見出し画像

仕事終わりの日記


⚠️本文には痛々しい表現があります。





今日、会えてよかった。話せてよかった。
楽しい時間だった。

ついさっき帰られたお客様に対して思う、率直な気持ち。



会うまでの数時間、「助けて、誰か助けて…」と泣いていた。脳が、自分が、どうにかなってしまいそうで、頭を抱えていた。
こちら側からのキャンセルなんて、せっかく私を選んで予約してくださったお客様に、最悪で最低の行為だと思いながらも、私は今日会えない、ましてやネイルなんてできないと、体調不良が理由の申し訳ございませんの文章を考えていた。
どうにもならないと思ったけど、やっぱり私はネイルがしたかった。(新規の方だったので、)どんな人かわからない、これからもしかしたら長い付き合いができるかもしれない、出会えてよかったと思えるかもしれない方との時間を、自分から奪いたくなかった。


いうことを聞かない私をどうにかする方法を、私はひとつだけ知っていた。
何回も目がいった。切れ味の悪いカミソリと、小さなハサミ。嫌だった。もうしたくなかった。


でも、自分自身よりもネイルが、私の中で勝ってしまった。これがよかったのか悪かったのかはわからない。(まず比べる対象というか、方法がおかしいのだけど。)
躊躇したけど結局は、要らない覚悟を決めて、手首を傷つけた。
この前よりも長く、(切れ味が悪いので)同じ線を何度も。今日ネイルをするんだ、私はこの仕事をこれからもするんだという気持ちを込めた。

初めてその場で、赤い血が滲んだ。
絶対におかしいよ。絶対におかしいのに、嬉しかった。なんで…?
今の私にはわからない。全く理解ができない。


その行動によって、私はお客様をお迎えする準備ができて、いつも通り楽しく笑ってネイルができた。きっとまた、あの人とは会えると思う。会いたい。

ネイルをしながらお話をしていた時の私は、つくり笑顔じゃない。ただただ友達と話すかのように、聞いて、話した。本物だった。


じゃあ、さっきの私は誰?


私は施術中ゴム手袋をしているので、それを伸ばして傷を隠していた。最後は(技術上)手袋を外さなければならないので、机の下で外し、捲っていた長袖を下ろした。
それでも時々、隙間から見えていないか不安だった。

お客様を笑顔で見送り、また袖を捲る。
傷が目立つ。誰がどう見てもわかるであろう、「リストカット」というもの。
正常運転の私にはやっぱり理解ができなくて、信じられなくて、なんで私の腕に、こんな痛々しい傷がついてるの?
誰がやったの?誰にやられたの?
私なんだけど。


これは、もしかしたらまた、抗不安薬と漢方薬の、副作用なのか。以前の抗うつ薬(その中でもきっと種類はたくさんあるのだろうけど)の副作用が怖くて、しつこいくらいにそれを先生に伝え、久しぶりのお薬は、優しいものにしてもらったはず。まあ、(飲む前に自分でもたくさん調べたので)きっと副作用ではない。きっとね。
でもそれなら、薬を飲んでいなくてもこうなっていた、というよりももっと悲惨だったのか。

考えなくていいことだね。


早く、消えないかな。なんだこれ。
私の腕、可哀想に。
こんなもの、誰にも見せられないよ。

この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?