜〜」と客席で悶々とする山Pに向けて、時間を戻せる不思議な妖精さんが言うのだ。

「求めよ、さらば与えられん」と。

まさにその言葉の通りだと実感した。

欲しいのなら、自分でちゃんと「欲しい」って言わなくちゃいけない。

「いいなー」って指をくわえてるだけじゃダメ。不特定多数にぼんやりと投げかけてるだけでもダメ。

本当に欲しいなら、「ちょっとそこのあなた!!!」と呼び止めてお願いしなくちゃいけないのだ。

そして、素直にお願いすれば、きっとお願いを聞き入れてくれる。世界はそこまでいじわるじゃない。

社会の荒波に揉まれるとどんどん臆病になってしまうけれど、時に勇気を出して手を伸ばしてみることはとても大切だ。

別の有名な著者さんに聞いてみたら、彼もものすごい経歴と実績があるにもかかわらず、泥臭くひとりひとりにDMを送っていたという。

手紙もそうだけど、コミュニケーションの本質は変わらない。

一生懸命に誠意を持って願いをすれば、メリットがなくても答えてくれることがあるのだ。

お願いするのがあまり得意ではないので、本当に本当に「どうしよう…」と悩んだけれど、勇気を出して、伝えて良かったなと思う。

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