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[ご報告と募集]

熟慮の末の決断ですが、この度神山町の中心部にある旧製茶工場を改装した私の仕事場/COJOを売りに出すことにしました。

(9/27追記…やや進展があり、購買後の賃貸を前提に購買を検討されている方が現れてきました。なので下の条件面を若干変更します)

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2013年にこの場所をこの辺り一帯の地主さんから譲ってもらい、仕事場として使うようになってから約8年間、自分のスペックを遥かに超えた大きさと古さのこの建物を、いかに有効にリノベーションできるのかを考え、いろんな事にチャレンジしてきました。

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しかし、この1年半のコロナ禍における仕事の業績面で不振が長引いしてしまったことと、子供が大きくなってきたことで佐那河内の家の方に本腰を入れたいという気持ちが強くなった事とがあり、当初は理想としていた家/仕事場の分散が、子供と触れ合う時間の減少や諸々のコストが高くつくのを考え、一元化する方向に舵を切った方がいいのではないかと考えるようになりました。

また僕は「参(マイル)」という名前を自分につけ、様々な場所に赴いて行ってナンボの人間です。それでないとどうも何も仕事をしていないのと一緒という感じなのです。それがCOJOの運営や、ここをシェアする人を募ったり、何かを共に展開していくということで、自分が本来のするべきことが疎かになってしまったと今は感じています。

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それはそれで楽しさややりがいはあったものの、その活動を通じて食べていけるわけではないですし、ここに関わってくれた人々からそれほどの熱意も、次第に感じられなくなってきました。

それは、いつか冷めるはずと常に周辺で言われてきた神山の「熱」のようなものが一向に冷めず、主に助成金や補助金ベースとはいえ、新しいものが次から次にでき、僕のような貧乏作家が独力で何かの「場」を作ろうと歯を食いしばってあがいてみても、結局それは無意味に等しいものであったということです。自分が神山にやってきて過ごした事も含めて、何ら足跡を残してこなかったとまでは思いませんが、自分の熱量を有意義に活かせてきたかといえばそれは違うと思います。

2010年から徳島にやってきて、この寄井の商店街でも最初の移住者で、ある意味において自分の人生で一番おもしろおかしく楽しい時期を過ごしてきたわけですが、近年の神山の傾向は、農山村の新しいフェーズ、魅力的な取組というシンデレラストーリーで見れば至極素晴らしいと思うものの、僕本人の嗜好や志向とはかなり違い、自分の中の「熱」がどうしようにも冷めてしまったのかもしれません。某氏と立ち上げかけた会社が諸々の要因により暗礁にのりあげた事もあります。

この場所は元々は『神山アローン』の主人公、湊幸子さんから紹介してもらった場所でした。

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「あんたお茶屋さんやらんで?」とある日突然言われ、5月だけ茶屋をやってそれで一年食べれるんだったらやってみようかななんて安易に思っていましたが、無数にある古い機械のメンテナンスだけで数千万円かかることがわかり、うわやべぇと断念していたのですが、けれども見るなりここが一目で気に入り、古いものを残しておきたいという気持ちを抑えられなくなってしまいました。

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買うかどうか迷っていたところ、誰かがここをすべて更地にし、駐車場を作ろうとしているという情報を不意に聞き、有り金をすべてはたいて購入しました。

当時私は、神山の「古き良きもの」を墨守したいという(今となっては転倒した)意識があったように思います。神山が変わっていくということに、故郷を捨て自分の中の理想を投影していたかもしれない私は、拒否反応を示していました(それはまさに「地元の人」が「新規移住者」に対する嫌悪あるあるとしてカウントされるような意識であります)。人生が進み、親と同居しなきゃならなくなり広い家を探して結局佐那河内に移らなかったら、その思いはもっと前に爆発していたことでしょう。

そんな気持ちを抱えてこの工場を買ってはみたものの、リフォームするお金はさらさらない。それからちょっとずつ、売上があがっては改装したり、ちょっとした補助金を申請してみたり、仲間を募ってみたりしてちょっとづつ修繕してきました。

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今現在の姿は、最初の時からすれば飛躍的に変化・進化してきたわけですが、そしてコロナ禍の影響という側面も多分にはありはするものの、悩みに悩んだ挙句、自分よりももっと適した人がこの工場を使うべきだと次第に考えるようになってきました。なぜなら神山の中心部であり、バス停も近く、お店もコンビニも近い。そして何よりかなり大きい。これからできると言われている高専なども含めて、多くの人がこの場所を賑わしていた方がいいのではないか。人がたくさん出入りするのが似合う場所なので、僕一人がここでチーンとしているのは何か違う気がする。

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というわけで長くなりましたが、何でもやれそうなこの広大なスペースと、なんともいえないレトロな質感を誇る、幾多の物語の詰まったこの場所を売りに出したい(或いは賃貸される方を数人募集したい)と思います。コロナ禍の蔓延する緊急事態宣言真っ最中の現在ではありますが、(きっと)永遠にそれが続くわけではありませんし、今動くというのもまたオツなんではないかと。ただしフリーハンドで誰でもいいというわけではなく、いくつか条件を下に提示します。

まず、ここを更地にして新しいものを新築したいという方は最初にお断りします。なぜならこの建物を活かし、何かにするために僕はここを買ったので、できればこの外観を出来るだけ維持したまま、使用できる方に限りたいと思います。「工場」というのは見ようによっては殺風景な景観ではありますが、昔大火にあったこの寄井周辺では、(すっかり今では魂が抜けてしまった感のある)寄井座に次ぐくらいの「歴史的建造物」であると僕が考えるからです。

(9/27 追記:この部分についてアイデアやプラン次第では話し合いに応じようと思います)

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また、役場の駐車場と面していたり、町の中心部であるのでそこに似つかわしくないような業種・業態の方はお断りいたします。

(僕のイメージでは、なんらかの物品販売や飲食店をされる方、高まるワーケーション需要をターゲットにした宿泊・オフィスの複合施設、FAB工房、デザイン/建築事務所、アトリエなどの施設が良いかと思います。内部を全面的に改装すれば住居使用も可能ではあると思います。またもし自分にもう一度人生があるならば、神山にオーガニック洗剤を使ったコインランドリーカフェがあったら絶対うけるだろうな、、なんて妄想もありました。どうぞパクってください)

上記条件を踏まえた上で、ご希望・ご検討をされる方は、まずペラ1で構いませんので、●自己紹介 ●ご職業-業態 ●この場所でやってみたい事 ●その「やりたい事」がどのように神山の今後に影響するか の4点を記入の上ご送付ください。(ファイル添付ではなく、下記に記すメールアドレスへのメール内文章という形で結構です。)

備考:

NEW *個人のアーティストやクリエイター、または複数人の団体等で賃貸を希望される方を優先的に考慮します。工場内にはいくつかの木造のボックスがあり、それはクリエイターが個人の制作場として使用するのに向いています。またその他の場所も様々な目的・意図に使用可能です。
*同様の条件であった場合、地元の方を優先する事になると思います。
*建物をそのまま購入するのが難しいけれど「やりたいこと」がかなり突出しているような方が賃貸を希望される場合は、内容と条件を鑑み考慮したいと思います。
*また使用目的や意図として長岡と何かコラボレーションする形を希望される方の場合も、現時点では消極的ながら話し合いの席にはつきたいと思います。

最後にスペック的な情報を記します。

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■築:約70年 所在地:神山町字本野間54-1
■立地:コンビニまで徒歩10分、レストラン、カフェ、役場、スーパー等が徒歩圏内にあり。またバス停まで徒歩2分。
■面積:宅地 685平方メートル
■駐車場 198平方メートル (5~10台程度停車可能)
■電気、水道、Wifi完備

販売金額等の条件は、まずメールにてお問い合わせください。
このfacebookへのメッセージか、shinichizm@gmail.com まで。
ですが、双方の手間や無駄を避けるため、冷やかし的なご連絡はお控えいただきますよう切にお願い致します。

流れとしましては、メールにて応募された方の内容を見て、こちらから折り返し、基本はzoomでのやりとり、現地への訪問、手続き…というイメージで進めたいと考えています。スケジュール感とましては、早ければ10月、遅くても年内には候補者を決めたいと考えています。

シェアや転送、転載などご随意にどうぞ。

よろしくご検討ください。

長岡 参

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