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散文・詩

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不安定な精神状態の時や、心が強く揺れ動いた時に書いた言葉のかけらを集めたマガジンです。
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#詩

おぼえて

 下北沢駅の前、路上で屯するバンドマンたちは、終電を逃すか否かという、答えの決まったお決まりのクエスチョンを肴に、缶チューハイで酒盛りをしている。卒業シーズンの三月も今日で終わるというのに、少しも緊張感のない街だ。閉店時間が過ぎたスーパーマーケット、やたらと細いコンビニを横目に路地を曲がると、1人の女がフェンスに寄りかかってしゃがみ込んでいた。嫌なことでもあったのだろうか、目は虚ろで、かろうじて缶

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